北海道への旅――「お試し体験住宅」の生活と北海道旅行記(その5)
北海道への旅――「お試し体験住宅」の生活と北海道旅行記(その5)
7月6日(月)
この日は、羅臼町の方から知床峠と知床五湖に向かい、斜里町ウトロを通ってお試し住宅に帰ることにして出かけた。ありがたいことに、この間、ずっと天候に恵まれていた。この日も晴れていた。
さて、知床峠・知床五湖――両者ともに知床国立公園エリア内にある国立公園である。私の場合は、別に、国立公園だから訪れるのではない。私にとって、何度訪れても飽きない場所だから訪れるのである。どうしてかと言うと、国立公園であっても、一度訪れればもういい、という場所はあるからである。例えば、国立公園ではないが、全国的に有名な観光地である福井県の東尋坊よりも、私は、青森県の西海岸(秋田県能代市の方から青森県深浦町・鰺ヶ沢町の方へ北上する)の方に海岸美を感じるし、秋田県の男鹿半島の西海岸(男鹿市立男鹿南中学校を降った先にある海岸から戸賀湾までの西海岸)に海岸美を感じるのである。この場合、私は、両者を比較考量した時に、実際的に、その規模や周囲を含めて、その変化に富んだ海岸線が続く風景が美しいから、そう感じるのである。しかし、残念なことに、例えば男鹿半島に関して言えば、秋田県庁の観光課の担当者はそのことに気づいていないのか、あるいは縦割り行政の弊害のためなのか、その道路やその周辺の観光整備がきちっとされていないのである。そうであるから、雑草や木々が生え放題にされていて、その変化に富んだ美しい海岸線が遮断されている箇所があったり、道路側に木の枝が伸びて自動車に接触する箇所があったりするのである。もっと観光的にきちっと整備して、そうした変化に富んだ美しい海岸線の言語的視覚的情報を発信すれば、季節限定的な秋田市の竿灯祭りや角館の桜まつり(私は両者ともに一度行ったことがあるが、一度だけ見ればいい、と思ったのである)や大曲の花火等だけでなく、男鹿半島は春・夏・秋のそれぞれに違った美しい風景を垣間見せてくれるのであるから、春から秋にかけて観光客をもっと呼べるに違いないのである。他県に住む私には、そう思われるのである。因みに、私は、職員旅行(強いられた旅行)を含めて、東尋坊には二度行ったことがあるのだが、東尋坊は、私にとってもう行きたいとは思わない場所なのである。それに対して、この男鹿半島(南中学校の方から戸賀湾の方に向かう)には、もうすでに、10回以上は訪れているし、青森西海岸(秋田県能代市の方から青森県深浦町・鰺ヶ沢町の方へ北上する)には、5回以上は訪れている。というのは、私にとって、両者は、何度訪れても飽きない場所だからである。
話を元に戻せば、私たちは、先ず知床峠を目指して出発したのだが、休憩をとるために、また知床五湖で食べる昼食を購入するために、道の駅「知床・羅臼」に寄った。しかし、食べたいものがなくて、案内所で近くにコンビニがないかと尋ねたら、その案内所の親切なおば様は、地図をくれてここにある、ということを懇切丁寧に教えてくれた。こういう親切な人に出会えると、嬉しくなる。まだ、まんざらでもない。私たちは、教えてもらったコンビニでサンドイッチとお握りを購入し、知床峠へと向かった。この知床峠には、整備された駐車場とトイレがある。この場所に来ると、いつも思うことがある。それは、ここには今回で三度訪れたことになるのだが、この知床峠から羅臼岳を眺めていると、簡単に登ることができそうな気持にさせられる、ということである。私たちは、一昨年の夏、旭岳の頂上まで登ったのだが、私には旭岳ロープウェイ姿見駅から望む旭岳に対してもそう思えたのだった。実際的には、旭岳登山は、私にとって非常にきつい登山であった。細君が1時間40分で登ることができたとすれば、心房細動の持病を持つ私は2時間30分を要したのだった。もちろん、その時は旭岳に登ることを目的にしていたから、旭岳近くのホテルに宿泊し、晴れの中、11時過ぎには頂上に着くようにして登った。私たちは、頂上で昼食をとって、12時半頃に下山しはじめたのであるが、姿見の池散策路の辺りまで来て頂上を見上げた時には、頂上は雲で覆われていた。あの時には、頂上の方では、きっと、すでに、雨が降っていたに違いない。この時、登山は午前中(午前中に頂上へ)が基本、ということを実感したのだった。また、昼食をとった旭岳山頂の斜面にはキバナシャクナゲ(?)が広く群生していたことを覚えている。
この写真は、知床峠から望むことができる知床連山の最高峰の羅臼岳(1660m)です。
