本当のカール・バルトへ、そして本当のイエス・キリストの教会と教会教義学へ向かって

吉本隆明「宮澤賢治」論記事一覧

その1:ほんとうの考え・うその考え

 宮沢賢治は、『銀河鉄道の夜』(角川書店)において、「やさしいセロのような声」をしたブルカニロ博士に、次のように言わせています。  (中略)おまえは化学をならったろう、水は酸素と水素からできていることを知っている。いまはだれだってそれを疑やししない。実験してみるとほんとうにそうなんだから。(中略)み...

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その2:ほんとうの考え・うその考え

吉本隆明『ほんとうの考え・うその考え』「宮沢賢治の実験」春秋社に基づく  私たちは、宮澤賢治の総体像を、童話作家、詩人、熱心な法華経信者、身近な農民の幸福のために身も心も尽くした、人として思い描くことができるでしょう。この書によれば、賢治は、臨終に際して、「床から起き上がって南無妙法蓮華経と題目をと...

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その3:ほんとうの考え・うその考え 了

賢治にとって「最高の倫理」とは 宗教的ではない賢治の倫理的情操は、法華経20章常不軽菩薩品における、「坐禅や修行をしない」釈迦の前世の姿である常不軽菩薩の心・在り方にある。吉本は、『銀河鉄道の夜』に登場する異質な人物、すなわち信仰も持たない・ものごとも真剣に考えない・親切そうで・愛相のいい・ジョバン...

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