カール・バルト（その生涯と神学の総体像）

『教会教義学　神論�T／３　六章　�~の現実（下）』「三十一節　神の自由の様々な完全性　二　神の不変性と全能」２２−１３（１４０−１５２頁）

「三十一節　神の自由の様々な完全性　二　神の不変性と全能」２２−１３
　イエス・キリストにおいて自己啓示・自己顕現された「神の本質の不変性」は、「神の自由の不変性であり」、この神はキリストにあっての神であるよう、換言すれば「イエス・キリストの中で行動し、活動する愛であるよう」（全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事であるよう）「ご自分を定め給うた（≪自己認識・自己理解・自己規定し給うた≫）ということを（≪われわれは≫）確認した」。このことは、キリストにあっての「神は、ご自分のみ子の中で」、換言すれば「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である父が子として自分を自分から区別した第二の存在の仕方である「ご自分のみ子の中で」、「永遠に忠実であるべくご自分」を、人間の側から「混淆されぬよう」に、人間の側から混合・共働・協働・折衷されぬように、「被造物と結びつけ給うた」、すなわちキリストにあっての「神は、（≪神の側の真実において≫）ご自分からして被造物とご自分を結びつけ給うたのであり、神ご自身の中に、神からして、……為し給うたのであり、決してそれと別様には為し給わなかったということが基礎づけられている」ということが、「強調され・解明されなければならない」。何故ならば、キリストにあっての神は、「被造物に対して」、「そのみ子の中で、ご自分を与えられ、自ら被造物の姿をおとりになることによって被造物を引き受ける」という「義務を決して負うておられなかった」からであり、また「ほかの形ではなく、この形の中で被造物とひとつとなり、そのようにしてご自分をその忠実さの保証とし、また保証として定めることを、被造物に対してもご自分に対しても義務を負うておられなかった」からである。「この方向において重要となる、互いに全体の一部として関連し合っている二つの認識がある」。
（１）第一の「認識の内容」について言えば、「われわれは、イエス・キリストの中で、被造物の身に、被造物のために、起こったし・起こっていることを、（≪神の側の真実としてある≫）神の自由な決心として理解しなければならないということである」。したがって、われわれは、「神はそのような決心を事実実行に移された」ということから、恣意的独断的に「わがまま勝手に」「この実行に移されたということから抽象して」、「換言すればイエス・キリストにあっての神の現実から抽象して、神のことを心に描き・考えることはできず」、そのように描き・考えることは「許されない」のである。すなわち、「（恵みは恵みであり、神がわれわれを引き受けて下さる時、そこではまことのへりくだりが問題であるが故に）、われわれは、ここで、（≪ご自身の中での神とわれわれのための神という区別を包括した単一性における≫）神の本質そのものの中で起こっている方向転換および決断と取り組まなければならないということ、換言すれば神は、神に立ちまさった何らかの内的あるいは外的な必然性からして（≪強いられて≫）人間とならなければならなかったのではなく、まさにそのことが（≪神の側の真実としてある≫）神の自由なみ心であったが故に、そのように決心なさったということは、ここでの事柄の本質に含まれている」として認識しなければならないのである。「この自由な愛の充実の中で為されたこの決心からして」、それ故に「その決心の中に含まれつつ、それからさらに別なことが同じように神の自由な決心として理解されなければならない」――それは、キリストにあっての神は、われわれのための神として、「世界の創造者（≪「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方、啓示者――言葉の語り手、イエス・キリストの父≫）」、「人間の和解主（≪その第二の存在の仕方、啓示――語り手の言葉、父が子として自分を自分から区別した子としてのイエス・キリスト自身≫）および救済者（≪第三の存在の仕方、啓示されてあること――それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性、愛に基づく父と子の交わりとしての聖霊≫）となり」、父・子・聖霊なる全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事全体において、「そのようなものであろうと欲し給うたということである」。
（２）第二の「認識の内容」について言えば、「われわれは、イエス・キリストの中で起こったし・起こっていることを、（≪神の側の真実としてある≫）神の必然的な決定として理解しなければならないということである」。このような訳で、われわれは、キリストにあっての神の「恵みを正しく理解しつつ」、それ故に「あの決心の神的自由を正しく理解しつつ」、「あらゆる事情のもとで、……神はまさにこの自由な決心を決定へと高められたということ、そしてそのようなものとして実行に移されたということ」、それ故に「われわれはこの決定に拘束されており、この決定のところを通り過ごし見・通り過ごして生きることはできないということと取り組まなければならない」。