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１４の１『教会教義学　神論�T／１　�~の認識』「五章　�~の認識　二十七節　神認識の限界」「二　人間の神認識の真理性」（375-395頁）
再推敲・再整理版です。

「二　人間の神認識の真理性」
　ここにおいて、われわれは、神の側の真実としてある神のその都度の自由な恵みの決断による＜総体的構造＞（下記の【注１】を参照）における「啓示と信仰の奇蹟」（「啓示と信仰の出来事」）に基づいて与えられる信仰の認識としての「神認識（≪啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）の終着点ということで」、イエス・キリストにおける神の自己啓示（下記の【注２】を参照）からして、「その対象を通して規定された、われわれが神認識と呼ぶ出来事、運動、人間的行為の……目標および終着点の限界のことを理解する」。すなわち、われわれは、あの総体的構造に基づいてわれわれ人間が人間的に所有する人間の信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）の終末論的限界のことを理解する。キリストにあっての神は、ただキリストにあっての「神を通してだけ認識され給うが故に、神認識はまた人間によって企てられ、遂行された行為としても客観的にも主観的にも（≪あの総体的構造から理解できるように、客観的にも主観的にも≫）、神ご自身を通して基礎づけられると同時にまた神ご自身を通してその目標にまで導かれるが故に、聖霊（下記の【注３】を参照）を通して父、子なる神こそが神認識の第一の主要な本来的な主体および客体であり給うが故に……循環が問題である」、換言すればあの総体的構造における三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事である、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に可視的に存在している第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」（キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）における第二の形態の神の言葉である聖書を、自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに対する他律的服従とその決断と態度としての自律的服従との全体性において、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音を尋ね求める「神への愛」と、そのような「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」――通俗的な意味でのそれではなく、純粋な教えとしてのキリストの福音を内容とする福音の形式としての律法、すなわちすべての人々が純粋な教えとしてのキリストの福音を現実的に所有することができるためになすそのキリストの福音の告白・証し・宣べ伝えのことである――という連関においてイエス・キリストをのみ主・頭とするイエス・キリストの「ヒトツノ、聖ナル、公同ノ教会」（その深化と豊富化）を目指して行くという終末論的な途上性における循環が問題である。何故ならば、われわれの神認識の探究（純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音の深化と豊富化の探究）は、「ただそのことに基づいてだけ、……確信と信頼をもってなすことができる」からである。このような訳で、「神は隠れた方であり給うから」、「ただ（≪あの総体的構造におけるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に可視的に存在している「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性に連続して行くという仕方で≫）批判的な思慮深さをもってだけなすことができる」のである。したがって、われわれの啓示認識・啓示信仰の「企てと行為を原理的に攻撃できる」のは、あの総体的構造における三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事である、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に可視的に存在している第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「�~の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性における第二の形態の神の言葉である聖書だけである。「まさにこの観点の下でこそ、われわれはこの企てと行為の成功（≪純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音の深化と豊富化≫）ということを問わなければならない」。

【注１】
　神の側の真実としてあるイエス・キリストにおける神の自己「啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力」、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊である」聖霊の証しの力、神のその都度の自由な恵みの決断による主観的な「認識的な必然性」（客観的な「啓示の出来事」の中での主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による「信仰の出来事」）を包括した客観的な「存在的な必然性」（客観的なイエス・キリストにおける「啓示の出来事」）を前提条件とした主観的な「認識的なラチオ性」（徹頭徹尾聖霊と同一ではないが、聖霊によって更新された人間の理性性）を包括した客観的な「存在的なラチオ性」――すなわち、三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事である、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に可視的に存在している第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身（「啓示ないし和解の実在」そのもの）を起源とする「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）における第二の形態の神の言葉である聖書（その最初の直接的な第一の「啓示ないし和解」の「概念の実在」、預言者および使徒たちのイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」）、その聖書を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした第三の形態の神の言葉である教会の＜客観的＞な信仰告白および教義（Credo）という総体的構造としてのそれである。

