バルトの「ヨブ記」論――『ヨブ バルト著（ゴルヴィツァー編・概説）』西山健路訳、新教出版記事一覧
論述１ ヨブ記の主題
バルトは、「ヨブは他の人間すべてと同じく誤りやすい人間である」、と述べます。首肯できるでしょう。したがって、ヨブ記は、「罪なくして罪となりたもうた（Ⅱコリント５・２１）イエス・キリストではない者」の「真実の証人」・ヨブの存在の仕方のドラマである。しかし一方で、それは、「神には誤りがない。ここで一切...
論述２ 真実の証人の基本構造
バルトは、先ずヨブ記の全体の構成とユングの『ヨブへの答え』について述べています――ヨブは、死海の東あるいは東南のイスラエルの境界を越えたエドムの領域・ウヅの住人である。また、ヤーウェとの関係でいえば、そのイスラエルの神から「わがしもべヨブ」と呼ばれて祝福されている人物である。１・２・４２章は、富裕...
論述３ 神の「真実の証人」そのものとしてのイエス・キリスト 了
聖書によれば、イエス・キリストこそが、「受難」から続く十字架の「死の＜絶対的沈黙＞」・「死の沈黙」を、その「復活」において打ち破り、克服された唯一無比の方である。また、このイエス・キリストの「復活」は、彼が神性を本質としていること、また彼の言葉は「神ご自身の言葉であること」、を示している。しかし、...