本当のカール・バルトへ、そして本当のイエス・キリストの教会と教会教義学へ向かって

カール・バルト『教会教義学　神論�T／２　六章　�~の現実（上）』吉永正義訳、新教出版社に基づく

『教会教義学　神論�T／２　六章　�~の現実（上）』「三十節　神的愛の完全性　三神の忍耐と知恵」（その５−４）−２（３２７−３３７頁）

「三十節　神的愛の完全性　三神の忍耐と知恵」（その５−４）−２
　神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における「神の知恵」は、「まことにこの神の知恵であるが故に、神の忍耐は、直ちに箴言一・二〇以下で、さらにまた八・一以下で」、「論理的――倫理的な原理の性格をもってではなく」、「人格の性格をもって、しかも明らかに預言者的な人格の性格をもって登場してくることができるし、登場してこなければならない」。神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における「神の忍耐」は、「神の知恵が呼ばわり、説教し、語ることが内容的に明らかに（ほとんど同じ言葉でまた預言者の説教でもあり得るような）よく知られた悔改め（≪正しい悔改めと神への立ち帰り≫）と裁きの説教、同時にまた救いを告げる説教以外の何ものでもないということから由来してくるのである」。「箴言三・一九以下」――「主は知恵をもって地の基をすえ、悟りをもって天を定められた。その知識によって海はわきいで、雲は露をそそぐ」。この「神の知恵の宇宙論的な定義の仕方でもって何が言おうとされているかということを、人は、その章の脈絡から読み取らなければならない……」。そのような「定義のしかた」で、「全くただあの脅かしと……知恵に関して為されなければならない主張が説明され、強調されている」――「知恵によって得るものは、銀によって得るものにまさり、その利益は精金よりも良いからである（一四節）」、「その右手には長寿があり、左の手には富と誉れがある（一六節）」、「知恵は、これを捕らえる者には命の木である。これをしっかり捕らえる人はさいわいである（一八節）」、「こうして、あなたは安らかに自分の道を行き、あなたの足はつまずくことがない。あなたは座しているとき、恐れることはなく、伏すとき、あなたの眠りはここちよい。あなたはにわかに起こる恐慌を恐れることなく、悪しき者の滅びが来ても、それを恐れることはない（二三−二五）」。「これらすべてのことは、どの程度まで力を奮うのであろうか。それは、その同じ知恵によって、一九節以下によれば、万物が造られ、支えられている限りにおいてである」。言い換えれば、それは（その「約束」は）、「神ご自身の説教」としての神の「知恵の、悔改めと裁きの説教、救いを宣べ伝える説教が（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて≫）受け取られること（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰される≫）によって……まこととなる」。このような訳で、「神の自己説明、神ご自身の知恵の説明」が、「ついでにまた世界を説明しているということの中で、力強い（神ご自身の知恵の）説明だけが存在するということ」――このことは、「見たところひどく宇宙論的に見える箇所においても」、「それ自身で独立したいかなる世界説明なるものも決して存在しないということ」を示している。何故ならば、「これは、主があなたの信頼する者であり、あなたの足を守って、わなに捕らわれさせられないからである（箴言三・二六）」。「この文脈の中で、さらにもっとよく知られている（≪神の「知恵自身が……語」った≫）箴言八・二二−三一の聖句が読まれなければならない」――ここでは、「三章におけるよりももっと明瞭に、……（≪神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における≫）知恵が、神の永遠的な（すべてのそのほかの業と比べて遥かに抜きん出た）業として、神を証しする最初の証言として、そのようにしてすべてのそのほかのみ手の業の創造の証人、名匠、喜び楽しむ仲間として、神と等置されている」。「それは、明らかに……神のすべての業は、それの側としても……神の知恵を神の最初の、起源的な業として証しする証人であるということを言うためである」。「それは、明らかに例えば一七節」――すなわち「わたしは、わたしを愛する者を愛する、わたしをせつに求める者は、わたしに出会う」ということが「強調されるためである」、また「それは、わたしを得る者は命を得、主から恵みを得る……（三五節）」ということが「強調されるためである」。このような神の「知恵の先行」性と「後続する警告」（例えば、三六節――「わたしを失う者は自分の命をそこなう、すべてわたしを憎む者は死を愛する者である」、すなわち「その知恵を聞かず、それに対して耳を傾けない者、その者はまさにそれと共にすべての地盤を足元から失うことになる」）の「強調」である。したがって、「もしも人」が、そのことは「『ただ』文脈から読み取れるだけであって、はっきりと言葉に出して述べられていないという理由」で、「この関連性について……疑うことができる」ことに対しては、「はっきりと言葉に出してこの関連性について述べるということ」が、「望み得る限りの明瞭さをもって」、「ヨブ記二八章の結論のところで為されている。