ご自身の中での神として「神は神であるが故に、（≪それからわれわれのための神として≫）神がわれわれに対して身をおとされ・そのようにしてわれわれのことを引き受け給うた方であるが故に」、「神がわれわれに対してご自身を尋ね求め・見出すようにと与え給うたところと別なところで尋ね求め・見出そうと欲することはできないし、また神がそのように与え給うたのとは別な仕方で尋ね求め・見出そうとすることもできないということ」は、すなわち啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力、キリストの霊である聖霊の証しの力、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動、全き自由の神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて与えられる信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰）、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）、「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の賛美」としての「隣人愛」という連関とは「別なところで尋ね求め・見出そうと欲することはできないし、また神がそのように与え給うたのとは別な仕方で尋ね求め・見出そうとすることもできないということ」は、「ここでの事柄の本質に含まれていることである」。「まさに神の自由を通してこそ、われわれにとって、必然性が基礎づけられている」。「それから、神の自由な愛の充実を拘束的に啓示するこの大いなる決定からして、またその具体的な形態における創造者、和解主、救済者としての神の支配が、拘束的なものとして理解されなければならない」。
　われわれは、神の自由の様々な完全性の中の神の不変性と全能という区別を包括した単一性における「神の自由の不変性と取り組まなければならないが故にこそ、われわれがイエス・キリストの中で認識し・承認しなければならないこと」は、「不変なる仕方で神の恵みであり」、「また不変なる仕方で神の意志、命令、秩序である」、と総括する。何故ならば、「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする「失われない差異性」における第二の存在の仕方――「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストは、「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする「失われない差異性」における三つの存在の仕方――すなわち父（「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方であるイエス・キリストの父、啓示者、創造主）、子（父が子として自分を自分から区別したその第二の存在の仕方である父の子としてのイエス・キリスト自身、啓示、和解主）、「父ト子ヨリ出ズル御霊」（その第三の存在の仕方である愛に基づく父と子の交わりとしての聖霊、啓示されてあること――それ自身が聖霊の業であり唯一の啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性、救済主）なる全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事全体を啓示しているからである。
　「特に、改革派の教会の昔の神学」は、「この……われわれにとって拘束的な決定となるところの自由な神の決心を言い表すために」、「聖書の中で神の意志、み心、意図、適意、み手と呼ばれているすべてのことを含ませ」て、「神の決議という概念を用いた」。「人は、この神ノ決議を、神のすべてのそのほかの業、外的ナ業（≪存在の仕方≫）についての教説の先端のところで取り扱った」、換言すれば聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における三つの存在の仕方という区別を包括した単一性（「単一性と区別」）において、すなわち総体性・全体性において取り扱わなかったのである。このわれわれのための神としての外在的な神の「外的ナ業（≪存在の仕方における「外ニ向カッテノ業」≫）」でもって、ヴォレプは、「ソレガ神ノ本質ソノモノノ中デ持続シテイル限リ、（≪ご自身の中での神としての≫）神ノ内的業のこと」を、「神の本質」（神の存在の本質）を理解した、すなわち「神ご自身と違っていない（≪ご自身の中での神としての≫）神ノ内的業（≪ご自身の中での神として内在的に聖性・秘義性・隠蔽性において存在する、すなわち「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」において存在する、「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質する神、起源的な第一の存在の仕方であるイエス・キリストの父、この父が子として自分を自分から区別した第二の存在の仕方である子としてのイエス・キリスト自身、愛に基づく父と子の交わりとしての第三の存在の仕方である聖霊なる神≫）のことを理解した」。したがって、ヴォレプは、「神ノ決議トハ、（≪外在的な≫）時間ノ中デ起コルデアロウコトニ関シテ、（≪内在的な≫）永遠カラシテ最モ自由ニ、最モ確カニ、神ガ決メ給ウタ神的意志ノ内的行為ノコトデアル」と定義した。そして、「人は、次のように説明した」――「この神の決議の根底にあり、その決議の中で力を奮う神的意志を、それの内容がまさに徹頭徹尾自由な神的決断と処理の事柄である限り、神ノ恩恵ノ意志と言い表した」。そして、「それが、創造された世界の存在および具体的存在に先行している限り、先行スル意志として」、また「時間の中で起こるすべてのことから完全に独立している限り、絶対的ナ意志として」、また「最後に、どんな人間も天使も自分からしてその内容を知ることができない限り、隠サレタ意志として、言い表した」。したがって、この内在的な「ひとつの・唯一の神の意志」・「神ノ恩恵ノ意志」に対して、外在的な「（それに従って起こる）すべてのこと」は、「われわれに対するそれの啓示（シルシノ意志あるいは顕ワサレタ意志）として、それの遂行（貫徹サレタ意志）として、それの被造物との神との交わりを通して条件づけられた形態（条件ツキノ意志）として」、言い表した。