【注２】
　イエス・キリストにおける神の自己啓示は、自己自身である神としての（ご自身の中での神としての）自己還帰する対自的であって対他的な（完全に自由な）聖性・秘義性・隠蔽性において存在している（それ故に、人間論的な自然的人間であれ、教会論的なキリスト教的人間であれ、誰であれ、われわれは、神の不把握性の下にある。�Tコリント13・8以下）「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「三位相互内在性」における「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」の（それ故に、「三神」、「三つの対象」、「三つの神的我」ではない）、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」の中での三つの存在の仕方（性質・働き・業・行為・行動――父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体）における第二の存在の仕方、すなわち「啓示ないし和解の実在」そのものであり、起源的な第一の形態の神の言葉そのものであり、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間、「真に罪なき、従順なお方」「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」（「イエス・キリストの名」）において、その内在的本質である「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性の認識と信仰を要求する啓示である。

【注３】
　ここで、「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」の中での三つの存在の仕方における第三の存在の仕方である、神的愛に基づく父と子の交わりとしての「聖霊」は、その交わりの中で、「父は子の父」・「言葉の語り手」、すなわち啓示者であり、「子は父の子」・「語り手の言葉」、すなわち啓示である、換言すれば「啓示されてあること」――第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」（キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）の連続性のことである。

　「すべての（≪信仰の認識としての≫）神認識（≪啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）の始り」は、「神認識の終着点および目標として理解されることを欲している」。「その神認識の終着点および目標」は、信仰の認識としての「神認識の客体としての（≪「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおいて自己啓示されたところの、≫）聖霊を通しての父なる�~および子なる�~である」（前述した【注３】を参照）。「いと高きところで、神の隠れた存在と本質の中で起こっている出来事の中に」、換言すれば自己自身である神としての「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の根源・起源としての「父は子として自分を自分から区別する」し、「自己啓示する神として自分自身が根源」・起源であり、その「区別された子は父が根源」・起源であり、「神的愛に基づく父と子の交わりとしての聖霊は父と子が根源」・起源であるということの中に、それからまたこの神は、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」の中での三つの存在の仕方における第二の存在の仕方（起源的な第一の形態の神の言葉、「啓示ないし和解の実在」、語り手の言葉、和解主）である「子の中で（≪起源的な第一の存在の仕方である≫）創造主（≪啓示者、言葉の語り手≫）として、われわれの父として自己啓示する」のであるが、それ故に「父だけが創造主なのではなく、子と（≪神的愛に基づく父と子の交わりとしての第三の存在の仕方である≫）霊（≪「啓示されてあること」、「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性、救済主≫）も創造主」であり、「父も創造主であるばかりでなく、子に関わる和解主であり、聖霊に関わる救済主でもある」ということの中に、「後に従いつつ、それであるから副次的な非本来的な仕方で共に取り上げられ、その結果、神はただ単にご自身の認識（≪神の自己認識・自己理解・自己規定≫）の客体であり給うだけなく」、また「向かい合って立つ他なる者として」、換言すれば「聖書の主題であり。同時に哲学の要旨である」神と人間との無限の質的差異を固守するという＜方式＞の下で、（≪神の側の真実としてある神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいた≫）「人間的な認識の客体であり給うということである」。したがって、「キリスト教的語りがあるべきだとすれば」、神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいて、「神を人間的な認識の客体として表示する仕方は必然的である」。イエス・キリストにおける神の自己啓示がないとするならば、キリストにあっての「神は確かにいかなる人間的な認識の客体でもないし、いかなる人間的認識の客体も神ではない」のである。