カール・バルト（その生涯と神学の総体像）

カール・バルト『教会教義学　神論�T／３　六章　�~の現実（下）』吉永正義訳、新教出版社に基づく

『教会教義学　神論�T／３　六章　�~の現実（下）』「三十一節　神の自由の様々な完全性　二　神の不変性と全能」２２−９（１３４−１４０頁）

「六章　�~の現実（下）　三十一節　神の自由の様々な完全性」について、バルトは、次のような定式化を行っている。
　神の自由の神性は、神ご自身の中で、またそのすべてのみ業の中で、ひとりでいまし、不変であり、永遠であられるということ、まさにそれと共にまた遍在され、全能であり、栄光に満ちた方であり給うということ、から成り立っており、そのことの中で真であることが確証される（この定式の詳述については、２０１８年１２月２８日の記事で行っています）。（３頁）

註：客観的な対象として存在している、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」（キリスト教に固有な類・歴史性）の関係と構造・秩序性等々については、＜カール・バルトの『教会教義学　神の言葉』および著作全般を根本的包括的に原理的に理解するためのキーワードとその内容について――幾つかの註＞（２０１６年６月１３日作成）で論じています、参考にしてください。

「三十一節　神の自由の様々な完全性　二　神の不変性と全能」２２−９
　今回バルトが論じていることを理解するために、先ず以て『教会教義学　神の言葉�T／１・２』で次のように述べられていることは重要である――「創造された世界」における「神の愛」と「われわれの世界」における「イエス・キリストの事実の中における神の愛」との間には差異がある、すなわち後者の神の愛は、「まさしく神に対し罪を犯し、負い目を負うことになった人間の失われた世界に対する神の愛」である、換言すれば「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方（起源的な第一の存在の仕方である父が、子として自分を自分から区別した、父の子としてのイエス・キリスト自身）である全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事としての「神の愛」である、それ故に「和解ないし啓示」は、「創造の継続」や「創造の完成」ではない、「和解ないし啓示」は、「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする三位一体の神の「失わない差異性」における＜第二の存在の仕方＞（性質、働き、業、行為、行動）である「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストの「新しい神の業」である――これは、「神的な愛の力」、「和解の力」である。イエス・キリストは、啓示者である父（≪「失わない差異性」における起源的な第一の存在の仕方≫）なる神の子としての啓示（≪父が子として自分を自分から区別した「失われない差異性」における第二の存在の仕方≫）として、和解主として、創造主のあとに続いて、三位一体の神の「失われない差異性」における「第二の存在の仕方」において「第二の神的行為（≪全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事≫）を遂行」したのである。この神の＜存在の仕方＞の差異性における「創造と和解のこの順序」に、「キリスト論的に、父と子の順序、父（≪啓示者、言葉の語り手、創造主≫）と言葉（≪啓示、語り手の言葉、起源的な第一の形態の神の言葉、和解主≫）の順序」が対応しており、起源的な第一の存在の仕方である父が子として自分を自分から区別した「和解主としてのイエス・キリスト」（第二の存在の仕方）は、「創造主としての父に先行することはできない」のである。しかし、父と子は、共に「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質としているから、この「従属的な関係」は、その＜存在の本質＞の差異性を意味しているのではなく、あくまでもその＜存在の仕方＞（性質、働き、業、行為、行動）の差異性を意味しているのである。このことは、「失われない差異性」における父なる神の起源的な第一の存在の仕方の中での「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする一人の神、「失われない差異性」における子なる神の第二の存在の仕方の中での「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする一人の神、「失われない差異性」における愛に基づく父と子の交わりである聖霊なる神の第三の存在の仕方の中での「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする一人の神、というご自身の中での神としてのその存在の本質とわれわれのための神としてのその神の人間へと向かう存在の仕方における神の自由の完全性、すなわちご自身の中での神としての神の自由としての「自存性の概念」と、われわれのための神としての神の自由としての「独立性の概念」――すなわち神とは全く異なるわれわれ人間の自己意識・思惟・理性によって為されるすべての条件づけからの神の自由としての「独立性の概念」との総体的構造（総体性、区別を包括した単一性）における神の自由の完全性を意味している。