さて、北海道を車で走っていると、キタキツネと出くわす機会は多いように思われる。旭岳を登山した時にも、キタキツネが登山道にまでやって来ていた(悪しき登山客が餌付けをするからである)。羅臼からウトロへと通じている知床横断道路を走っている時も、キタキツネやエゾシカに出くわすことが多い。それだけでなく、中標津町の市街地でも、数羽のカラスに追っかけられていたキタキツネを見かけた。ただ、私は、まだ、ヒグマと出くわしたことはない。しかし、知床五湖フィールドハウスには、ヒグマが人間に懐くようにならないために、写真付きでヒグマに対する餌付け禁止や接近禁止の掲示がされていた。その掲示された写真は、餌付けもしたのであろうか、大人たちがヒグマに接近し写真を撮っている場面のものであった。ヤフー・ニュースだったと思うのだが、今夏の知床横断道路でヒグマが車の後方トランクルームに乗りかかっている写真が掲載されていた。
私たちは知床峠から知床五湖へと向かったのだが、知床横断道路はきちっと整備されていて気持ちよく走ることができる。また、この知床横断道路から知床五湖に通じる道もきちっと整備されていて気持ちよく走ることができる。知床五湖駐車場の料金は410円であり、そこには、知床五湖フィールドハウスが併設されている。私たちは、羅臼で昼食を買っていたし、知床五湖フィールドハウスの係りの人が、ハウス内で食べてもいいと言ってくれたので、椅子が置いてある場所で昼食を食べるとことにした。かつて私が働いていた時、夏季休暇を利用して私たちはここを訪れたことがあるが、その時には、腰にヒグマ避けの鈴をつけてガイドなしで原生林の地上遊歩道を五湖、四湖、三湖、二湖、一湖と歩いた、ことを記憶している(8月上旬頃であったから、多くの人が歩いていた)のだが、現在は、一湖以外は有料の10分間レクチャー受講後個人散策するあるいはヒグマ活動期の5月1日から7月31日まではガイドツアーに参加する、という規則ができていた。私たちは、昼食を済ませ、今回は、無料の高架木道(知床駐車場・知床五湖フィールドハウスから一湖まで続く電気的なヒグマ避けが施工された木道)で一湖まで行くことにした。
この写真は高架木道先端にある二湖から繋がっている(現在は一方通行になっていて、この無料の高架木道から有料の二湖には行けません)展望台(他にも展望台が設置されています)からの眺めです。向かって右が知床五湖から望むことができる知床連山とその最高峰の羅臼岳です。小さくて見難いのですが、一湖の湖面に浮かぶ白い花はスイレンです。それを少し拡大した写真が2枚目の写真で、手前の白い花がスイレンです。「一湖について」の案内板には、「一湖の標高は290m」で、「一湖周辺は昭和40年頃まで放牧地として利用」されていて、人為的に、「フナ」が放流され、「スイレン」が移入された、とありました。
なお、三湖にはネムロコウホネが咲いている、とあります(今回は三湖は行きませんでした)。コウホネと言えば、私がもう一度ぜひ行ってみたい場所なのですが、しかし現在は体力的に自信がないので行けないのですが、かつて8月に一度だけ行ったことがある雨竜沼湿原(その規模は尾瀬に次ぐ湿原だそうです)の池塘(人為的な池ではなく、丸い天然自然の池)に咲くウリュウコウホネを思い出します。8月に行ったのですが、エゾカンゾウ(本州のニッコウキスゲ)がいっぱい咲いている中で、その池に浮いて咲く小さなコウホネに対して、私は強い印象と感動を受けたことを覚えています。
7月7日(火)
この日は、道東(中標津町)から道北(名寄市)に移動する日である。私たちは、美幌峠を通って、無料の旭川・紋別自動車道の丸瀬布ICに入って比布JCTまで行き、そこから有料の道央自動車道に乗り、士別・剣淵ICで出て、士別市街を通って名寄市役所に向かった。お試し住宅の手続きのためである。親切な二人の若い職員が対応をしてくれた。手続きを済ませて、お試し住宅まで案内された私たちは、先ずトイレに感動した。と言うのは、中標津町のような簡易水洗トイレではなく、完全な水洗トイレであったし、トイレ設備そのものも綺麗であったからである。ほんのちょっとだけトイレ臭がしたが、この点は、格安だから許容しなければならないだろう(床板を張り替えればトイレ臭はなくなるのではないだろうか?)。この、かつては高校の教員住宅で3LDKのお試し住宅の一棟利用料は、水道光熱費等全て込みで500円/日なのである。感動する格安の料金である。私たちは、6泊7日であったから、全て込みで3,500円であった(名寄市も寒い日があって、数回、本格的なストーブを使わせてもらった)。貸布団代は、12,000円/2人であった。そのため、総計は15,500円となった。言い換えると、自家用車がワゴン車ならば、蒲団を圧縮して持参すれば、3,500円で済むということである。畳も壁も綺麗であった。ただ、少し難点を挙げれば、築年数にもよると思うのだが、お試し住宅の前を大型トラックが通ると道路の段差で家が少し突き上げられるという点に(その一箇所ある道路の段差をなくす道路補修工事を施工すれば解決できるのではないだろうか?)、ソファーや座卓はあってもダイニングテーブルセット(机・椅子)がないので座って食事をしなければならない点に、ある。これらの点も、格安だから許容しなければならないだろう。
