カール・バルト（その生涯と神学の総体像）

７の２『教会教義学　神論Ⅰ／１　神の認識』「五章　神の認識　二十六節　神の認識可能性」「一　神の用意」

７の２『教会教義学　神論Ⅰ／１　神の認識』「五章　神の認識　二十六節　神の認識可能性」「一　神の用意」（137-154頁）
再推敲・再整理版です。

 

「一　神の用意」
　７の１で述べた「脈絡全体の中で」、われわれは、「われわれに（≪啓示の≫）真理が啓示されるところの（≪啓示の≫）真理を＜神の適意＞と同一視したことによって」、「ローマ・カトリック教会の基本的な神学の中にその古典的な、最も鋭い表現を見出す神の認識可能性についての教説」――すなわち「ヴァチカン公会議のカトリック信仰についての教義憲章、第二章啓示について（一八七〇年四月二四日）の中で言われている、同ジ聖ニシテ母ナル教会（≪第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会≫）ハ、スベテノ物ノ始メデアリ終局デアル神ヲ、＜人間ノ自然的理性ノ光ニヨッテ＞、＜被造物ヲ通シテ＞、＜確実ニ認識スルコトガデキルト確信シ、教エル＞」という「神の認識可能性についての教説」に対して真っ向から反対した」のである。言い換えれば、われわれは、それとは全く逆に、「まさに、その同じ会議で正式に決定された文書の中で断罪されている……立場」――すなわち「創造者デアリ、ワレワレノ主デアル唯一ノ真ノ神ハ、（≪生来的な自然的な≫）＜人間理性ノ自然的ナ光ニヨッテ＞、＜被造物ノ中カラ＞＜確実ニコレヲ認識スルコトガデキナイ＞」という立場に立脚することを述べたのである。われわれは、キリストにあっての「神は、ただ（≪キリストにあっての≫）神を通してだけ、換言すればその自己啓示の神的介入の出来事の中でだけ」、すなわち神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示の客観的可能性」としての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「啓示の主観的可能性」としてのその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事（「啓示と信仰の出来事」）に基づいてのみ終末論的限界の下で認識可能であるということを述べたのである。何故ならば、イエス・キリストにおける神の自己啓示は、その「啓示に固有な証明能力」を、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である聖霊の証しの力を、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えることができる授与能力を、三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事であるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とするキリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）を持っているからである。もしもそうでないならば、それは、まさに客観的な正当性と妥当性とをもって根本的包括的に原理的に揶揄・批判したフォイエルバッハやハイデッガーのキリスト教批判の対象そのものでしかないそれとなってしまうであろう。

 

　このような訳で、バルトは、『教会教義学　神の言葉』および『バルトとの対話』で、次のように述べている――（ア）「哲学、歴史学、心理学等は、この神学的問題領域のどれにおいても、事実上、教会の自己疎外の増大以外のなにものにも役立ちはしなかった」、「神についての教会の語りの堕落と荒廃以外の何ものにも役立ちはしなかった」、またその場合、「哲学は哲学であることをやめ、歴史学は歴史学であることをやめる」、キリスト教哲学は、「それが哲学であったなら、それはキリスト教的ではなかった」、「それがキリスト教的であったなら、それは哲学ではなかった」、（イ）「われわれが哲学的用語をつかうという事実にもかかわらず、神学は哲学的試みが終わるところから始まる」、すなわち神学も理性的な知的営為ではあるが、「神学は方法論的には、ほかの学問のもとで何も学ぶことはない」、（ウ）第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会の宣教、その一つの補助的機能としての神学における思惟と語りが、「キリスト教的語りの正しい内容の認識として祝福され、きよめられたものであるか、それとも怠惰な思弁でしかないかということは、神ご自身の決定事項であって、われわれ人間の決定事項ではない」のである、それ故に教会の宣教、その一つの補助的機能としての神学における思惟と語りは、「『主よ、私は信じます。私の不信仰を助けて下さい』というこの（≪祈りの≫）人間的態度に対し神が応じて下さる（≪祈りの聞き届け≫）ということに基づいて成立している」のである、と。

 

