５の３『教会教義学 神論Ⅰ／１ 神の認識』「五章 神の認識 二十五節 神認識の実現」「二 人間の前での神」
５の３『教会教義学 神論Ⅰ／１ 神の認識』「五章 神の認識 二十五節 神認識の実現」「二 人間の前での神」（87-114頁）
再推敲・再整理版です。
「二 人間の前での神」
「われわれは今、神の啓示に基づくわれわれの神認識」の――すなわち、神のその都度の自由な恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事（「啓示と信仰の出来事」）に基づいて終末論的限界の下で与えられる「信仰という方法によるわれわれの神認識」（信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）の、「制限された姿」――すなわち、「神によって意志され、手配され規定された姿の本質について、原則的に明らかにする」。
キリストにあっての神が、ご自身の中での神としての自己還帰する対自的であって対他的な完全に自由な聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神として、その自己認識（≪・自己理解・自己規定≫）の真理性の中で、ご自身をわれわれに対し認識すべく与え給う時、神は、その被造物のある者（≪「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」――すなわち「イエス・キリストの名」≫）をして、……神によって造られた世界の空間と時間の中でひとつの出来事（≪子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの≫）をして、神に代わって語らせ給う」。この「神によって神ご自身について語るように委任と能力を与えられた被造物性の存在根拠と総内容、換言すれば神の啓示のサクラメンタルな実在の存在根拠と総内容」は、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間「イエス・キリストの人間性の現実存在である」、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」――すなわち「イエス・キリストの名」の現実存在である。「結合ノ恵ミニヨッテ、……この被造物が神の永遠の言葉とひとつとなることに基づいて、またひとつになることを通して、この被造物は、高められ、抜擢された神の業およびしるし（≪第二の存在の仕方における神の新しい業およびしるし、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの≫）となる」。
「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の「永遠の言葉そのものが肉となった（≪その外在的な「失われない差異性」における存在の仕方における言葉の受肉であって、その「失われない単一性」を本質とする内在的な神性の受肉ではない≫）ということに基づいて、換言すれば神の啓示がイエス・キリストの中で一度にすべてにわたって力を奮う仕方で起こったということに基づいて」、「われわれはその同じ神の啓示を、それがキリストの復活（≪「実在の成就された時間」≫）を基軸としたその待望の中で証されているところで」、すなわち「旧約聖書的な待望の時間」と「新約聖書的な想起の時間」――「新約聖書の証人たち」は、キリスト復活の４０日をおぼえる想起において、「キリストの死」と「キリストの生涯」を想起する時、「光を得」た「甦えりの証人」である。彼らは、「既に来た方」である復活されたキリストが、「またこれから来たり給う方」であることについて語る。したがって、復活されたキリストの再臨、終末、救贖、「完成」を待望するところの、彼らによって証しされているところで、「いたるところ認識するのである」。したがって、その「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」――すなわち「イエス・キリストの名」、「人間イエスを通して起こった証し」は、「そこから継続が存在するところの」「はじまりである」。言い換えれば、それは、三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事であるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）における「そこから継続が存在するところの」起源的な第一の形態の神の言葉の「はじまりである」。したがって、第二の形態の神の言葉であるイエス・キリストによって唯一回的特別に直接的に召され任命された預言者および使徒たちのその人間性と共に神性も賦与され装備された最初の直接的な第一のイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」（「啓示ないし和解」の「概念の実在」）は、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身（「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの）を「起源」としているのである。したがってまた、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書を自らの思惟と語りの原理・規準・法廷・審判者・支配者とした第三の形態の神の言葉である全く人間的な教会の＜客観的＞な信仰告白および教義は、起源的な第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を、それ故に具体的には第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を「起源」としているのである。したがってまた、「教会に宣教を義務づけている」「聖書が、（≪徹頭徹尾≫）教会を支配するのであって、教会が（≪「わがまま勝手に」恣意的独断的に≫）聖書を支配してはならないのである」（『啓示・教会・神学』）。言い換えれば、「人間イエスを通して起こった証し」は、古い世・時間における「旧約聖書的な待望の時間」と新しい世・時間のはじまりである「新約聖書的な想起の時間」との間のキリストの十字架でもって終わる「成就された時間」、すなわち「イエスがご自分をお示しになった」「復活の四〇日（使徒行伝一・三）」――すなわち「キリストの復活」から、「後方に向かって（イエス・キリストがそのメシヤであるところの）イスラエルの民の現実存在」へと、「また前方に向かって使徒職」と「使徒職に基づく」「教会の現実存在」へと「通じている聖礼典的（サクラメンタル）な連続性が存在するところのはじまりである」。
ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方における「イエス・キリストの人間性そのもの」は、「第一の聖礼典（サクラメント）であり」（何故ならば、イエス・キリストにおける言葉の受肉、「僕の姿」、「自分を空しくすること、受難、卑下」は、その「神性の放棄」、その「神性の減少」を意味するのではなく、「神的姿の隠蔽」・「覆い隠し」を意味しているから。イエス・キリストは、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」）、「またイエス・キリストの顕現の以前と以後において、その啓示の中で神の副次的な対象性として神によって任命され、用いられるすべてのものの基礎づけである」。「またイエス・キリストの人間性はそのような第一の聖礼典（サクラメント）として、同時に、被造物そのものの最高の可能性の存在根拠および総内容である」。したがって、それは、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、他律的服従と自律的服従との全体性において、純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリスト福音を尋ね求める「神への愛」と、そのような「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関を生きる第三の形態に属する全く人間的な教会（そのすべての全成員）の「最高の可能性の存在根拠および総内容である」。まことの神にしてまことの「人間イエスが、神とひとつである単一性へと取り上げられたのであって」、それ故に神とは異なる「いかなるそのほかの被造物については、そのようなことはなかったのである」、そのようなことはないのである、あのイエス・キリストによって唯一回的特別に直接的に召され任命された預言者および使徒たちであれ限界づけられておりそのようなことはないのである。何故ならば、そのことは、まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおける「独一無比な、一回的な出来事である」からである。したがって、そのことは、神とは異なる「神のそのほかの被造物にとって約束を意味している」。言い換えれば、「被造物」は、徹頭徹尾、「自分自身からでも、自分自身によってでもなく、ただ神の配剤と恵みから、神の配剤と恵みによって」、すなわち「神ご自身の決定事項」として、神のその都度の自由な恵みの決断によって、「神ご自身の宮、道具、しるしとなることができる」だけである。
このような訳で、「神とひとつである単一性のなかでの被造物」――すなわち「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」（「イエス・キリストの名」）における「現実存在」は、「そのほかの被造物」も、「まさに全くただ」まことの人間イエスの中でだけ「現実であるところのことについて、換言すれば神ご自身の対象性について、証しをすることがゆるされ、その限り人間イエスと同じように、神の宮、道具、しるしであることがゆるされるという約束を意味している」。「この機能は、創造主と被造物（≪「失われない単一性」を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、人間イエス≫）がひとつである」（何故ならば、自己還帰する対自的であって対他的な完全に自由な「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の＜起源＞・＜根源＞としての父は「子として自分を自分から区別するし自己啓示する神として自分自身が根源」であり、その区別された子は「父が根源」であるから）ところの、「あの一回的な出来事を確認し、宣べ伝える中で、繰り返されることができ、イエス・キリストの教会、旧い契約と新しい契約の教会の中で、事実繰り返されている機能である」。「すべての以前と以後においても」「同一の方であり給う」ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方であるイエス・キリストにおいて、未来（キリストの再臨、終末、救贖、「完成」）を考え待望することは過去（キリストの復活、実在の成就された時間）を考え想起することであり、過去（キリストの復活、実在の成就された時間）を考え想起することは未来（復活されたキリストの再臨、終末、救贖、「完成」）を考え待望することであると同時に、「実在の成就された時間」（キリストの復活）の前の過去（古い世・時間と古い世・時間の終わりであるキリストの十字架）を考えることでもある。この意味で、「イエスは黙示録三・一四で『忠実な、まことの証人』と呼ばれており、またそのようなものとして『神に造られたものの根源と呼ばれている』」。この意味は、起源的なまことの「証人としての（≪イエスの≫）その現実存在と職務の中」で、「被造物は、神ご自身の代わりに、神について語るあの委託と能力賦与の中でのその新しい存在の始まりを持つようになる」ということである。「イエス・キリストは、コロサイ一・一五」で、第一に、「見えない神の姿」（「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」）、第二に、「すべてのものが造られる前に生まれた方」、第三に、「その体である教会の頭」と呼ばれている。すなわち、イエス・キリストは、第一の観点の下では「受肉と実現の結果」であり、第二の観点の下では「神の配剤と恵みによって被造物が抜擢されること」であり、第三の観点の下では全く人間的な教会（そのすべての成員）、「被造物一般に与えられた約束である」。神とは異なる被造物は「キリストの人間性のように神とひとつとなることはできない」が、「神の配剤と恵みによってそうであることがゆるされるところ時とところでは」、「神の証人であることができる」。その神とは異なる「被造物がそのようなものであるところ、そこに教会が存在する」。言い換えれば、それぞれの時代、それぞれの世紀、それぞれの世代における教会（そのすべての成員）の宣教による、「神によって造られた世界の場所と時間の中での（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいた≫）神の自己証言が存在するのである」。総括的にいえば、それぞれの時代、それぞれの世紀、それぞれの世代における教会（そのすべての成員）の宣教において、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）における第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした、それ故に神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいた純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音を尋ね求める「神への愛」によるところの、純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音に対するその認識の深化と豊富化が、その時間累積が存在するのである。