「創造が無からの創造であるように、 和解は死人の甦りである」、「われわれは創造主なる神に生命を負うているように、和解主なる神に永遠の生命を負うている」。この神の全き自由において・この神の自由の完全性において創造は、「契約の外的根拠」として、イエス・キリストが始原であり中心であり終極である「恵みの契約の歴史のための場所設定」（空間性）である、また恵みの契約の歴史（神の時間、神の側の真実としてある神の時間性）は、「創造の内的根拠」として、創造の目標であるその契約の歴史の始原であり、中心であり、終極であるイエス・キリストご自身である。「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方、啓示者である父なる神の子としての啓示、「啓示の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉、啓示・和解、神の側の真実としてある主格的属格として理解されたギリシャ語原典「イエス・キリストの信仰」――「イエス・キリストが信ずる信仰」、すなわち「律法の成就」・完了、「神の義、神の子の義、神自身の義」、成就・完了された個体的自己としての全人間・全世界・全人類の究極的包括的総体的永遠的な救済・平和そのものである「イエス・キリストは、きょうも、きのうも、いつまでも変わることがない」――このイエス・キリストにおける啓示の時間は、「時間の主の時間」であり、われわれ人間の問題に満ちた・「われわれ人間の失われた非本来的な古い時間」・世の中で、「実在の成就された時間」であり、それ故に神の側の真実として・それ故に「成就と執行」、「永遠的実在」として、ここに、「まことの現在、まことの過去と未来が存在するし、神の言葉がある」。
　事実実際的に、『教会教義学　神の言葉�T／１・２』は、バルトの教会教義学を一貫性をもってトータルにその内容を理解するために重要な著作である、もっと言えばバルトの本当の処女作である『ローマ書』「第二版＜序言＞」や『知解を求める信仰　アンセルムスの神の存在の証明』や『ルートヴィッヒ・フォイエルバッハ』や『福音と律法』や『カント』や『ヘーゲル』や『ナイン！――エーミル・ブルンナーに対する答え』や『ルドルフ・ブルトマン』も重要な著作である、何故ならば例えばバルトの全著作の内容を一貫性を持って理解するためにはその立場が『神の人間性』にまで貫徹されているバルトの本当の処女作である『ローマ書』「第二版＜序言＞」（バルトの重要な立場）が重要だからである。それにも拘らず、『ローマ書』「第二版＜序言＞」や『カント』や『教会教義学　神の言葉�T／１・２』をしっかりと読み理解しようともしないで、ただ高校の「倫理」資料レベルの知識でバルトの自然神学論を論じていたキリスト教的文芸評論家の富岡幸一郎は論外であるが、二元論的に前期バルトと後期バルトとを対立・分断させたり、事実的な政治や社会に貌を向けた部分としてのバルトを拡大鏡にかけて全体化したりして、それ故に結局はバルトを本当の処女作からの一貫性の下でトータルに理解することができずに、バルトを紹介し、バルトを論じ、教会の宣教にとって最善・最良の神学を構成したバルトを、多くの人々に誤解させ・またバルトに多くの迷惑をかけている、バルト論者やバルト主義者や＜反＞バルト論者や＜反＞バルト主義者たちあるいは雑多主義の折衷論者や折衷主義者たちが、高度消費資本主義社会における商業主義的メディア界に多くはびこっているのである。それだけでなく、『はじめての宗教論』で恣意的独断的にバルトの『教会教義学』のうち「第三巻第四部（邦訳『創造論 IV』全四冊）だけはぜひ読んだほうが良い」と述べている「高等教育を受け」とわざわざ自分を差異化し自分を本をいっぱい読んでいる知識豊富な知識人だと勘違いしているキリスト教的著述家・佐藤優のような者たちも存在する。後述するバルト自身が述べているように、事実実際的には、本当は、『教会教義学　神の言葉�T／１・２』をしっかりと読み理解しなくては、『創造論 IV』全四冊を一貫性を持ってトータルに理解することはできないのである。こういうバルト論者やバルト主義者や＜反＞バルト論者や＜反＞バルト主義者たちあるいは雑多主義の折衷論者や折衷主義者たちが、今までも現在もなお、教会の宣教にとって最善・最良の神学を構成したバルトを、多くの人々に誤解させ・またバルトに多くの迷惑をかけているのである、換言すればそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）における起源的な第一の形態の神の言葉・「啓示の実在」そのもの（具体的にはその第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言・最初の直接的な第一の啓示の「概念の実在」）に信頼し固執し連帯することを通して教会の宣教にとって最善・最良の神学を構成したバルトを、多くの人々に誤解させ・またバルトに多くの迷惑をかけているのである。バルト自身は、『バルト自伝』で、次のように述べている――すなわち、「イエス・キリストにおける私の恩寵の神学として組織だてるという私の仕事に生じた変化の意義を見かつ理解するためには、一九三二年と三八年に現われた私の『教会教義学』の最初の二冊を、ある程度研究する（≪『神の人間性』もそうであるが、本当の処女作である『ローマ書』「第二版＜序言＞」、『福音と律法』等からの一貫性において研究し理解する≫）必要がある」と述べている、すなわち邦訳の『神の言葉』�T／1、�T／2、II／1、II／2、II／3、II／4を読む必要があると述べている。