しかし、「神ご自身の中に現に相違した神の意志が存在し得ない限り」、「それは、非本来的ナ仕方デ」、「相対して立っている」と規定した。この場合、「被造物の領域の中には、確かに神ノ意志ニ逆ラウ出来事は存在し得るが、神ノ意志ヲ超エタ出来事は存在し得ないし、シルシノ意志に対する抵抗はあり得るが……恩恵ノ意志に対する抵抗はあり得ない」、「換言すれば生起するすべてのものが神的意志と決議に対応しつつ起こらなければならない必然性は、強制的ナ必然性ではなく」、「あらゆる事情の下で、その最後的結果において、神の不変なる意志に対応しなければならない」「不変性ノ必然性」となる。このような訳で、「この必然性によって、被造物の自由と偶発性は取り除かれはしない」から、「神的決議が、それ自身において（そこで以前も以後もない）唯一で・単純なものである時、……決定サレタ事物ニ関シテ、ソノモノノ身ニ起コルコトハ、神ガ決定シ給ウタト言ワレルヨウナ仕方デ、ソノモノノ身ニ起コルというように区別が為された」。

　われわれは、「神と被造物の間の関係においては、いずれにしてもひとりの不変なる神ご自身と、神の本質と関わらなければならない」――「この関係は、ただそのまま確定しているのではなく、……（≪ご自身の中での神としての≫）神の決議を通して、神の意志決定を通して規定され・秩序づけられているのであるから」、「このひとつの神の本質の中で、……神の中での特別なことと神ノ意志ノ内的行為と関わらなければならない」。神の不変性と全能という区別を包括した「生ける神……生ける神の不変性」の中で、ご自身の中での神として「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」（起源的な第一の存在の仕方であるイエス・キリストの父、父が子として自分を自分から区別した第二の存在の仕方である子としてのイエス・キリスト自身、愛に基づくこの父と子の交わりとしての第三の存在の仕方である聖霊）において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする三位一体の神と、それからわれわれのための神として外在的に（外に向かって）その三位一体の神の「失われない差異性」における三つの存在の仕方におけるイエス・キリストの父（啓示者、言葉の語り手、創造主）、子としてのイエス・キリスト自身（啓示、語り手の言葉、和解主）、愛に基づく父と子の交わりである聖霊（啓示されてあること――「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性、救済主）なる全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事全体は、その第二の存在の仕方である父なる神の子としてのイエス・キリスト自身における神の自己啓示・自己顕現を通してのみ認識することができるのであるから、われわれは、この「特別なこと」――「神自身の人間に対する神の愛と神に対する人間の愛の同一」であり（『ローマ書』）、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神であるまことの神にしてまことの人間イエス・キリストと関わらなければならない。われわれは、「神と被造物との間の関係においては」、「この関係は……神の決議を通して、神の意志決定を通して規定され・秩序づけられているのであるから」、「ひとりの不変なる神ご自身と、神ノ本質と関わらなければならない」、そして「このひとつの神の本質の中で、……神の中での特別なことと、神ノ意志ノ内的行為と関わらなければならない」。しかし、「改革派――正統主義の教義学」においては、キリストにあっての神は、「ただ（≪われわれのための神として「外に向かって」の≫）われわれとの関係の中でだけ（おそらくわれわれから見てだけ）、神は生ける方であり、ヴォレプが六脚韻の中で、神ハ命ジ、禁ジ、許シ、配慮シ、完成シ給ウと教えあげているような意味で、（≪われわれのための神として「外に向かって」だけ≫）活動的なのである」。さらにまた、神とは全く異なる「被造物に対して」、「それとして自由な……神がとられる態度」、「同様に現実のものである……神の行動の現実性」は、「ただ暫時的なものとしてだけ理解され」、それは「神の本来的な意志として」、それには、「すべての他者を支配する最高の必然性であるというほかに」、「すべての他者に対する何の関係も働きかけもないところのそれ身において動かされないものと不動のもの」が、またそれがそのような「必然的なものであり、そのようなものとして探求すべからざるものであるということのほかには何も認識されることができないそれ自身において動かされないものと不動なものが残っている」のである。したがって、「われわれに対して」、「神の言葉」は、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方、起源的な第一の存在の仕方である父なる神の子としての「啓示の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉、「まさに顕サレタこそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリスト自身（この啓示は、啓示に固有な証明能力・キリストの霊である聖霊の証しの力・起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動・人間的主観に神の恵みの出来事を実現させることができる神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」を持っている）であるにも拘わらず、「そのようなそれ自身において動かされないもの・不動のものに相対して」、「このことあのことが神に関して語られるが、……神ご自身、神の意志のあの唯一の決議は、それとして語られない注釈という意味を持つに過ぎなくなる」のである。