このような訳で、「われわれは、神を、……神の満ち溢れる愛の自由な行為としての神の啓示を通して、われわれの認識の客体として、われわれの確認と確証の対象となり給うことのできる方として、知るのである」。キリストにあっての「神はご自身をわれわれに向かって、……与えられた方として啓示し給う」――ここで、「われわれが神と関わるようになるとするならば、その時、そのことが実際に起こる可能性および必然性」は、「神がわれわれと関わりを持つことを欲し給うたということ、ただそのこと（≪�~の側の真実としてある常に先行する「神的『介入』」≫）の中にだけ基礎づけられている」、ただ神の側の真実としてあるあの総体的構造にだけ基礎づけられている、ちょうどただ常に先行する神の用意に包摂された後続する人間の用意ができているところの、「人間に対する神の愛と神に対する人間の愛の同一」（『ローマ書』）であり、「永遠の（神との人間の）和解」（神の側の真実としてある神の人間との架橋）であり、神との間の「平和」（ローマ五・一）であり、それ故に神の認識可能性である「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおいて、「神の用意の中に含まれて、人間にとって、神に向かっての、したがって神認識（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）に向かっての人間の用意が存在する」ように。したがって、われわれは、「神的『介入』」における、�~の側の真実としてあるあの総体的構造におけるキリストにあっての「神を、われわれの認識の客体として」、「神として言い表すことができる」。自己還帰する対自的であって対他的な（完全に自由な）自己自身である「神はご自身で、ご自身を通して、ご自身の中で、存在し給う方である」から、「われわれは、そのことを、絶対者等の何らかの哲学的な定義に基づいた語り」においてではなく、それとは「全く違った強調と力説の仕方」において、すなわちイエス・キリストにおける「神の自己啓示に基づいて語らなければならない」のである。われわれは、イエス・キリストにおける神の自己啓示からして、「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における三つの存在の仕方（父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体）――すなわち、「父（≪起源的な第一の存在の仕方、啓示者・言葉の語り手・創造者≫）、子（≪第二の存在の仕方、啓示・語り手の言葉・和解者≫）、聖霊（≪「父なる神の愛と子なる神の愛の霊」である第三の存在の仕方、「啓示されてあること」・「神の言葉の三形態」の関係と構造の連続性・救済者≫）としての神の自己啓示の中で」、「神は人間の認識の対象であり給うという事実を見る」。われわれは、「そのことで、神を、その本質のすべての深みにおいて事実、われわれを愛され、したがってご自身をわれわれにおくり与えられ、われわれの認識の対象としてご自分を措定する方」として、それ故に「（決してそれ）以外の者でない方としてだけ見出すことができる」。「まさにわれわれは、……神を……ただそのような方としてだけ見出すことによって」、常に先行する神の用意に包摂された後続する人間の用意という「人間の局面」は、「全くただキリスト論的局面だけであるということに感謝し、また感謝し続けるのである」。

　そのような訳で、われわれが、「われわれのためにいます神の対象性を必然的であるとか可能であるとかとみなすならば、全く誤解することになる」。すなわち、「神の対象性」は、イエス・キリストにおける神の自己「啓示の中でこそ」、「われわれがそのこと」を、神の側の真実としてある神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいて「神を直観と概念を用いて把握しようとするわれわれの能力に関して語ったのと同じように」、「恵みとして示されるのである」。「神がわれわれの認識の客体であり給うということ」は、われわれが、「この認識（≪神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）の主体であることをゆるされるというもう一つ別なことと同様」、「奇蹟（≪あの総体的構造における「啓示と信仰の奇蹟」・「啓示と信仰の出来事」≫）であり、それと同様にわれわれの願い求め、讃美、感謝の必然的な根拠である」。「われわれの認識の客体であり給う神」は、「神であるところのわれわれの認識の客体」は、すなわちあの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事の客体は、「もちろんわれわれの世界のただ中にあるひとつの実在である」、換言すればあの総体的構造における三位一体の啓示の唯一の類比としての神の言葉の実在の出来事である、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に可視的に存在している第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」（キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）の連続性の中で、「現にあるところのものであり給う」。「まさに神が世界の実在を神を証しする証しとし給うことによって、神はその啓示の中で、われわれにとって客体となるであろうし、客体的なものがわれわれにとって神を証しする証しとなることができる」のであるが、しかし「その時、その世界の実在は、神の恵みの現臨を通してすべてのそのほかの実在から際立った仕方で擢んでさせられた実在であるし、あくまでそのような実在であり続ける」のである。言い換えれば、「常に、神の言葉と霊の自由な恵みを通して」（あの総体的構造における「啓示と信仰の出来事」・「啓示と信仰の奇蹟」に基づいて）、「常に神の言葉の自由な選びと召命の中で」（あの総体的構造におけるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性の中で）、「神が現実にこの客体を通して証しされるということ」、「この客体が現実に神を証しするということ」、それ故に「われわれの（≪あの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての≫）神認識（≪啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）が真実なものであるということが起こる」のである。