われわれは、そのところで、箴言八章と正確に平行的な表現を読む」――「彼が風に重さを与え、水をますで量られたとき、彼が雨のために規定を設け、雷のひらめきのために道を設けられたとき、彼は知恵を見て、これをあらわし、これを確かめ、これをきめられた」。これに「直接続いて……こう言われている」――「そして人に言われた、『見よ、主を恐れることは知恵である、悪を離れることは悟りである』と（ヨブ記二八・二五以下）」。「箴言そのものの冒頭のところで」も、「はっきりと言葉に出して……『主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる』（箴言一・七）」、と言われている。「また、箴言九・一〇以下では……『主を恐れることは知恵のもとである、聖なる者を知ることは悟りである。わたしによって、あなたの日は多くなり、あなたの命の年は増す。もしあなたに知恵があるならば、あなた自身のために知恵があるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責めを負うことになる』」と言われている。「伝道の書の終わりで『事の帰する所』として……『神を恐れ、その命令を守れ。これはすべてに人の本文である。神はそのすべてのわざ、ならびにすべての隠れた事を善悪とともにさばかれるからである』（一二・一三以下）」と言われている。このような訳で、「神的な知恵は、創造の意味および根拠であり、その限りそこで人間が（≪絶えず繰り返し為さなければならない、正しい悔改めと神への立ち帰りに向かう生を≫）生きることができる地盤と場所の意味である」、「すべての生きることができるということ、すべての生きる技能、すべての生の明知は、……人間が（≪先行する≫）神の知恵を聞き、取り上げ、その限り自分自身知恵のある者となることから成り立っている」。このことは、「旧約聖書的な知恵の教え」が、「すべてのギリシャ的な知恵の教えと区別される別種ノモノヘノ移行（≪徹頭徹尾人間的なすべてのギリシャ的な知恵の教えと区別される神の側の真実としてある先行する別種の神の知恵、この知恵の出来事の自己運動によって与えられた知恵に信頼し固執する人間が人間的に所有する人間の知恵≫）と見えることが起こる」ことを意味している、換言すれば「人間を（≪究極的包括的総体的永遠的に≫）救い保持する」聖書的な知恵と（≪人間を究極的包括的総体的永遠的に「救い保持」しない人間的な≫）ギリシャ的な知恵との差異性についての認識と自覚に基づいた生を生きることが起こることを意味している。このような訳で、われわれ人間が、究極的包括的総体的永遠的に「人間を救い保持する」ところの「神の知恵を（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて≫）聞き取り上げること」は、「神をおそれることから成り立っているのである」、換言すれば神の言葉の第三の形態に属する全く人間的な教会が、われわれ人間が、神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における神の知恵を、その思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者としての起源的な第一の形態の神の言葉（具体的には、第二の形態の直接的な最初の第一の預言者および使徒たちのイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」、聖書的啓示証言のそれ）に信頼し固執して「聞き取り上げる」ということは、すなわちそれに聞き教えられることを通して教えるということは、「神をおそれることから成り立っているのである」。このような訳で、「神をおそれること」は、「世の創造、保持、支配の中で働く神的な知恵に相対して」、神の「知恵が、同時に神聖であり義しくあるということ……を通して規定されている」ということに対する「態度から成り立っている」、「換言すればこの知恵が、人間に対する神の忍耐の意味であり、根拠であるということを通して規定されている」ということに対する「態度から成り立っている」。「この（≪先行する≫）神的な知恵に対応している態度、それが、旧約聖書の意味で、人間によって習得されるべき、また人間に対して要求されている知恵である」。「主を恐れることは知恵のはじめである。これを行う者はみな良き悟りを得る。主の誉れは、とこしえに、うせることはない（詩篇一一一・一〇）」。「同時に、そのところでこの警告」が、「その民との契約の中で起こったし、なお起こっている」「神の業」（神の存在としての完全で全き自由の神の愛の行為の出来事）を「思い出す想起の結論を形作っていることに注意せよ」。「主はその民にあがないを施し、その契約をとこしえに立てられた。そのみ名は聖にして、おそれおおい（九節）」。「この主を恐れることが知恵のはじまりである時、神の知恵は、明らかに抽象的な世界原理とは全く違った何かであり、この知恵を認識すること」、すなわちあの「啓示と信仰の出来事」に基づいて与えられる信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰）を介した先行する「神の知恵に対応する人間の知恵は、特定の世界説明を抽象的に取り上げ受け取ることとは全く違った何ものかである」。