北海道への旅――「お試し体験住宅」の生活と北海道旅行記(その7)
北海道への旅――「お試し体験住宅」の生活と北海道旅行記(その7)
7月10日(金):
晴れ。この日は、幌加内町にある朱鞠内湖と日本一の蕎麦の産地である幌加内産のそばを食べに道の駅<森と湖の里ほろかない・せいわ温泉ルオント>(この温泉には入らなかったが、露天は源泉掛け流しで、内風呂は加温循環式で、泉質はナトリウム塩化物泉、ということらしい)へと出かけた。因みに、かつて名古屋の方で働いていた時に訪れた北海道の洞爺湖温泉のホテルで突然頻脈になる発作性心房細動(基礎疾患のない孤立性心房細動。現在は慢性化してしまった)が起きたのだが、その時はまだ心房細動の恐ろしさ(それ自体で死ぬことはないので、注意すべき重要なことは、重症化する心原性脳塞栓症併発の予防にある。なぜならば、無治療だった、プロ野球の長嶋茂雄元巨人軍監督やサッカー日本代表チームのイビチャ・オシム元監督を突然襲ったのは、これだからである)について全く無知であった――この時のかかりつけ医は、私に対して、抗凝固薬とβ遮断剤を処方してくれなかったから、服薬(抗血小板剤のアスピリンと強心剤のジギタリスを処方されていた)はしていても、時々心房細動の発作が起きていたし、この医者のさらにもっと重要な治療における根本的な誤謬は、心原性脳塞栓症の予防を全く何も行っていなかった点にある。退職後、引っ越しをして、現在のかかりつけ医に出会ったおかけで、抗凝固薬とβ遮断剤の治療が行われるようになり、現在は心原性脳塞栓症の予防も行われ、発作も全く起きなくなり、そのため日常的に不安を抱くことなく普通に運動もできるようになった――から、発作が起きたそのままの状態で次の日には真狩村の真狩温泉に日帰り入浴に行ったのだが、この時は運よく、真狩温泉に入って少し経ったらまた急に今度は心房細動の発作が治まったのだった。このような訳で、私にとって、露天風呂から羊蹄山が眺められるこの源泉掛け流しの真狩温泉(硫酸塩泉、炭酸水素塩泉、500円/人)は、思いで深い温泉(場所)なのである。
幌加内町によれば、「1970年(昭和40年)代に米の減反政策が始まり、米の代替作物としてそばの作付けが本格的に行われるようになりました。幌加内町の冷涼な気候、昼夜の寒暖の差、日中の気温上昇を穏やかにする朝霧などの自然条件がそば栽培に適していたこと等から作付面積が増え、1980年(昭和55年)に日本一になりました」・「そばの栽培は5月頃から作業が始まります。6月に播種を行い、7月下旬〜8月上旬には白い可憐な花が咲きほこり、9月上旬に収穫シーズンを迎えます」、とある。今回は少し時期がずれていたためか、道路沿いの広大なそば畑に咲く白いそばの花を見ることはできなかった。
また、幌加内町によれば、幌加内町のそばの品種(「ほろみのり」)は、「幌加内町農業技術センターが育成した……品種」で、「次々と花を咲かせ、順々に実をつけるため、収穫を行うと収穫に適した実と収穫にはまだ早い実が混じってしまい、実にばらつきが出」ると同時に「香りや独特のえぐみが強い」「主に各地で栽培されていいる『キタワセソバ』」とは違って、「一斉に花が咲き、実をつけるので、収穫に適した実のみを収穫でき」と同時に「甘味があり、クセがなく上品な味」である、という。
こういうふうに説明されていたし、私は麺類が好きであったから、幌加内産のそばを食べることができるこの道の駅・ほろかないを訪ねることにしたのだった。