　さて、「聖書の言葉の用語法の中で、真理（≪「ヘブル語のエメト」≫）という概念が持つ意味と機能」は、「さし当たって先ず（いわば法的に）ひとつの出来事あるいは事情の本来性を、それと共にその強固さ、力強さ、恒常性、したがってその負担力、有効性、拘束力、確実性を言い表している」。この「最後的には全体としての人間的な生を可能にし、基礎づけている実在は、その起源的な場所……その源泉を、人間の中に持ってはいない」、換言すれば「真理を認識し、語り、真理をそれとして確かめ、真理から、真理の中で、生きることが（≪生来的な自然的な≫）人間の能力と姿の中に含まれているといった具合に、人間の中には持ってはいない」。すなわち、「本来的に、決定的に、したがって現実的に、真理」は、「詩篇の中の数多くの箇所で言われているように」、「正確に見るならば、終始、イスラエルの中で語り、行動し給う主としての神の大権に属する賓辞である」――「『あなたの』（≪主としての神の≫）真理である」。それは、「繰り返し、その民の間で神がなし給うた啓示と救いの行為の大いなる賓辞と結びついて現われてくる（≪換言すれば、「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方、業・働き・行為、父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、啓示者・言葉の語り手・創造者の大いなる賓辞と結びついて現われてくる≫）」（「神のいつくしみ、善意、義、光」と「特に（そのような詩篇八九・一五、九八・三、一一五・一、一一七・二で言われており、それから例えばヨハネ一・一四以下で取り上げられているのであるが）神の恵みと結びついて現われている」）。したがって、「聖書の主題であり、同時に哲学の要旨である」神と人間との無限の質的差異を固守するという＜方式＞の下での「神の真理として、それ自身『大盾、また小盾』（詩篇九一・四）である」。それは、「神が約束をし、それらの約束を守り給う際のまことと共に現われている」。「神が語り行動されること、同時にまた、神がその語りと行動でもって意志し、努力し、造り出したまうこと、それはそれとしてまことである」。したがって、「人間的な存在、思惟、語り、行為の＜真実性＞」は、常に先行する「神の在り方と業」に、換言すれば常に先行する「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における三つの存在の仕方、業・働き・行為、すなわち父、子、聖霊なる神の存在としての父、子、聖霊なる神の自由な愛の行為の出来事に、後続する人間が、その常に先行する「神の在り方と業を堅くとって離さないで」、「神のまことに対してそれに対応するまことをもって答えて行くことであって、それ以外のなにものでもない」。

　旧約聖書における「真理」の概念的な意味は、「新約聖書の用語法においても、事情は少しも変わっていない」。そこで「真理」は、「それ自身それとして、自分自身の中で自足しており」、それ故に「恒常的で、有効で、信頼でき、それと共に人間的な語りと行為に対して、正しさという正確さを与えるところのことを意味している」。また「そのように理解された『正しさ』が今やまさに真理として言い表されており、そのようにして既に概念の中で神の啓示と関係させられている」。「真理」と「神の啓示」は等置され「同一視されている」。したがって、「既に七十人訳聖書が真理をしばしば真実と訳していたのであるが」、「真理の認識」は、「今やはっきりと信仰の認識として理解されている時、真理が今や恵みと共に、また恵みの後に続いて神のひとり子の満ち溢れる性質として言い表されており（ヨハネ一・一八）、霊と一緒に名指されている時（ヨハネ四・二四、�Tヨハネ五・六）、真理が、それによって弟子たちがきよめられる『あなたの言葉』と等置されている時（ヨハネ一七・一七）、イエス・キリストご自身が真理である時（ヨハネ一四・六）、イエス・キリストについての使信（≪あの総体的構造における第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性における第二の形態の神の言葉である聖書、その最初の直接的な第一の「啓示ないし和解」の「概念の実在」≫）が、今や『真理の言葉』（�Uコリント六・七、コロサイ一・五、エペソ一・一三、ヤコブ一・一八）と呼ばれている時、（≪あの総体的構造における「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性に連続して行くという他律的服従において≫）真理ヲ語ル（ガラテヤ四・一六、エペソ四・一五）ことが今やそのまま福音の正しい教え（≪純粋な教えとしてのキリストの福音・キリストにあっての神≫）として、あるいはこの教えに対応する態度（≪他律的服従への決断と態度としての自律的服従≫）として理解されている時、何も本質的なことが新しく事柄に付け加わってくるわけではない」。このような訳で、「真理の概念に関して、あの根本的な意味に関しても、それが実際に適用される際の適用の仕方に関しても、旧約聖書と新約聖書の間に完全な一致が成り立っている」。すなわち、「神のもとに真理がある。真理は神の真理である。神ご自身真理であり給う。あらゆる人を偽り者としても、神を真実な者とすべきである（ローマ三・四）。われわれが、（≪あの総体的構造に基づいて≫）真理を認識するならば、その時そのことはただ、真理そのものから出る解放を通して（≪神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で≫）起こることができる」。あの総体的構造に基づいた「われわれの認識の客体として神を直観と概念を用いて把握しようとするわれわれの企て」が、「正しい仕方」と「事柄から切り離せない形式において」、「真実である時」、「その企てに基づいて神について語ろうとするわれわれの試みは真実であり」、終末論的限界の下での途上性における「成功しつつある企てである」。