　われわれは、「神の認識可能性の問題の要点を述べるに当たって……、はじめからはっきりとキリスト教的な（≪「神論の決定的に重要な構成要素」であり「啓示の認識原理」である三位一体の神という≫）神観を考慮に入れた」。「われわれははじめから、その（≪イエス・キリストにおける神の自己≫）啓示の中で認識可能な業と行為（≪内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわち父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体≫）の中にいます三位一体のまことの神について語ったのである」。何故ならば、ご自身の中での神としての自己還帰する対自的であって対他的な（すなわち完全に自由な）聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」は、「子の中で、創造主として、われわれの父として自己啓示」したからである。イエス・キリストは、「まさに顕サレタ神こそがまさに隠サレタ神である」。この「まさに顕サレタ神こそがまさに隠サレタ神である」という「この神について、この神の真理について」、われわれは、「ただ神ご自身の恵みとあわれみを通してだけ」、すなわち神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示の客観的な可能性」としての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「啓示の主観的可能性」としてのその啓示の出来事の中での主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいてのみ「認識可能であるということを語った」のである。「われわれは、『神』ということで……スベテノ物ノ始メオヨビ終局も、また創造者も、ただ単にそれだけでなく、同時にまた和解者なる神をも、また救済者なる神をも、理解した」のである、「神の単一性をまことに真剣に受け取ったのである」。言い換えれば、われわれは、イエス・キリストにおける神の自己啓示において、ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」を、それからまたわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわち父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体を、理解し、まことに真剣に受け取ったのである。イエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」、「イエス・キリストの名」（その外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）において、その存在の本質である内在的な「失われない単一性」・神性・永遠性の認識（啓示認識）と信仰（啓示信仰）を要求する啓示なのである。

 

　「ひとりの、全き神を念頭に置いてわれわれはその認識可能性の問いに対して答え、まさにそれ故にこそわれわれは、実際に今なされたように答えなければならなかった」のである。「われわれが語った個々のことは、すべて、この（≪前述したような三位一体の神として≫）総括しつつ見ることによって条件づけられていたのである」。「われわれは、例えば（≪「神ご自身においてのみ実在であり真理である」≫）神の主権について語った時、それが罪人の世にあっての聖なる方の支配であることを念頭に置いた」のである。ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方であるイエス・キリストが、われわれ人間に対して、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身（「啓示ないし和解の実在」そのもの）を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書（「啓示ないし和解」の「概念の実在」）を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした第三の形態の神の言葉である教会の宣教を通して、「同時的となる時と所」、「『神われらと共に』が神ご自身によってわれわれに語られるところ」においては、換言すれば神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えられるところにおいては、「われわれは神の支配のもとに入ることを承認し確認する」のである、すなわち「世、歴史、社会を、その中でキリストが生まれ、死に、甦られたところの世、歴史、社会として承認し確認する」のである、「自然の光の中でではなく、恵みの光の中で、それ自身で閉じられ、かくまわれた世俗性は存在せず、ただ神の言葉、福音、神の要求、判定（≪裁き≫）、祝福によって問いに付され、ただ暫時的にだけ、ただ限界の中でだけ、それ自身の法則性とそれ自身の神々に委ねられた世俗性があるだけであることを承認し確認する」のである。「それ故にこそわれわれは、（≪「神ご自身においてのみ実在であり真理である」≫）神の主権が、（≪われわれ人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍に依拠した≫）われわれによって持ち出されるすべての類比から身を引いていることを確かめたのである」、換言すれば神の主権は、われわれ人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍に依拠した「われわれによって持ち出されるすべての類比」によっては認識不可能であることを確かめたのである。

 