事実実際的に、『教会教義学』の最初の二冊をしっかりとある程度研究し理解しないならば、その他の『教会教義学』の内容を一貫性をもってトータルに理解することは決してできないのである。したがって、佐藤は、事実実際的に、バルトを原理的に根本的包括的に一貫性をもって理解していないし理解できていないのである、ちょうどあの富岡幸一郎のように。このことはかつてすでに論じたことであるが、このような佐藤の姿勢は、マルクス『資本論』をめぐっての池上との対談において、『資本論』「第１版の序文」にあるマルクスの重要な立場を全く理解しないまま・誤解したまま・誤謬したまま論じていた姿勢と全く同じなのである。このような訳で、現存する高度消費資本主義段階の社会における商業的なメディア界においては、こういうところにメディア的知識人あるいは似非知識人の実姿があるように思われる。したがって、吉本隆明が述べていたように、このような商業的メディアやそこに登場する知識人あるいは似非知識人の知識や情報をそのまま鵜呑みにしたり模倣したりしない方がいいのである。

　さて、「世界の創造と保持の意味と秘義」（神の側の真実としてある、全き自由の神の、全き自由の神の存在としての全き自由の神の愛の行為の出来事）は、「救いの歴史の中で明らかとなる」――すなわち神の側の真実としてある救済史の中で、換言すればわれわれのための神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方、すなわちイエス・キリストの父――啓示者・言葉の語り手・創造主、父が子として自分を自分から区別した第二の存在の仕方、すなわち父の子としてのイエス・キリスト自身――啓示・語り手の言葉・和解主、愛に基づく父と子の交わりとしての第三の存在の仕方、すなわち聖霊――啓示されてあること・それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）・救済主（神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて与えられる人間的主観に実現された神の恵みの出来事、信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰の出来事）なる神、全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事全体の中で明らかとなる（これら「召されていること、和解されていること、義とされ、聖とされ、救われていること」を信仰の中で持つということ、すなわち神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰の中で持つということは、神の側の真実としてある「成就と執行」・「永遠的実在」として＜すでに＞と人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍の中において＜いまだ＞という啓示の弁証法の下で、終末論的信仰の下で持つということである。したがって、信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰を与えられた者たちは、その「完成」を、すなわち終末、復活されたキリストの再臨を待ち望まなければならないのである、あの「神への愛」と・「神への愛」を根拠とした「神の賛美」としての「隣人愛」――すなわち純粋なキリストの福音を内容とする福音の形式としての律法、すなわちすべての人々が純粋なキリストの福音を現実的に所有することができるために為すキリストの福音の告白・証し・宣べ伝えの関連性の中においてそうしなければならないのである）。この神の側の真実としてある救済史、「救いの歴史そのものの意味と秘義」は、イエス・キリストにおける啓示の時間、われわれのための神の時間、「キリスト復活の四〇日（使徒行伝一・三）」――「実在の成就された時間」そのものの意味と秘義は、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方である「イエス・キリスト」である（「新約聖書の証人たち」は、このキリスト復活四〇日をおぼえる想起において、「キリストの死」と「キリストの生涯」を想起する時、「光を得た」のである、「彼らは甦りの証人である」、彼らは「既に来た方」イエス・キリストは、「またこれから来たり給う方であることを語る」のである、すなわち終末、復活されたキリストの再臨、「完成」を語るのである）。したがって、「われわれはまたここでも、神の変わることのない生命の確証と実証について正しく語ろうと思うならば」、「最初にして最後のこととして、イエス・キリストについて語らなければならない」。