キリストの復活から復活されたキリストの再臨までの聖霊の時代における終末論的限界の下での途上性の企ては、「ただ神ご自身の中で為し遂げられた完成に向かって近づいて行く業であることができるだけである（≪換言すれば、徹頭徹尾神の側の真実としてある、主格的属格として理解されたギリシャ語原典「イエス・キリストの信仰」、「イエス・キリストが信仰ずる信仰」による「律法の成就」・「律法の完成」、すなわち「神の義、神の子の義、神自身の義」、それ故に成就・完了された個体的自己としての全人間・全世界・全人類の究極的包括的総体的永遠的な救済、この救済概念は平和の概念を包括している――この「完成」は、復活されたキリストの再臨、終末を待たなければならない――に向かって近づいて行く業であることができるだけである≫）」。「われわれの認識」（信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）が、「神ご自身の中に、あるいは神を信じる信仰の中に隠された目標に向かう道の……途上にあるとするならば、その時、（≪あの総体的構造に基づいて≫）直観と概念を用いて神を把握しようとするわれわれの企ては、いかなる自己欺瞞でもないし」、「われわれの直観と概念の前提のもとで神について語ろうとする試みは、他の者を欺く欺瞞でもないのである」（あの総体的構造の内容を理解されたし）。何故ならば、あの総体的構造に基づいたそれは、「そのまま神の自己認識（≪・自己理解・自己規定≫）と一致することはできない」位相のものではあるが、あの総体的構造に基づいたわれわれ人間が人間的に所有する「われわれの認識として真実であることが出来る限りにおいて真実のものである」からである。

　さて、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊である」聖霊は、「啓示への個人的な参与を保証する」。パウロにおいて、「霊にあって」とは、「救いの福音を聞き、信じるようにさせる霊」、「知恵と啓示の霊」による「神の啓示への参与」、すなわち客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事の中での主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事における「人間の思惟、行為、語ること」を、「主観的に表示している概念」である。また、「キリストにあって」とは、客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「全く同じ事柄を、客観的に表示している概念」である。われわれが、イエス・キリストにおける救済、それ故に平和を神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいて「信仰の中で持つ」ことは、「約束として持つ」ことである。「われわれはわれわれの未来の存在を信じる。われわれは死の谷のさ中にあって、永遠の生命を信じる」。「この未来性の中で、われわれは永遠の生命を持ち所有する」。この「信仰の確実性」は、「希望の確実性」である。新約聖書によれば、神の恵みの賜物である「聖霊を受け」・「満たされた人」は、「召されていること、和解されていること、義とされ、聖とされ、救われていることについて語る時」、「すでに」と「いまだ」の啓示の弁証法において「終末論的に語る」のである。ここで、「終末論的」とは、「われわれの経験と感性」――すなわち、人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍にとっての＜いまだ＞であり、神の側の真実としてある客観的現実性、「成就と執行」、「永遠的実在」として＜すでに＞ということである。われわれは、キリストの復活から復活されたキリストの再臨、終末、「完了」までの聖霊の時代において、終末論的限界の下での≫）道の途上にあるのである」。このことは、「われわれの認識の限界を言い表している」。したがって、教会論的なキリスト教的人間であれ、神学者であれ、牧師であれ、誰であれ、「われわれの神学」は、「せいぜいのところ旅人ノ神学である」、終末論的限界の下での途上性の神学である。この、あの総体的構造における「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性に連続して行こうとする神学は、「旅人ノ神学であることができるというこの最上のことを約束する約束の下に立っている」。そのようなものとして、「その神学は、真実なものであることができるし、真実なものである……」。「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」――このイエス・キリストにおける神の自己啓示の中で、「われわれは、結局、……神の秘義の前に、しかしまた神の啓示の前に立っており、遠く離れて、……しかし同時にまた（≪あの総体的構造に基づいて≫）神の近さの中に立っている」。このような訳で、あの総体的構造に基づいた主観的な「われわれの認識（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）の真理性」は、「未来永劫、人間および被造物としてのわれわれにふさわしい、……神ご自身の真理性に対応している」のだが、「しかしまた、あくまでもそれとは区別された……（≪客観的なイエス・キリストにおける神の啓示の≫）真理性が問題である……」。

　「人は、この概念（≪旅人ノ神学≫）」について、「われわれの未来的・永遠的な神認識」と「われわれの現在的・時間的な神認識」とを区別し、前者を形而上学的に抽象し固定化する神学、すなわち前者を拡大鏡にかけて全体化する神学を、「永遠ノ祝福ヲ得タ人タチノ神学あるいは故郷ノ神学、すなわち……一度ですべてにわたって力を奮う仕方で信仰の目標地点に立って……顔と顔を合わせて神を認識する人たちの神学と呼んだ」のだが、その場合、その神認識の客体である神は、自己自身である神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在している「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする三位一体の神ではないことになってしまうのである。キリストにあっての「神としての神、ご自身の中での神は、われわれにとって、その時でも、隠されてい給う……」。そうでないならば、その神は、人間的理性や人間的欲求やによって対象化され客体化された「存在者」、「存在者レベルでの神」でしかないであろう、そうでないならば、その神は、「人間の想像能力・思惟能力・表象能力の本質が、現実化され対象化された……絶対的な本質（存在者）、……と考えられ表象されたもの以外の何物でもない」（『フォイエルバッハ全集第12巻』「宗教の本質にかんする講演下」）、そうでないならば、その「存在者」としての神は、「それよりは『むしろ無神論という安っぽい非難を受け入れた方がよい』」と「揶揄」・批判されてしまうそれであるだろう（『ハイデッガーの思想』）。