　「われわれは、創造者なる神について語った時、その方が（≪ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」として≫）救済者なる神（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第三の存在の仕方、すなわち聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事≫）として死人を甦えらせる神と同じ方であり給うということを念頭に置いた」のである。したがって、われわれは、「神の創造も、（≪われわれ人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍に依拠した≫）われわれによって持ち出されるすべての類比から身を引いていることを確かめたのである」。したがってまた、「われわれは、（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方である≫）和解者なる神、および（≪その外在的な「失われない差異性」における第三の存在の仕方である≫）救済者なる神について語る」時、「その同じ方がまた（≪ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神、≫）主であり、（≪その外在的な「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である≫）創造者であり給うということを想起しなければならない」のである。「神のこの単一性（≪その存在の本質としての内在的な「失われない単一性」≫）を念頭に置いて、われわれは、神の認識可能性の問題に関して、われわれが与えた答えにまで到達したのである」。したがって、ローマ・カトリックの「創造者デアリ、ワレワレノ主デアル唯一ノ真ノ神」という主張のように、一面的固定的「抽象的ニ」「主および創造者なる神だけを考える時」、換言すればその一面だけを拡大鏡にかけて全体化して思惟し語る時、「人はひとりの、まことの神について」、「実在の主および創造者について、本当に語ることはできない」のである。したがって、『神学者カール・バルト』の訳者がその「訳者あとがき」で、時系列的判断に依拠して、「バルトが（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第三の存在の仕方である≫）『聖霊』を口にする場合、それは『教会教義学』の第四巻（殊に第三部）（≪『和解論』≫）以来ますます載然と、排他的に（≪その外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方である≫）イエス・キリスト自身の霊的臨在（≪聖霊的臨在≫）またはその力をさし、したがって自然神学へのブルンナー的遡行（またはヘーゲル的哲学化）を許す『父の霊』は考えられていない」と述べた時、ローマ・カトリックの主張とは全く逆の根本的包括的な原理的な誤解と誤謬を犯しているのである。訳者は、「バルトが『聖霊』を口にする場合」、「『教会教義学』の第四巻（殊に第三部）（≪『和解論』≫）以来……排他的にイエス・キリスト自身の霊的臨在（≪聖霊的臨在≫）またはその力をさし」と述べているのであるが、この主張は全くの誤解・誤謬であるのである。何故ならば、バルトは、『教会教義学　神の言葉』で、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第三の存在の仕方である聖霊を、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」として規定しているからである。訳者は、バルトにおける「三位相互内在性」における内在的なご自身の中での神についての認識を欠いているのである。すなわち、ご自身の中での神としての自己還帰する対自的であって対他的な（すなわち完全に自由な）聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」の「起源」・「根源」としての父は「子として自分を自分から区別するし自己啓示する神として自分自身が根源」であり、その区別された子は「父が根源」であり、愛に基づく父と子の交わりとしての聖霊（父なる神と子なる神の愛の霊）は「父と子が根源」である、それからまた、この神は、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（性質・業・働き・行為・行動・活動、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、啓示、語り手の言葉、起源的な第一の形態の神の言葉、和解主）の中で、すなわち「子の中で（≪その外在的な「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である≫）創造主（≪父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、啓示者、言葉の語り手≫）として、われわれの父として自己啓示する」という認識を欠いているのである。ご自身の中での神からして、すなわち「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神からして、父だけが創造主なのではなく、子と霊も創造主であり、父も創造主であるばかりでなく、子に関わる和解主であり、聖霊に関わる救済主（≪その外在的な「失われない差異性」における第三の存在の仕方、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、啓示されてあること、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」の関係と構造・秩序性≫）でもあるのである。訳者は、この認識を欠いているのである。したがって、訳者の言う「父の霊」への「排他」性は、本質的に全く成立し得ないのである。したがってまた、訳者の言うバルトのその外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方である「キリスト自身の霊的臨在」の強調は、和解論がご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）であるイエス・キリストに関わる事柄だからであり、その第二の存在の仕方に重点を置いて論じているからである。イエス・キリストにおける「啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力」は、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示の客観的可能性」としての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「啓示の主観的可能性」としてのその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいて初めて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えることができる授与能力を持っているということを意味している。

 

　人は、ローマ・カトリックのように、形而上学的一面的固定的「抽象的ニ」「ただ神のひとつの面だけを念頭に置いて、神の認識可能性について語ること」はできないのである。「聖書の中で証しされている神の言葉」は、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神、「主なる神、（≪それからまたわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である≫）創造主なる神について語っている場合でも、アブラハム、イサク、ヤコブの神について、イスラエルの歴史のヤハウェについて、罪を赦しその民の救いであり給う神について、それであるから……（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方である≫）和解者および（≪第三の存在の仕方である≫）救済者なる神について、語っている」のである。「聖書の中で証しされている神の言葉は、……イエス・キリストの中でその三位一体的な本質と三位一体的なひとつの名を啓示されたひとりの神……について語っている」。したがって、ローマ・カトリックの「分割」された一面的固定的抽象的な「教説が述べている主オヨビ創造者なる神は、結局、最後的には、教会の根拠と存在」である、すなわち第三の形態の神の言葉である教会の宣教における原理・規準・法廷・審判者・支配者である起源的な第一の形態の神の言葉である「イエス・キリストによって、（≪具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言、≫）預言者と使徒たちによって、拘束されているのではない」ところの、「ただ（≪恣意的独断的にただの人間である≫）自分自身に信頼している人間的思惟（≪人間的理性や人間的欲求や≫）が考え出した形成物でしかない」のである。聖書的啓示証言における「神の啓示を通しては、そのように分割を為すローマ・カトリックの教説は、要求されておらず、またそのようなことを為す力も与えられてはいない」のである。起源的な第一の形態の神の言葉である「イエス・キリスト（≪「啓示ないし和解の実在」そのもの≫）が、（≪具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言、≫）預言者と使徒たち（≪「啓示ないし和解」の「概念の実在」≫）によって証しされたイエス・キリストが、教会の根拠および存在であり給う時、そのようなほかのところから得られた知識は、キリスト教的教説の中では異質な夾雑物であり」、それ故に「あの分割は、教会の中で不可能な取り扱い方」なのである。