さて、私たちは、先ず朱鞠内湖に向かった。この湖は、道立自然公園内のダム湖で、次のような案内掲示板があった――「人造湖では日本一を誇り原生林に囲まれたその周囲は約40kmにもなります」・「この湖に入り込む原始的河川を棲み家とする陸封されたイトウやサクラマスのほか、ワカサギ、コイ、フナなど魚種の大変多い湖です」。ここには、湖畔キャンプ場や宿泊施設とレストランを兼ね備えたレークハウスしゅまりないもあり、遊漁料1,100円を支払えば釣りも楽しめるようになっているから、釣り好きの人には良い場所かもしれない。私たちは、ここを午前中に訪れたのだが、平日のためか、駐車した1台の車を見つけたが、周辺には人のいる気配がなく、静寂としていた。
私たちは、朱鞠内湖を少し散策してから、幌加内そばを食べるために、道の駅・ほろかないへと向かった。道の駅の手打ちそば屋で昼食をとろうとしたのだが、そのそば屋はやっていなくて、少し坂を登ったところにあるせいわ温泉ルオントのレストラン・そばの里で食べることにした。私は、おろしエビそば900円を、細君は塩豚そば850円を、注文した。どちらかというと、細目の麺で美味しかった。美味しかったというのは、私の場合は、そば粉が同じならばそば料理はどこの有名店の高額なそれでも標準的な店のそれでも美味しさは同じだと考えるから、問題は、麺<つゆ>の良し悪しだけにあるに違いない。何十年か前に、東京南麻布だったと思うのだが、有名な店の高いうな重を食べたことがある。しかし、たれの味付けが、私の口に合わなかった。私には辛過ぎる味だった。そのため、そこのうな重よりも、私にとっては、二度ほど食べた浜松のうなぎ弁当の味の方がよっぽど美味しいと感じたのだった。言い換えれば、問題は、辛口・甘口・中間の違い、こってり系・さっぱり系の違い、高級好み(ブランドというイメージ価値好み)・普通好み(日々の日常の生活に重点を置いた安くて安全で質が良いもの好み)の違い、等々諸個人の嗜好の違いだけだと思う。例えば、前のうな重の場合もそうであったが、西條士別店ファーストフードPoPoの200円のうどんと丸亀製麺のうどんを比べた場合、私は麺類が好きであるから両者のうどんそのものは好きであるが、私にとって美味しいのはファーストフードPoPoの200円のうどんの方であった。なぜならば、私にとっては、前者のうどんの出汁を利かせた<つゆ>の方が、食べた後に舌にヒリヒリ感が残る塩っぽい後者のそれより、美味しいと実感できたからである。それだけでなく、ほんとうは、前者の方が塩分が少ないだろうから、お客の健康維持にとっても前者の方が良いはずなのである。
なお、そば茶について言えば、名寄市の道の駅・もち米の里なよろでも幌加内産のそれを売っているのだが、道の駅ほろかないのそれの方が安かった。そのため、私たちは、そば茶を道の駅ほろかないで5袋購入した。この日は、お試し住宅に帰って夕食をとってからなよろ温泉サンピラー(加温・循環式であるが、泉質はカルシウム・ナトリウム硫酸塩、炭酸水素塩泉、400円/人)に入りに行くことにして、帰路にイオンとマックスバリュ名寄店に寄ってひまわりスイカを購入し、また道の駅なよろではミニトマトとよもぎ大福とだんご3串を購入して、帰宅した。
7月11日(土):
晴れ。この日は、旭川市にある二階ファミリー果樹園に行き、そこでサクランボ狩りをしてから、旭岳温泉の湯元湧駒荘の日帰り入浴施設(露天風呂もある神々の湯、源泉掛け流し、700円/人)で入浴することにした。この湧駒荘には、かつて二度宿泊したことがある。そのため、その時には、浴槽が5,6個ある本館の方の温泉(すべて源泉掛け流し)に入った。温泉についての説明書きによれば、泉質については「硫酸塩泉・正苦味泉『マグネシウム』、石こう泉『カルシウム』、炭酸水素塩泉『アルカリ金属』、緑ばん泉『鉄』からなり、特に『正苦味泉』は日本でも数少ない名湯中の名湯です」、とある。なお、この湧駒荘の経営者は、テレビのニュース映像を見ていて、ソチオリンピック銀メダリスト女子スノーボードアルペン竹内智香の家族の人(兄?)らしい、ということを知った。私は、旭岳温泉に関しては、この湧駒荘の湯と、それから一度だけ宿泊した旭岳万世閣ホテルディアバレーその系列ホテルの旭岳万世閣ホテルベアモンテの湯に入ったことがある。