　神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で与えられる「われわれの（≪信仰の認識としての≫）神認識の真実性」は、「神の啓示の真実性」である。何故ならば、「神の啓示の真実性」は、「まず第一に、決定的に、……それが神の啓示であるということから成り立っている」からである、「誰か他の者、あるいは何か他の物が神を啓示するのではなく、神がご自身を啓示し給う」ということから成り立っているからである。キリストにあっての「神の啓示は、いずれにしても聖書の中では、そのように証しされている」。したがって、そのように受け取った「四世紀の教会は、聖霊の中に神ご自身とは違った単なる啓示の原理を見てとろうとした者たちに反対して、（≪「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方である≫）み子（≪客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事、客観的な「存在的な必然性」≫）と（≪「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における第三の存在の仕方である≫）聖霊（≪客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事の中での「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事、主観的な「認識的な必然性」≫）の神性（≪「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その神性≫）を弁護したのである」。「三位相互内在性」における「失われない単一性」・神性・永遠性を内在的本質とする三位一体の神の、その「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」の中での三つの存在の仕方における第二の存在の仕方、すなわち起源的な第一の形態の神の言葉、「啓示ないし和解の実在」、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおける「神の啓示」は、「それが直接の教示であるという理由で、また神が啓示の中で他ならぬご自身の証人であり、教師であるという理由で、神についての正真正銘の教示である」。「神が、その啓示の中で、われわれと関わりを持ち給うということ」が、あの総体的構造に基づいた「われわれの神認識を真実なものとするのである」、「正しい神認識」とするのである。「それだからこそ、（≪あの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で≫）神を直観と概念を用いて把握しようとするわれわれの試みは、（≪その途上における≫）成功しつつある試みである」。

　「われわれに対して聖書によって神の啓示として証しされている啓示」は、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」イエス・キリストにおける神の自己啓示からして、「隠れた神の啓示である」。したがって、このことは、「神が、そこで、（そのものに対して人間はいかなる力も持っておらず、持つようになることもない）主であるし、あくまで主であり続け給うということの中で示される」。「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」イエス・キリストにおける神の自己啓示からして、この「神の隠れこそ」が、「われわれの神認識は（≪神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいて≫）始まらなければならず」、またこの「神の隠れの認識からわれわれの神認識は決して遠ざかってはならないところの�~の啓示の恵みを、特徴的に示すのである」。このように、イエス・キリストにおける神の自己啓示においては、「神はまたここでも神であり、秘義であり給う」、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神」であり給う。「聖書の証言の中では事情はそうである」。「まさにこの秘義の中でこそ、神は、人間に出会い給い、ご自分を留保することなしに、……（≪神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で≫）人間に対してご自分を与え給う。この意志があるところ、そこにはまた、ご自分を知らせる力がある」。「神の啓示のこの真実性と共に、換言すればご自分を啓示しようとするこの神の意志と力と共に、……人間によって為される真実な（≪信仰の認識としての≫）神認識が存在する……」、あの総体的構造におけるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性に連続するという人間によって為される真実な（≪信仰の認識としての≫）神認識が存在する。