この時、神の存在としての完全で全き自由の神の愛の行為の出来事としての「その啓示の中で、イスラエルに対して聖なる方および義なる方として働きかける方が、ただそのような方だけ」が、「世界原理であり」、「まさに、われわれが、この聖なる方および義なる方の前で、その方との契約の中で生きる（そのことが、この契約を結び、実行に移す中で啓示された方の本質に対応しているように、われわれがまさにそのようにして唯一の可能な生を生きることができるように、この聖なる方および義なる方の前で、その方との契約の中で生きる）ことを学ぶために（≪ただ主イエス・キリストにのみ感謝をもって信頼し固執し固着するという、正しい悔改めとキリストにあっての神への立ち帰りのために≫）、場所と地盤が与えられているという……認識だけが、実際の世界説明であるということについて決定が下されている」のである。『教会教義学　神の言葉�T／１・２』では、次のように言われている――イエス・キリストが、われわれ人間に対して、聖書および聖書に信頼し固執し連帯した教会の宣教を通して「同時的となる時と所」、「『神われらと共に』が神ご自身によってわれわれに語られるところ」においては、「われわれは神の支配のもとに入る」ことを承認し確認する、それ故にわれわれは、「世、歴史、社会を、その中でキリストが生まれ、死に、甦られたところの世、歴史、社会」として承認し確認する、それ故にわれわれは、「自然の光の中でではなく、恵みの光の中で、それ自身で閉じられ、かくまわれた世俗性は存在せず、ただ神の言葉、福音、神の要求、判定、祝福によって問いに付され、ただ暫時的にだけ、ただ限界の中でだけ、それ自身の法則性とそれ自身の神々に委ねられた世俗性があるだけである」ことを承認し確認する、それ故にイエス・キリストにおける啓示は、教会の宣教における福音が、「理念へと、有神論的形而上学へと、われわれに管理されるプログラムへと」、「鋭さをなくした」「十字架象徴論へと」、「イエス・キリストはたかだか＜暗号＞にすぎ」ない「神秘主義へと変わって行く」ことが見渡せる場所であることを承認し確認する、すなわちわれわれ人間の、その類・歴史性とその個・現存性の生誕から死までのすべてを見渡せ、またそれは、「この世の偽り、通俗の偽りを偽りと呼び、世俗的真理をも正直に受け取ることができる」場所であることを承認し確認する。したがって、ここでは、「人間にとって自分自身からして近づくことができ」「認識可能な神的知恵という表象は断ち切られる」（「ヨブ記二八章」、「箴言八章」）。神の「知恵はどこに見いだされるか。悟りのある所はどこか。人はそこに至る道を知らない。また生ける者の地でそれを獲ることができない。……（ヨブ二八・七以下）」、「一言で言えば、人間は神的な知恵を、そのほかすべてのものを、最後に、結局、人間が持つことができるような仕方で持ちことはできない。……『神はこれに至る道を悟っておられる。彼はそのある所を知っておられる。彼は地の果てまでもみそなわし、天が下をみきわめられるからだ』（ヨブ記二八・二〇以下）。……「そして人に言われた。『見よ、主を恐れることは知恵である……』（二八節）」。
　前述したことから、「旧約聖書の中で、まさに神の測りがたい（≪神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性、神の本質の単一性と区別、その総体性における≫）知恵を指し示す指示」が、アジア的な自然の原理や近代西欧における自由の原理や哲学原理・世界観や政治的近代国家における法等へのそれらを含めてあらゆる偶像崇拝というものが、また自然神学におけるあるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教における「偶像崇拝」というものが、「全く不可能」であり、「全く愚かであるであることの証明として引き合いに出されている時」、「何故そのように為されているのかがよく理解できるものとならなければならなし、ただそのところからしてだけそのことはよく理解できるものとなることができる」。「もしも（≪神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における≫）神の知恵」が、それ故に「神ご自身」が、「人間にとって、（≪神とは異なる被造物的な≫）世界において（≪あの「啓示と信仰の出来事」に基づかないでも、それ故にわれわれ人間の自己意識・思惟・「理性や力」・意志力・感情力・修行力によって≫）認識可能であるとするならば」、「もしも人間に対して、大水、海、渕、死が……ヨブ記二八章によれば語らないことを語るとすれば、もしもヨブ記二八章によれば人間に隠されていることがすべての生けるものの目の前で覆い隠されていないとしたらならば」、「神をすべての種類の偶像の中で崇めること」が「自然的な神認識の＜正当＞な業」、「＜必然的＞な業」となってしまうのであるが、その場合にはわれわれは、そのような神と人間との無限の質的差異の揚棄に対して、それ故に人間の神化あるいは神の人間化に対して、神学の人間学化に対して、カトリック主義キリスト教に対して、近代主義的プロテスタント主義的キリスト教に対して＜否＞を突き付けることができなくなってしまうのである、総括的に言えばその場合にはわれわれは、自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の段階のキリスト教に対して＜否＞を突き付けることができなくなってしまい、われわれは、自然神学の段階の道あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の段階の道の陥穽に陥ることになるのである。