 

　さて、前述した「第一の対立は、第二の、さらに重要な対立へとわれわれを導く」。「われわれが、神の認識可能性を問う問いに答えるに当たって、念頭に置いた神の単一性は、神の業と行為（≪神の三つの存在の仕方、すなわち父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体≫）の単一性であった」、換言すればご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方であった。われわれは、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」、「主、（≪それからまたわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわち≫）創造者、和解者、救済者として、神が、われわれの間で、われわれに対して、現にいます裁きと恵みの歴史の主体として……神を理解した」のである。したがって、「昔いまし、今いまし、将来もいますであろう方として」、それ故に「最高にリアルに存在する方として、……われわれのためにこの業と行為の中で存在する方（≪父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体あるいは父、子、聖霊なる神の自由な愛の行為の出来事全体としての神の存在≫）として理解した」のである。「この存在する方の認識可能性を、この歴史の主体のリアルな存在の真理を、われわれは問うた」のである。「そしてこの問いに対して、われわれは、神の認識可能性は、神の適意である、という答えを与えた」のである。すなわち、神の認識可能性は、イエス・キリストにおける「啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力」、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示の客観的可能性」としての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「啓示の主観的可能性」としてのその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事（「啓示と信仰の出来事」）に基づいて終末論的限界の下で与えられるという答えを与えたのである。この「神の認識可能性は、神的な介入の行為の中での出来事（≪「単なる知識」の授与ではなく、信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事の授与の出来事≫）であり、それ以外の何ものでもない」のである。第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な「ローマ・カトリックの教説は、いずれにしても、この問いを問うてはいないのである」。したがって、そのローマ・カトリックの教説――すなわち「神の啓示なしにも認識できる神の認識可能性についてのその命題」は、それ故に「先ず抽象的ニ創造者なる神の認識可能性を問う命題」は、「この問いに対する答えではないのである」。ローマ・カトリックの教説の「先ず（≪一面的に分割し≫）抽象的ニ創造者なる神の認識可能性を問う命題」においては、「その業と行為の中での神の存在（≪父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体あるいは父、子、聖霊なる神の自由な愛の行為の出来事全体としての神の存在≫）が問題ではなく、ただそれとして（≪創造者なる神として一面的に分割し≫）抽象的ニ見られた神の存在が問題」なのである。このローマ・カトリックの教説は、三位一体の神を一面的に分割し「スベテノ物ノ始メト終局、創造者なる神、はいます」ということを念頭に置いて、「神は認識可能であり、神の啓示なしにも認識可能である、と決定を下した」のである。すなわち、「聖書の主題である、同時に哲学の要旨である」神と人間との無限の質的差異を固守するという＜方式＞を持たずに、さらに「啓示なしにも認識できる」として、三位一体の神を一面的に分割し、「抽象的ニ理解された神の存在」に対して、「全く別な平面の上で」、「人間ノ自然的理性ノ光」・生来的な自然的な「人間理性ノ自然的ナ光」を持った人間の「存在が帰せられた」のである。総括的に言えば、自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教を温存させたのである、承認したのである。すなわち、「存在するものの類比、存在ノ類比」、「存在に対する神と人間の関係」は、「それぞれ全く違ったものであり、神と人間は存在に対して全く違った仕方で参与するのであるが」、「神と人間がいずれにしても一緒に把握される存在理念を承認した」のである。その場合、神の認識可能性は、「神とわれわれを包括する存在者の類比から成り立つ」ことになる。したがって、ハイデッガーから揶揄・批判されたブルトマンの場合と同じように、その教説は、生来的な自然的な人間的理性や人間的欲求やが恣意的独断的に対象化し客体化した「存在者レベルでの神への信仰」（偶像崇拝）としかならないのであるから、「それよりは『むしろ無神論という安っぽい避難を受け入れた方がよい』」と、客観的な正当性と妥当性とをもって根本的包括的に原理的に揶揄・批判されるものでしかないのである。