　イエス・キリストにおける「神の啓示の真実性」は、あの総体的構造におけるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性に連続するという仕方において「直観と概念を用いて遂行するわれわれの思惟と語り」を、「われわれ自身に対するわれわれの責任」と「他の者に対するわれわれの責任」を「まことに要求してくる」のである。言い換えれば、先に述べたあの総体的構造におけるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性に連続するという仕方における「神への愛」と、そのような「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」（すべての人々が純粋な教えとしてのキリストの福音を現実的に所有することができるためになすそのキリストの福音の告白・証し・宣べ伝え）という連関においてイエス・キリストをのみ主・頭とするイエス・キリストの「ヒトツノ、聖ナル、公同ノ教会」を目指すことを「まことに要求してくる」のである。このことは、「われわれに向かって神の言葉と霊を通して（≪神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造における客観的な「存在的な必然性」と主観的な「認識的な必然性」、すなわち客観的なイエス・キリストにおける「啓示の出来事」とその啓示の出来事の中での主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による「信仰の出来事」に基づいて≫）、神はいまし、誰であり、何を欲し、何をなし、これからもなし給うであろうか、またそのことがわれわれにとって何を意味しているか、ということが語られている」のであるから、あの総体的構造における「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）の連続性に連続するという仕方で「直観と概念を用いて遂行するわれわれの思惟と語り」は、「その者たちにとって事情がどうであれ、その結果……どうなろうとも、ともかく」「神の啓示に対して」、他律的な服従と自律的な服従との全体性において「責任をとって行くことなしに、われわれ自身および他の者たちに対して責任をとって行くことはできないということを意味している」。このようにイエス・キリストにおける「啓示の中での神の真実性」、「神の啓示の真実性」は、「神について考え、語るようにとわれわれに向かってなされている要求の真実性を基礎づけている」。また、それは、「われわれの無力さを痛感させる」。したがって、あのイエス・キリストにおける「神の啓示の真実性」からする「まことの要求」は、「われわれの無力さを痛感させることの中でこそ」、それ故に「神の真実性の力」――すなわち、神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいた「まことの要求として実証されるのである」。「神の啓示が起こることによって、人間は、神について思惟し語ることができない無能力さについて確信させられると同時に、また神の啓示が起こることによって、人間は、この彼の無力さにもかかわらず、この彼の無力さの中で、それにもかかわらず（≪神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいて≫）これら両方のことをなすよう要求されるのである」。したがって、「まことの人間的な（≪信仰の認識としての≫）神認識」は、その「要求の中にもともと含まれている神の真実性の力（≪イエス・キリストにおける神の自己「啓示自身が持っている啓示に固有な証明の能力」、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動、キリストの霊である聖霊の証しの力、神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造≫）によっている」のである。したがってまた、「人間のなす神認識」は、その「要求を避けてはならないということ」、その「要求を服従（≪あの総体的構造における「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性に連続して行くという他律的服従とその決断と態度としての自律的服従との全体性≫）の中で考慮に入れなければならないということ……の中で真実である」。何故ならば、イエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ご自身を啓示しようとする神の意志に対して、神の力が対応」しており、「ちょうど神の意志に対していかなる抵抗もあり得ないように、神の力に対してもいかなる抵抗もあり得ない」からである、また人間論的な自然的人間であれ、教会論的なキリスト教的人間であれ、誰であれ、「神に敵対し神に服従しないわれわれ人間は、肉であって、それゆえ神ではなく、そのままでは神に接するための器官や能力を持ってはいない」故に、また生来的な自然的な「『自分の理性や力（≪知力、感性力、悟性力、意志力、想像力等々≫）によっては』全く信じることができない」故に、われわれ人間の「無能力」の故に、イエス・キリストにおける神の自己啓示から「要求されていること」を、その人間の意志的な「行為を通してしようとしてもどうしてもできない」からである。しかし、キリストにあっての神は、「われわれがわれわれ自身からしてはできないこと」を、神の側の真実としてあるあの総体的構造に基づいて「われわれ自身を通してなすことができる」のである。したがって、われわれは、「われわれの直観、概念、言葉」を介した信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）の企ての可能性を、自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教におけるように、生来的な自然的な人間論的な自然的人間、教会論的なキリスト教的人間に「内在する意志と力に帰すわけにはいかない」のである。また、ここで「神の力」は、「人間が（以前できなかったことを今はすることができるように）何らかの意味で魔術的に変えられる」ということを意味しないし、「人間の能力を何らかの仕方で超自然的に広げるということを意味しない」のである。