まず、旭川鷹栖ICを出て、二階ファミリー果樹園へと向かった。北海道もサクランボの産地らしい。特に、余市郡仁木町は、北海道一のサクランボの産地らしい。調べてみたら、仁木町だけでなく、札幌にも旭川等にも観光果樹園はある。そう言えば、かつて美瑛町の白金温泉ホテルパークヒルズに宿泊した時、朝食バイキングでサクランボがいっぱい出されていた、食べ放題だった。その時、私は、美味しいサクランボだったので、いっぱい食べさせてもらったことを覚えている。数ある観光果樹園の中でも、今回訪れた二階ファミリー果樹園は、時間無制限(料金の差、時間制限の有無、はそれぞれの果樹園で異なる。北海道の場合、1,000円/人未満で無制限のところが以外とある)で500円/人で佐藤錦等のサクランボが食べ放題の果樹園だった。私はそんなにたくさん食べられるわけがないと思っていたから、もしも食べられなくても500円/人なら許せる料金だと考えたて、この果樹園にした。初めてのサクランボ狩りである。私たちがその果樹園に着いた時には、すでに10人前後の人が来ていて、ある家族連れは、昼食持参なのかもしれない、ブルーシートを広げてサクランボ狩りをしていた。私が実感したことで言えば、トイレ設備が綺麗に整っていれば、サクランボ狩りをしながら昼食を食べて帰ってもいいかなと思えるのだが、どうもトイレ設備が気持よく使える設備のものではなかったから、そこが残念なところであると思った。食べられる数についてであるが、やっぱり、いっぱいは食べることができず、食べたのは15個前後くらいであった。しかし、まあ、いい体験をさせてもらったと思う。
果樹園から旭川鷹栖ICすぐそばにあるイオン旭川西店で広島風お好み焼きを買い、パン屋のそばの椅子に座って食べた。それから、湯元湧駒荘へと向かった。湧駒荘で入浴し終わったらすでに16時を過ぎていたので、その日は旭岳の姿見の池周辺のお花畑の散策に行くことをあきらめて、少し休憩してから、お試し住宅に帰ることにした。この日の夕食は、帰り道である西條士別店ファーストフードPoPoで済ませようと考えていたから、寄ってはみたものの、18時オーダーストップということで食べられず、仕方がないので、道の駅・なよろでよもぎ大福を買い、この道の駅内にある十割そば五大農園直売所の野菜天そば650円を食べて帰ることにしたのだが、すでに両方とも店は閉まっていたのだった(17時閉店。名寄市でもそばが栽培されており、それであるからここでも一度は食べてみたいと考えていた)。仕方なく、夕食は、お試し住宅に帰って食べることにした。そばと野菜とサバの味噌煮(缶詰)で済ませた。
なお、旭川市から旭岳温泉・旭岳に向かう(何号線かは知らない)市街地を抜けて忠別湖までのところでも――ここは、昼中でも歩いている人をほとんど見かけない直線道路で、走っている車も少ない、アクセルの踏み込みに注意していないとすぐにスピードが出てしまう――、パトカーが脇道に隠れていて交通取り締まりを行っている時がある。走行車が自分の車だけの場合は、制限速度に注意を……。
7月12日(日):