 

　われわれの神の認識可能性についての命題は、「神はただその（≪イエス・キリストにおける神の自己≫）啓示からだけ」、その「啓示自身が持っている啓示に固有な証明能力」によってだけ「認識可能である」という点にある。ところで、ローマ・カトリックのゼーンゲンは、「一九三七年の……『信仰ノ類比』という二論文の中で」、「神の存在の認識は神の行為の認識に、したがって存在ノ類比は信仰ノ類比に、……従属させられるべきである」と述べている――「存在は活動に従う」、「存在の認識は活動の認識に従う」、「信仰ノ類比は存在ノ類比を贖イ、高メルトコロノモノである」、「換言すれば、イエス・キリストを通して取リ上ゲラレルコトを必要としている」、「人間的ナ性質ヲトル神ノ言葉ハ、存在ノ類比ヲ取リ上ゲルワレワレノ『信仰ノ類比』デアル」、「それであるから、信仰ノ参与は徹頭徹尾、存在ノ参与と対立している訳ではない。むしろ信仰ノ参与こそが存在ノ参与デアル」、と。起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を持っている「神の言葉が、信仰のすべての生きた運動の中での主権的な主体であり続けるために」、換言すれば「啓示の客観的可能性」としての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事と「啓示の主観的可能性」としてのその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えることができる客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事が「信仰のすべての生きた運動の中での主権的な主体であり続けるために」、「『言葉ト信仰ノ活動』の関心事が、『言葉ト信仰ノ実体』の関心事と結びつけられなければならない」というこのゼーンゲンの立場が、「ローマ・カトリックの存在ノ類比論であるとするならば、その時わたしは確かに、存在ノ類比を『反キリストの発明』だとみなすという以前述べた命題を撤回しなければならないであろう」。何故ならば、「神の恵みの中に、したがって信仰の中に基礎づけられた存在参与に関する、そして実体と活動に関する警告は、当然のことながら正しい」からである。言い換えれば、聖書的啓示証言の本来的テーマは、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（働き、業、行為）である「子なる神、キリストの神性を問う問いの中に、父を問う問い」と「父ト子ヨリ出ズル御霊」（聖霊）を問う問いとが包括されているからである。イエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」、すなわち「イエス・キリストの名」、その外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方（働き・業・行為、子なる神の存在としての神の自由な行為の出来事）において、その存在と本質である「失われない単一性」・神性・永遠性の認識（啓示認識）と信仰（啓示信仰）を要求する啓示である。このことは、「神ご自身が、われわれ人間に対して自己啓示されないならば」、すなわち神ご自身が、神とわれわれ人間とを架橋されないならば、「全く不信仰で罪に穢れたわれわれ人間」は、人間が人間的に所有する人間の啓示認識・啓示信仰を持つことはできないということを意味している。われわれ人間は、人間論的な自然的人間であれ、教会論的なキリスト教的人間であれ、誰であれ、「存在ノ類比についての（≪神の認識可能性は、「神とわれわれを包括する存在者の類比から成り立つ」という≫）解釈」に依拠して、「内被造世界での、……（≪ただの人間としての≫）父」から、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の「起源」・「根源」としての父を、それからまたわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である父（啓示者、言葉の語り手、創造主、父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）を類比することはできないのである。言い換えれば、われわれ人間は、「内被造世界での、……（≪ただの人間としての≫）父」についての人間の自己認識・自己理解・自己規定を、「神の内三位一体的父の名の力と威厳に依存している」ものとして、神のその都度の自由の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で与えられる啓示認識・啓示信仰に依拠した信仰の類比・関係の類比を通して得ることができるのである。この時また、「内被造世界での、……（≪ただの人間としての≫）父という呼び名は確かに真実である」が、「非本来的なもの」であるという人間の自己認識・自己理解・自己規定を得ることができるのである。