このことは、余談ではあるが、美幌峠から美幌町の市街地まで向かう時に走行車線と登坂車線二車線の場所がある。ここでもパトカーが隠れて交通取り締まりをしていたので気をつけてもらいたい。勘違いし易いのであるが、二車線あっても一方は登坂車線の場合、他方はあくまでも走行車線であって追い越し車線でないので、10km以上の速度オーバーの場合、追い越してすぐに戻ったとしてもスピード違反になるので気をつけてもらいたい。また、美幌町市街地でも交通取り締まりを行っていた。そしてまた、この日(いつも?)は、無料の旭川・紋別自動車道においても、覆面パトカーが走っていた。この無料の旭川・紋別自動車道における交通取り締まりは、上下線でやっているように私には思われる。かつて旭川方面から層雲峡に行く時、この自動車道を利用したのであるが、その時もパトカーが隠れて交通取り締まりを行っていた。やはり、他県の者は、地元の車の後ろについて走った方が得策であると思う。
さて、名寄市のお試し住宅に関連したことで、次の事項もつけ加えておかなければならないであろう。
名寄市のお試し住宅は、JR宗谷本線風連駅の近くにあり、近くには、コンビニも、また道の駅・もち米の里なよろ(名寄市は国内でのもち米の生産が最も多いらしい)も、ある。この道の駅・なよろには、私の好きなこし餡のたっぷり入った美味しい草大福がその場で作って売られており、13日(月)に和寒町のわっさむエココテージに移動するまでの間に、7日と13日は除いて、私たちは毎日のようにその草大福を食べた。また、このことは、日常生活をする上で重要なことであるが、お試し住宅から車で15分前後のところにはイオン、マックスバリュ、ホーマック、ダイソー、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ユニクロ、コインランドリー等々がある徳田地区商業エリアがあって生活用品等全てがそろっていて便利である。この点について言えば、私は、この名寄市においては、生活の利便性を考慮した街づくりがなされているように感じた。そしてまた、ちょっと離れたところに、名寄市に本部がある西條という百貨店もある。この西條の士別支店には、7日(火)、道東から道北への移動日に、道央道の士別・剣淵ICを出て士別市街地を通った時、食糧等を購入しようと寄った。その時見つけたのが、1階にあったファーストフードPoPoである。量も少ないわけではないが、かけうどんが200円であった。私は麺類が好きなので、そのうどんを食べてみた。私の口に合う美味しいうどんであった。私の住んでいるところには丸亀製麺があって、数回食べたことがあるが、そしてそのうどんそのものは好きではあるが、いつも食べた後に残る、香辛料の辛さではない舌がヒリヒリする汁の辛さ(塩の辛さ)が、私の舌にはどうしても合わない。しかし、ファーストフードPoPoには、出汁が効いているのか、そうした塩っぽさが全くなかったのである。ただ、営業時間は、夕方の6時まで、ということで、驚いた。その時、この地域では、時間の感覚を少し変えて生活しなければならない、と思った。
また、名寄市には、総合病院の名寄市立総合病院がある。このことは、持病がある人たちには安心感を与えることである。ただ、もう一方で、そこで専門領域で働く医師の人間性と医学知識の質と量が、さらなる安心度を与える問題としてやってくるだろう。
そしてまた、名寄市には、なよろ市立天文台「きたすばる」があって、そこには併設された北海道大学が設置し観測・研究している「公開天文台としては国内二番目の大きさを誇る」「ピリカ望遠鏡」がある。一般にも時々公開されている。無限大(?)の宇宙を、星空を、未確認の天然自然を、天体観測の専門家のその知識(人間的自然、観念としての人間化された自然)に基づいた説明を聞きながら眺めることができることは、楽しいことであるに違いない。
このような訳で、もしも、住民税や健康保険料や分別ごみ袋の値段等のことを考慮に入れてもなお、お金に余裕があって冬を除いた季節移住が可能であれば、私であれば、この名寄市が最優先候補となるに違いない。というのは、前述したことと同時に、名寄市からならば、旭川市や札幌市、美瑛町や富良野市、層雲峡温泉や旭岳温泉や白金温泉や十勝岳温泉、への日帰りは可能だからである。
さて、最初の手続き時に、特例でお試し住宅滞在期間中だけ有効な「転入者向け公共施設無料おためしチケット」を1枚(一人分)だけ配布された。私たちは、その無料チケットを、10日に名寄温泉サンピラー(加温・循環式であるが、カルシウム・ナトリウム硫酸塩・炭酸水素塩泉、重曹―石膏泉で、心臓病等によい、ということである、400円/人)で利用し、9日になよろ市立天文台「きたすばる」で利用した。