晴れ。この日は、旭岳ロープウェイ姿見駅から姿見の池までの周辺に広がるお花畑を見ることを目的として、まずは旭川北ICを出て旭川市内にあるセイコーマートで昼食用のおにぎりとお茶を購入し、旭岳駐車場へと向かった。無料駐車場は満車だったので、旭岳ロープウェイ駐車場(500円/台)に駐車し、車の中で昼食をとり、登山靴に履き替えて、旭岳ロープウェイ・姿見駅まで向かった(往復2,900円/人)。大型のロープウェには、その容姿と会話から、中国系の人たち、欧米系のカップルふた組とひとり旅の人、も乗っていることが分かった。姿見散策路にある姿見の池と登山道の交わるところ(5合目、旭岳石室がある)で雲が降りて来ていた旭岳山頂へと向かう欧米系の若いカップルに出会った(かつて旭岳山頂まで登った時、山頂から姿見駅まで下山する際に頂上は雲に覆われいてどの登山道を下ればいいのか全く分からず、細君がこちらの道だということで歩く始めたのだが、私は少し不安になり、ちょうど傍を通りがかった旭岳自然保護監視員の人に尋ねたら、そちらは縦走コースの道だ・姿見駅への登山道はこちらだ、と教えられ助かったことがある。夏でも雲に覆われた小雨が降り風の吹く旭岳山頂は登山道の判別が難しくなる・寒くなる・寒かった・雨具を着た――このような訳で、旭岳の標高は2,291メートルではあるが、本州の三千メートル級の山と同じに考えないといけないと言われている)。私は、河口湖側から眺められる富士山が好きなのだが、姿見散策路から眺められる高山植物と雪渓と噴煙を伴った旭岳も好きなのである。今回は、登山は断念して、姿見散策路に広がるお花畑を歩くことにした。所要時間は、姿見の池までの往路は登りであり花や周りの風景も見ながらの歩きであるから、概ね1時間30分を要した。因みに、旭岳ロープウェイのホームページによれば、「高山帯(大雪山系では約1,400m以上)が近くなると、背の高い樹木(主にダケカンバ)がまばらになり、やがてハイマツなどの低木へと植生が変化する境界線を『森林限界』と呼びます。……本州では、標高2,500m以上から高山帯とされています」、とある。この森林限界は、旭岳ロープウェイに乗るとよく分かる。旭岳ロープウェイの山麓駅の標高は約1,100mで、姿見駅の標高は約1,600mである。
なお、この旭岳ロープウェイは、両者の駅共に、トイレも気持ち良く使える設備となっているし、レストランもあるし土産物も購入できるようになっている。
あれからすでに2カ月以上が経っているのですが、確かこの写真は、姿見駅と姿見の池の途中で望むことができた、チングルマンとエゾノツガザクラの群生と雪渓と噴煙を伴う旭岳(山頂は雲に覆われています。登山の場合、向かって右側の方から山頂を目指します。掲示板を参照して頂くとよく分かります)を撮ったものです。
帰り道、17時を過ぎていたので、少し早目の夕食となったが、西條士別店ファーストフードPoPoで夕食(もちろん、うどんも食べた)を済ませ、帰ったらなよろ温泉サンピラーに行くことにした。
再度、体験的に言えば、お試し住宅での滞在期間は、余裕を持って過ごすためには、また余裕を持って旅行をするためには、一週間では足りず、やはり最低二週間は必要である。
姿見駅近くにある雪渓
黄色の雄しべ・雌しべと白い花弁(5枚)のチングルマとピンク色のエゾノツガザクラ
エゾコザクラ
黄色のメアカンキンバイとまだ開花していないチシマギキョウ(?)
ウコンウツギ
これらの花以外にも、エゾノツガザクラ、ミツバオウレン、エゾイソツツジ、ウラジロナナカマド、コケモモ、エゾイソツツジ、ショウジョウバカマが咲いていました(もっとあるかもしれなせん)
姿見散策路にある花の群生(他の場所にもあります)。旭岳ロープウェイの説明によれば、大雪山系は「高山植物群落の多様さとスケールの大きさ」共に、「日本一」ということです。私は高山植物について全く詳しくないので、『北海道 山の花図鑑 大雪山』等を片手に散策しました。