 

　さて、「われわれは結局は、ゼーンゲンの立場がローマ・カトリックの立場ではなくて」、「われわれの命題に反対して述べている」「ヴァチカン公式文書」・「フォイリングおよびフェールの存在ノ類比の立場がローマ・カトリックの立場と見なさなければならないであろう」。まさに、「われわれの命題に反対して述べている」「ヴァチカン公式文書」・「フォイリングおよびフェールの存在ノ類比の立場」、「ローマ・カトリックの立場」、総括的に言えば、意識的にか無自覚的にかプロテスタントにも巣食っている自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の立場は、結局は、フォイエルバッハやハイデッガーが客観的な正当性と妥当性とをもって根本的包括的に原理的に揶揄・批判した対象そのものなのである――「神の意識は人間の自己意識であり、神の認識は人間の自己認識」であり、「神の啓示の内容は、神としての神から発生したのではなくて、人間的理性や人間的欲求やによって規定された神から発生した」ものであり、それ故にその「対象に即してもまた、『神学の秘密は人間学以外の何物でもない！』」ものである（フォイエルバッハ『キリスト教の本質』）、「神とはまさに、人間の（≪無限な人間の自由な自己意識の類的機能の≫）想像能力・思惟能力・表象能力の本質が、現実化され対象化された……絶対的な本質（存在者）、……と考えられ表象されたもの以外の何物でもない」（『フォイエルバッハ全集第12巻』「宗教の本質にかんする講演　下」）ものである。「聖書の主題であり、同時に哲学の要旨である」神と人間との無限の質的差異を固執するという＜方式＞の下で、「神の創造者としての存在とわれわれの被造物としての存在、神の聖なる存在とわれわれの罪人としての存在、神の永遠的存在とわれわれの時間的存在の間に比較可能性と共通性は全くない」のである。「われわれにとって可能な神認識の類比は全くない」のである。したがって、「もしも神と人間の間に……こことあそこでの存在者の類比であり、それの中で、それと共に、事実神の認識可能性が与えられるであろう類比があるとするならば、それは」、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の「神ご自身の業と行動」、すなわちわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわち父――啓示者・言葉の語り手・創造主、子――啓示・語り手の言葉・和解主、聖霊――啓示されてあること・それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）・救済主なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体≫）を通して措定され、造り出され、……ただ神からだけ、したがって……ただ信仰の中でだけ、実在である存在者の類比以外の何ものでもないのである」。もしもそうでないならば、それは、まさに客観的な正当性と妥当性とをもって根本的包括的に原理的に揶揄・批判したフォイエルバッハやハイデッガーのキリスト教批判の対象そのものでしかないそれであるだろう。「人はここで、別の類比……を主張できるだろうか」。もしもできると主張するならば、「存在ハ活動ニ従ウ」ということを、「『形而上学的な』活動ハ存在ニ従ウに変えてしまう転倒を犯すことになる」のである。「この転倒は、あのキリスト教的神観の分割が非教会的であるのとまさに同じように、非教会的である」。何故ならば、聖書的啓示証言の中には、「人間に対する神の業と行動の主体としての神の存在（≪換言すれば、父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体あるいは父、子、聖霊なる神の自由な愛の行為の出来事全体としての神の存在≫）、（またイエス・キリストの神であり、また肉となった言葉であり、また聖霊である……）イスラエルの神の存在、以外の存在はない」からである。したがって、「活動ハ存在ニ従ウ」は、「あくまでも神ご自身のものであり続け、決してわれわれの認識秩序とはなり得ないものである」。したがってまた、イエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」、すなわち「イエス・キリストの名」、その外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方（働き、業、行為）において、その存在と本質である「失われない単一性」・神性・永遠性の認識（啓示認識）と信仰（啓示信仰）を要求する啓示であるから、「教会の中では、そしてまた教会の学問の中では、その行為の中での神の存在（≪父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体あるいは父、子、聖霊なる神の自由な愛の行為の出来事全体としての神の存在≫）が、実践的に、したがって神の認識可能性に関して、真剣に受け取られなければならないのである」。

 