この場合、「どの程度まで神の恩恵ノ意志が自由な恵みであるかが曖昧となると同時」、「どの程度までシルシノ意志がわれわれにとって拘束的であるかも曖昧とならざるを得ないのである」。「以上のことが、神的な決議についての正統主義の教えを覆っている一つの影である」。さらに「もう一つの影」は、正統主義が、「神の存在と造られた世界に対して神がとり給う態度についての……一般的な摂理論」（ヴォレプは「永遠的ナ神ノ摂理と神的な決議」を「同一視」した）にある。このことは、「確かにそれ自身間違ったことではない」が、「神の決議」を「ただ永遠的な摂理とだけ同一視した」点は問題である。何故ならば、その同一視においては、神の「この決議のすべての内容」は、すなわち「一方において世界の創造、保持、支配、他方において和解と救済」、すなわち「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における三つの存在の仕方（性質、働き、業、行為、行動）、父（啓示者、創造主）、子（啓示、和解主）、聖霊（啓示されてあること、救済主）なる全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事全体、また「特に神の子の受肉とイエス・キリストの存在」は、「全くひとつの公分母の上に立っている外的ナ業として」、「動きのない」「探求すべからざる恩恵ノ意志をどこか背後に持っているシルシノ意志の……特別な場合として、ひとつの系列」の中に入れられてしまうからである。「人が、神的な摂理の定めを証明しようとして用いた……聖書の箇所」、すなわち「イザヤ四六・九以下」、「詩篇二・七−八」、「エフェソ（エペソ）一・九以下」――「秘められた計画をわたしたちに知らせてくださいました。これは、前もってキリストにおいてお決めになったみ心によるものです。こうして、時の満ちるに及んで、救いの業が完成され、あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられます。……キリストにおいてわたしたちは、御心のままにすべてのことを行われる方の御計画によって前もって定められ、約束されたものの相続人とされました（神の民として選ばれたのである）」、「使徒行伝二・二三」――「このイエスが渡されたのは神の定めた計画と予知とによるのであるが、あなたがたは彼を……十字架につけて殺した」、「使徒行伝四・二七」――「まことに、ヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人らやイスラエルの民と一緒になって、この都に集まり、あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆らい、み手とみ旨とによって、あらかじめ定められていたことを、なし遂げたのです」というこれらの聖句は、「一般的な永遠的摂理の支配について語っている」が、「驚く」べきことは、これらの聖句が、「具体的には、明らかに」、「神的なはかりごと、志、計画、手等々でもって何が理解されるべきかを定義するに当たって」、神と「神的な意志によって規定され・秩序づけられている」世界との間の「一般的関係の中で何があらゆる事情のもとで問題であるかが読みとられなければならない最高に特別な出来事について語っているという」点にある。すなわち、「旧約および新約聖書」は、「神的な決議」について語る時、「間接的あるいは直接的に、……事実、あれらの聖句の中で」、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在（性質、働き、業、行為、行動）である「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間「イエス・キリストについて語ったのである」、「恵ミノ契約」・「父の永遠の契約」・「父と子の間の契約」・「子によって引き受けられた保証」・「最後にそれに基づいた（神と選ばれた者たちの間の）本来的な恵みの契約」について語ったのである。したがって、「神の決議」と「それの内容」を――すなわち「イエス・キリスト」を「堅くとって離さないでいたら」、「シルシノ意志」では決してない「恩恵ノ意志」を・「決議の実際の内容」を、「一種の世界観的見取り図として空虚な仕方」においてではなく、まさに「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわちナザレのイエスという「人間の歴史的形態、イエス・キリストの名」の中に、「イエス・キリストの具体的な実在の中に見出したであろう」。この時には「人は、神の決議の中に（≪神の不変性と全能という区別を包括した単一性における≫）不変なる神を、……まさに神の自由の不変性を認識し・尊重したであろう」、「神が事実持ち給い、事実用い給う自由、神の愛の自由の不変性を認識し・敬ったであろう」、このようにして「人は、神が不変的な仕方で恵み深くあり給うこと、いかに不変的な仕方で恵み深くあり給うかを認識したであろう」、「それと共に……また、神の意志、神の命令、神の秩序がわれわれに対し、不変的な仕方で拘束的に相対して立ち、いかに不変的な仕方で拘束的に相対して立っているかを認識したであろう」、その時には「人は、（≪二元論的に分離し対立させずに、≫）シルシノ意志を恩恵ノ意志の本来的なまことの啓示として理解したであろう」、「同様にまた、人が尋ね求めていたもの、……ゴ自身ノ中デ唯一デアリ最モ単純デアリ、……（≪ご自身の中での神として≫）ゴ自身ノ中デ、また（≪われわれのための神として「外ニ向ッテノ」≫）ワレワレトノ関係ノ中デ、生ける神の決議である神ノ決議を認識したであろう」。