「しかし、旧約聖書は、それの前提からして、全く首尾一貫して、すべての偶像崇拝は愚かであると語るのである」、「よく理解せよ。それは、罪であるというのではなく、愚かさの形態の中での罪、人生についての弁えないものの業、世界のことに通暁した知恵のある者の業ではなく、まさに愚か者の業、換言すればまさにそこで人間が存在できる唯一の可能な（≪人間、人間の類の時間の中での≫）地盤および場所を全く逸している者、世界の創造者、保持者、主としての神の認識を全く逸している者の業」、すなわち「彼らが神認識の場所を、（≪信仰の認識としての神認識を与えられる場所であるあの「啓示と信仰の出来事」に置かないで、≫）（ちょうど人が金あるいは青銅の場所を山の中に見出すことができるように）見出すと思っているが故に（≪換言すれば人間の自己意識・思惟・「理性や力」・意志力・感情力・修行力によって見出すと思っているが故に≫）、主としての神の認識を全く逸している者の業であると語っている」。彼らは、啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力、キリストの霊である聖霊の証の力、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動、あの「啓示と信仰の出来事」に基づいて与えられる信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰）についての認識と自覚を持たないのである、持とうとしないのである。「……だれが、主の霊を導き、その相談役となって主に教えたか。主はだれと相談して悟りを得たか。だれが主に公義の道を教え、知恵を教え、悟りの道を示したか。見よ、もろもろの国民は、おけの一しずくのように、はかりの上のちりのように思われる（イザヤ四〇・一二以下）」、「それで、あなたがたは神をだれとくらべ、どんな像と比較しようとするのか（一八節）」。「まさにこのところからして」、「神は、存在するすべてのものの、この誤ることのない、完全な創造者、保持者、主であり給うが故に、異教的な工人とかじ屋の業に立ち帰ることはあり得ない。まさにそれだからこそ、神の偶像は存在しないのである」。このような訳で、あの「啓示と信仰の出来事」に基づいて与えられる「創造主なる神の実際の認識からしてこそ、ただ前方に向かって進む道だけが、換言すればご自分を創造主として、一般的な創造の中でではなく」、「イスラエルに対するその恵み深い、あわれみ深い行為の中で、啓示され認識すべく与え給う方への信頼に向かってつき進む道だけが存在する」。「ヤコブよ、何ゆえあなたは『わが道は主に隠れている』と言うか。イスラエルよ、何ゆえあなたは、『わが訴えはわが神に顧みられない』と言うか。あなたは知らなかったか、あなたは聞かなかった。主はとこしえの神、地の果ての創造者であって、弱ることなく、また疲れることなく、その知恵ははかりがたい。弱った者には力を与え、勢いのない者には強さを増し加えられる。年若い者も弱り、かつ疲れ、壮年の者も疲れはてて倒れる。しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、わしのように翼をはってのぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない（二七節）」。「人は、……神が創造されたすべてのものの中で、すべてのものの上にいますただひとりのまことの知恵ある方として告白され賛美される神の告白と讃美から」、「神がきわめ難い方であること、比較を絶した方であること」、それ故に「模写すべからざる方であることを知る認識」が、「換言すれば神ご自身イスラエルをして聞かしめ給うたあのところでの神認識」が、「まさに万物の創造者および主として、イスラエルの義をお忘れにならず、常に守り」、「（ちょうど神が、まさにイスラエルを覚え給う方として、イスラエルに対し義をつくり出し、常に新しい力を与え、また万物の創造者および主であり給うように）イスラエルを救い、強く為し給う方として、（≪あの「啓示と信仰の出来事」に基づいて≫）神を認識する認識」が、「まさにイザヤ書四〇章の中で、いわば真直ぐな道が、姿を現すのである」。「ここでは、いかなる思想の飛躍も起こっていない。それらすべてのことは、まさに旧約聖書的な神認識の中でこそ、実際に一つのことである（≪神の恵みと神聖性、神のあわれみと義、神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性におけるそれ、神の本質の単一性と区別におけるそれである≫）」。「人は、例えばエレミヤ一〇・一−一六でほとんど同じ思想の歩みを見出すのである」。「神の知恵を認識する場所、神の知恵が実際に存在し、神をおそれるおそれの中で認識される場所」は、「（人がその証言をその脈絡の中で、そのはっきりと言葉に出しての言明の中で、尊重する時）既に旧約聖書の証言に従っても」、「そこで神がご自身を（≪あの「啓示と信仰の出来事」に基づいて≫）世界の創造主、保持者、主として認識すべく与え給う場所である」。「それは、まさにイスラエルに対する（≪神の恵みと神聖性、神のあわれみと義、神の忍耐と知恵という神の本質の区別を包括した単一性における≫）神の聖にして義なる、恵み深く、あわれみ深い行為（≪完全な全き自由の神の存在としての神の愛の行為の出来事≫）である」。