　「われわれはここで、（≪ヴァチカン公式文書におけるあの≫）神の認識可能性についての（「決定的」に「危険」な）ローマ・カトリックの教説（≪ローマ・カトリックの神学≫）に対して、……反対の立場をとる」。「われわれが（中略）どうしても耐えられないこと、……大目に見るわけにはゆかないこと」は、次の点にある――それは、第三の形態の神の言葉に属する全く人間的なローマ・カトリックの「二重の恣意の行為」、すなわち第一に、三位一体の神を「抽象的ニ」分割し一面化する神観である、第二には、「それと結びついた……（神がわれわれおよびすべての存在者と共通に持っている）一般的な存在を主張するために、（≪神の存在を≫）神の現実の業と行為（≪存在の仕方≫）から切り離してみる抽象」である。このようなローマ・カトリックの恣意的独善的な神観は、「人間ノ自然的理性の光」あるいは「人間理性ノ自然的な光」によって、生来的な自然的な人間の自由な自己意識・理性・思惟の類的機能の無限性によって、人間の側から、人間の「世から神が認識し得るという神の認識可能性」の主張を必然的に帰結させるものである。総括的に言えば、それは、その最初から自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の段階で停滞と循環を繰り返すことを目指すものである。したがって、われわれは、この「神の認識可能性についてのローマ・カトリックの教説に対して、……反対の立場をとる」のである。「人間に対する神の業と行為（≪三つの存在の仕方≫）の主体としての神の存在（≪換言すれば、父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体あるいは神の自由な愛の行為の出来事全体としての父、子、聖霊なる神の存在≫）……以外の存在」はないのである。ローマ・カトリックのあの「二重の恣意の行為は、疎遠な神を教会の領域に導入することを意味している」から、「われわれは、……反対の立場をとる」のである。ローマ・カトリックのあの「二重の恣意の行為」は、あの「神の特別な関与なしにも、被造物カラシテ人間理性ノ自然的ナ光ニヨッテ認識できる」ことを意味しているから、「われわれは、……反対の立場をとる」のである。「神の認識可能性についてのローマ・カトリックの教説」においては、「聖書の主題であり、同時に哲学の要旨である」神と人間との無限の質的差異を固守するという＜方式＞を持たずに、「人間は、自分自身の全権と力とによって」、「神の領域にまでわがまま勝手に」恣意的独善的に「自由に出入りする」のである。この時、「人間は、全く（≪あの≫）恵みと奇跡なしに、全く『自然的に』世の存在を念頭に置きつつ」、「より高度な、神的な存在（≪第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会が恣意的独善的に対象化し客体化した「存在者レベルでの神」、「偶像」≫）を自分自身とほかの者に向かって説得する能力を持つ」のである。「実にこの能力から、すべての偶像（≪偶像崇拝、「存在者レベルでの神への信仰」、偶像崇拝≫）は発生したのである」。彼らがこのことを認識し自覚しないならば、総括的に言えば自然神学あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の段階で停滞と循環を繰り返しているプロテスタントを含めて彼らは、これからもずっと、フォイエルバッハやハイデッガーからする客観的な正当性と妥当性とをもった根本的包括的な原理的なキリスト教批判の対象そのものへと自ら突き進んでいくしかないのである。第三の形態の神の言葉である「教会の主を、あの偶像と等置したということが、ローマ・カトリックの教説の本来的に悪い、また拒否されるべき点である」。「われわれはヴァチカンの『自然神学』そのものに対してだけ抗弁しているのではない。われわれがそのことをするのは、ただ先ずヴァチカンの神概念に対して、それは、明らかに、ヤハウェとバアルを、聖書の三位一体の神とアリストテレスおよびストア哲学の存在概念を、結びつけようとするこころみによる形成物だと反対することから、当然出てくる結論である」、換言すれば自然神学の＜段階＞における、人間の側からする神と人間との「混淆」・「混合」論、神と人間との「共働」・「協働」論、「神人協力説」、神と人間、聖書的神概念と哲学的存在概念、神学と人間学との混淆・混合化による形成物だと反対することから、当然出てくる結論である。「造られたものから（≪生来的な自然的な≫）理性を通して神を知ること（≪人間理性を通して、造られたものとしての被造物、世界から、神を認識すること≫）ができるという神の認識可能性についての命題」は、「神概念の……異教的な構成要素」である。したがって、われわれは、造られたものとしての被造物を、世界を、イエス・キリストにおいて自己啓示された「三位一体の神から認識し説明せんと欲する」のである。