　「罪人として義とされる」――「この義認」が、「神的主張に基づいて」、「神の啓示の真実性の中で出来事（≪神の側の真実としてある、神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造における「啓示と信仰の出来事」≫）となって起こる」ならば、その現にあるがままの人間の「彼は、その全き無力さの中で、……彼自身の栄誉ではなく」、すなわち「人間自身の栄誉ではなく、（≪「確か」に、神と人間との無限の質的差異を固守するという＜方式＞の下で、≫）神の栄誉が宿る場所となる」。「われわれは、（≪あの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で≫）われわれの主としてのイエス・キリストに固執することにより、またイエス・キリストがわれわれのかしらであるということに固執することにより、（中略）この主とかしらのもとで、またこの主とかしらとともに、……これからは神の義、神の子の義、神自身の義をまとっている者として生きることを許される」（『ローマ書新解』）。この「神的主張を通して、（≪区別を包括した単一性において≫）人間の身に及ぶ聖化の中で、彼の罪は決して無視されていないし、弁解のできるものでもない」、「彼の罪はそのまま除去されるわけでもない。ただ彼の罪は赦されるのである」、「その罪深い姿と行動の中で、神的適意の対象……神的適意の道具」とされるのである。「われわれは、神の恵みによって、（≪あの総体的構造に基づいて終末論的限界の下で≫）直観と概念を用いて神を把握し、われわれの無力さの中で、しかも（≪あの純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音を尋ね求める「神への愛」と、そのような「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関・循環において≫）神について語ることが許されるのである」。この時、われわれ人間は、「神の恵みに対する服従」（他律的服従と自律的服従との全体性）において、「ただ神だけを正しとし、少しも自分に正しさを帰さない」ところの、「神の恵みに対する……服従をなすことができる」のである。したがって、われわれは、「われわれの思惟と語りの真実性の栄誉を持つであろう方は、常に神であり、またただ神だけである」から、「あたかもそのことがわれわれにとって首尾良く成功したかのように、あたかもわれわれがそのことをなし遂げ完遂したかのように、それについて誇りはしない」のである。したがってまた、われわれは、われわれの思惟と語りが、「キリスト教的語りの正しい内容の認識として祝福され、きよめられたものであるか、それとも怠惰な思弁でしかないかということは、神ご自身の決定事項であって、われわれ人間の決定事項ではない」のであるから、われわれの思惟と語りは、「『主よ、私は信じます。私の不信仰を助けて下さい』というこの人間的態度（≪「祈り」の態度≫）に対し神が応じて下さる（≪「祈りの聞き届け」≫）ということに基づいて成立している」と言うのである。この「謙虚さは、（≪区別を包括した単一性における≫）＜裁き＞の中で示される＜恵み＞を堅くとって離さない」こということである。したがって、この「謙虚さ」は、われわれを、「裁きによって常に新しく神を問うて行く問い、換言すればその啓示の中での神を問うて行く問い（≪あの総体的構造におけるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性に連続するという仕方で、あの「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関・循環において、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音を尋ね求める問い≫）……に向かって駆り立てる」のである。したがって、それは、「あたかもわれわれが、今や確かに神について考え語ってしまったかのように」、また何らかの仕方で得られた既存の「われわれの思想と言葉を単に繰り返して行きさえすればよいかのように」、また恣意的独断的に啓示を「例証」すればよいかのように、思惟し語ることでは決してないのである。したがってまた、「われわれの神認識の真実性は、そのような単なる繰り返しの故に、死んでしまうことがあり得る」のである。何故ならば、「われわれの（≪信仰の認識としての≫）神認識は、その真実性を、決してそれ自身の中に持っていない」からである、換言すれば「その真実性は、（≪それ故に「われわれにとっていつでも未来的であるあるところの道」の途上性の下で、終末論的限界の下で、≫）神の啓示の真実性に由来している」からである。われわれ人間が人間的に所有する人間の信仰の認識としての「神認識の真実性について語られ得る決定的なこと」は、「われわれが神の啓示の真実性を思い出す（≪想起する、換言すればあの総体的構造における第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性における第二の形態の神の言葉である聖書を、自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として媒介・反復する≫）ということでもって……語られている」――「このことが、出来事となって起こることによって（≪神のその都度の自由な恵みの決断によるあの総体的構造における「啓示と信仰の出来事」が起こることによって）、神を直観と概念を用いて把握し、神について語ろうとするわれわれの人間的な企ては、成功しつつある企てである」。このような訳で、「われわれが神認識の出発点として知ることを学んだところの神の啓示（≪神の側の真実としてある、あの総体的構造におけるその啓示の出来事の中での主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による「信仰の出来事」、すなわち主観的な「認識的な必然性」を包括した客観的なイエス・キリストにおける「啓示の出来事」、すなわち客観的な「存在的な必然性」≫）の恵み」は、「われわれの神認識の終着点である」、「ちょうど隠れた神が、したがって隠れた神を信じる信仰が（≪神の側の真実としてある、あの総体的構造における主観的な「認識的なラチオ性」、すなわち徹頭徹尾聖霊と同一ではないが、聖霊によって更新された人間の理性性を包括した客観的な「存在的なラチオ性」、すなわちそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性である「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性の連続性における信仰が≫）、神認識の始りを形成しているように」。キリストにあっての「真実な神は、したがって（≪キリストにあっての≫）真実な神を信じる信仰は、神認識の目標を形成している」。