「神の特別なこと」、また「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方である「本質的に、肉となった神の言葉（≪その存在の本質である「失われない単一性」・神性・永遠性における神性の受肉ではなく、その「失われない差異性」における第二の存在の仕方における言葉の受肉である≫）、イエス・キリストの特別なこと……に基づいている」「イスラエルと教会の特別なこと」の「すべての特別なこと……の中で」、「神が和解と啓示（≪「啓示の実在」そのものとして、客観的に存在する可視的な起源的な第一の形態の神の言葉、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおける神の自己啓示≫）の歴史の中で変わることのない仕方で生き給うすべての特別なこと」は、「先ず第一に、起源的に」は、客観的に存在する可視的な第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な「イスラエルと教会の特別なこと」ではなくて、神の側の真実としてある「神の特別なこと」である。したがって、われわれは、それが、「どの程度まで……そのような神の特別なことであり」、「それからどの程度までイスラエルと教会のまことに特別なことであるのか」を、「もっと綿密に説明しなければならない」。また、「世界の主および創造主としての神の存在と働きの一般的なこと」は、換言すれば世界の主および創造主としての、その全き自由の神の存在として全き自由の神の全き自由の愛の行為の出来事の「一般的なこと」は、「救いの歴史そのもの」は、「まず第一に、最後的に、その中心と起源において、イエス・キリストの歴史であるのであるから」、われわれは、その「一般的なことを、（≪「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失われない差異性」における第二の存在の仕方、啓示者である父なる神の子としての啓示、啓示・和解、起源的な第一の神の言葉、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間≫）イエス・キリスト（≪全き自由の「（神の自由なる）愛の確証と実証」、神の自己認識・自己理解・自己規定としてのイエス・キリストの名――人間の歴史的形態≫）の外では、捜し求め・見出すことはできない」。この「イエス・キリスト（≪イエス・キリストの名≫）における神の愛」は、「神自身の人間に対する神の愛と神に対する人間の愛の同一である」（『ローマ書』）。したがって、「神が不変なる仕方で生き給う方であるということ、またどのように神が不変なる仕方で生き給う方であるかということ」は、「先ず第一に、また最後的に、この名を担う人格と業の中で啓示され決定される」のである、換言すればこの名を担うその第二の存在の仕方（性質、働き、業、行為、行動）の中で啓示され決定されるのである。全き自由の「神の意志に従ってイエス・キリストの名のものとで起こったし、今も起こっていること」は、「創造、和解、救済の根拠および前提として、神の現実の行為である」、すなわち父、子、聖霊なる全き自由の神の存在としての全き自由の「神の自由な愛の行為」の出来事、全き自由の「（神の自由なる）愛の確証と実証」、神の自己認識・自己理解・自己規定である」。このような訳で、そのことは、「決して単に、神とは異なる実在（≪未知の宇宙を含めた全自然、その一部としての人間・その世界≫）の内部での運動ではない」。われわれが「どこかで神ご自身と関わらなければならないとしたら、われわれはこの業、すべてのそのほかの業の総内容の中で、神ご自身と関わらなければならない」、換言すればイエス・キリストにおいて自己啓示・自己顕現された「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の「失わない差異性」における三つの存在の仕方（性質、働き、業、行為、行動）を通して、聖性・秘義性・隠蔽性において存在するキリストにあっての神（それ故に、われわれは、神の不把握性の中にある、�Tコリント１３・１２）と関わらなければならない、すなわちその第二の存在の仕方・「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」イエス・キリストを通して聖性・秘義性・隠蔽性を本質とする神（それ故に、われわれは、神の不把握性の中にある、�Tコリント１３・１２）に関わらなければならない。このような訳で、「われわれは、（≪その意志を実際に遂行する「能力と力を持ち給う」≫）神の不変な意志と本質を探究し認識するに際して、（≪「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間、客観的に存在する可視的なイエス・キリストの名――人間の歴史的形態、この≫）イエス・キリストの背後にまで遡ることはできない」のである。したがって、「われわれは、神を、あらゆる事情の下で、まさにイエス・キリストの中で出来事として起こったし、今も起こっていることを為されたし・為し給う方として理解しなければならない」。このイエス・キリスト、「啓示の実在」そのものは、啓示に固有な証明能力を持っている、キリストの霊である聖霊の証しの力を持っている、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を持っている、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰）を与える力を持っている、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性としての「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）を持っている。したがって、キリストにあっての「神は、変わらない仕方でこの方であり、それ以外の何ものでもあり給わない」。

　「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」に即して言えば、キリストにあっての神は、「失われない単一性」・神性・永遠性を存在の本質とするから、その起源的な第一の存在の仕方である父は子として「自分を自分から区別」するし自己啓示する神として自分自身が根源（啓示者）であり、その区別された第二の存在の仕方である子（啓示）は父が根源であり、愛に基づく父と子の交わりとしての第三の存在の仕方である聖霊（啓示されてあること、「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性、その交わりの中で、父は子の父、言葉の語り手であり、子は父の子、語り手の言葉であるところの業・働き・行為）は父と子が根源である――この神は、子の中で「創造主として、われわれの父」として自己啓示するのであるが、「失われない単一性」・神性・永遠性というその存在の本質からは、父だけが創造主なのではなく、子と霊も創造主であり、父も創造主であるばかりでなく、子に関わる和解主であり、聖霊に関わる救済主でもある。全き自由の父、子、聖霊なる神の存在としての全き自由の神の全き自由な愛の行為の出来事全体としての「救いの出来事」は、「創造および和解」と共に、「神の自由な愛の行為（≪全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由な愛の行為の出来事≫）であるということを共通に持っている」。「神は、この出来事の中で、この出来事を起こらせる力と能力の中で、この出来事を成し遂げようとするその意志と決議の中で、この出来事そのものの実在の中で、事実、神であり、栄光に満ちてい給う」。「この出来事は、造られた世界の内部での、また造られた世界に対する出来事として」、われわれのための神としての「神の栄光を外に向かって大きく輝かしいものにする」が、しかしご自身の中の神としての「内に向かって神の栄光を、神の神的本質そのものを」、「そもそもそこではいかなる増大も減少もあり得ないし必要としないのである」が、「増大させることも減少させることもないということ」を、われわれは「よく考慮に入れなければならない」。この全き自由の「神は、世に対して、この出来事を起こらせなければならない義務を負い給わなかったし、今も負い給わない。……われわれに対しても、この出来事を起こらせなければならない義務を負わない」。このことは、「神が、創造を、救いの歴史の義務を負わないのと同様である」。何故ならば、全き自由の神は、「ただ自らご自身をそのことに対して拘束させ給うた限り、この出来事（≪全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由な愛の行為の出来事≫）をして起こらせるべく拘束されているのであって、それ以外の仕方で拘束されてい給わない」、「過去においても現在においても、事情はそのようである」。何故ならば、「神の自由」は、「自己自身である神の自由」（≪ご自身の中での神としての神の自由≫）としての「自存性の概念（≪自由の概念の積極的側面≫）」と「神とは異なるもの（≪神とは全く異なるわれわれ人間の自己意識・思惟・理性≫）によって為されるすべての条件づけからの神の自由」（≪われわれのための神としての神の自由≫）としての「独立性の概念（≪自由の概念の消極的側面≫）」とを持っているからである。このことの故に、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて「当然、感謝と祈りが神に捧げられるのであり」、このことは、「われわれを（≪信仰の認識としての神認識としての、啓示認識・啓示信仰としての≫）信仰と服従へと呼びだすのである」。「創造も、また和解と救済も」、ご自身の中での神としての「神の現実の行為であり」、またわれわれのための神としての全き自由の「神の自由な愛の現実の行為（≪全き自由の神の存在としての全き自由の神の自由な愛の行為の出来事≫）であるということ」――このことは、「イエス・キリストの中で見られ、（≪「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の第二の存在の仕方であるまことの神にしてまことの人間≫）イエス・キリスト――その人格と業（≪啓示・和解≫）に対する信仰と服従の中で学ばれ、神の啓示の現実の恵みの中で認識されることを欲している」、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神の起源的な第一の存在の仕方である＜イエス・キリスト＞の父――啓示者・言葉の語り手・創造主、父が子として自分を自分から区別した第二の存在の仕方である子としての＜イエス・キリスト自身＞、愛に基づくイエス・キリストの父と＜子としてのイエス・キリスト自身＞の交わりとしての第三の存在の仕方である聖霊――啓示されてあること・「神の言葉の三形態」の関係と構造・救済主なる全き自由の神の存在としての全き自由の神の全き自由な愛の行為の出来事全体の中で認識されることを欲している。