神とは異なる被造物が、神の対象性の中で、「神ご自身の対象性の代表者となることによって」、その被造物は「神の対象性を覆い隠す」。「神がわれわれにとって知られるようになることによって」、神は「われわれに知られるようになるために、用いられる手段としるしの中で」、「神はご自分に対して……疎遠で非本来的なものになり給う」。「神がわれわれを、この被造物の言葉を通してご自身へと高め給うことによって、神はご自身をわれわれのところまで低め給う」――「これらすべてのことは、既にイエス・キリストの人間性にとって妥当する」。「人間イエスの中での神の子の顕現の目標と高所は、イエスの死と十字架から成り立っているということ」、また「その方は……甦えられた方としても十字架上で死なれた……人間であるということ」を念頭に置くならば、われわれは、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」（「イエス・キリストの名」）――すなわち「まさにイエス・キリストの人間性こそ」が、「最高に、神の自己卑下と自己疎遠化を」、まことの人間という「被造物の対象性を通して（≪まことの神という≫）神の対象性が覆い隠されることを」、意味しているのである。バルトは、「人の子」語句について、『教会教義学 神の言葉』で、次のように述べている――「人々は人の子（あるいはわたし）は誰であると言っているか（マタイ一六・一三）」と聞かれ、ペテロ（教会の信仰告白）は「あなたは生ける神の子キリストです」と答えた。「メシヤの名に対する『人の子』というイエスの自己称号」は、「（覆いをとるのではなくて）覆い隠す働きをする要素として、理解する方がよい」、「逆に使徒行伝一〇・三六でケリグマが直ちに、すべての者の主なるイエス・キリストという主張で始められている時、それはメシヤの秘義を解き明かしつつ述べているというように理解した方がよい」。すなわち、受肉・「神が人間となる」・「僕の姿」・「自分を空しくすること、受難、卑下」は、「神性の放棄」や「神性の減少」を意味するのではなく、「神的姿の隠蔽」・「覆い隠し」を意味している。
しかし、八木誠一は、『イエス』で、イエスを「ただの人」にしてしまった――この場合、吉本隆明から、バルトの思惟と語りを絡めて言えば、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者としない「八木さんの説明では、……あらゆる認識が、もし自分自身の体験、それから自分自身の資質というか、そういうものを全部根こそぎ動員して、認識と言うものを追究していくと出てくる問題（≪教会の宣教における一つの補助的機能としての神学的領域の問題ではなく、まさにただ単なる人間的理性や人間的欲求やが対象化した人間学的領域の問題≫）と、あまり違わない」、「それ宗教（≪人間的理性や人間的欲求やによって対象化された「存在者レベルでの神への信仰」とはならないところの信仰、啓示認識・啓示信仰≫）と関係あるかな、ということですね。やはり納得できるように思いません」と指摘されてしまうのである。この吉本の「あなたはキリストの復活、再臨を信じているのですか」という問いに対して「信じています」と答えたカトリック作家の小川国夫の思惟と語りを、この吉本は、最大限に尊重してまさにそのままに受容しているのである。ここで、われわれは、ただ単に観念の自然過程を一方通行的に上昇して行く思惟と語りをする「ただ単なる知識人」である八木と、観念の自然過程と意識過程との全体性・総体性において、思想の往還において思惟し語る思想家としての知識人である吉本との差異を見出すことができるであろう（『現代思想11 1975年「＜新約聖書をどうとらえるか＞吉本隆明／八木誠一」』、『超「２０世紀論」下』）――。
この八木とは違って、バルトは、「新約聖書的――キリスト論的命題」について、第一に、「まことの人間」として、「神の子あるいは神の言葉が人間、ナザレのイエスである」、第二に、「まことの神」として、「人間ナザレのイエスが神の子あるいは神の言葉である」と思惟し語った。イエス・キリストは、「神の神性において」、「神の神性と共に、ただちにまた神の人間性もわれわれに出会う」ところのまことの神にしてまことの人間である（『神の人間性』）。この「イエス・キリストの名」で語るべき「最初にして最後のこと」――すなわち「イエス・キリストは誰であるかという問いに対する答え」は、ご自身の中での神としての自己還帰する対自的であって対他的な完全に自由な聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（性質・働き・業・行為・行動・活動、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）、すなわち言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間であるということである。したがって、「ヨハネ一・一四の言葉は肉となったという新約聖書の中心的命題」――この「ヨハネの言葉」は、「神であり給う言葉が人間となったのであって、決して神性それ自体が人間となったのではない」ということを意味している、ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「神的な創造主、和解主、救済主なる（≪三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方における≫）言葉」、「神の永遠のみ子」・まことの神にしてまことの人間イエス・キリストを意味している。
このような訳で、「人は、神がご自身の栄光をそのように啓示し給うことによって、神はまたご自身の栄光を隠し給うということを見逃してはならない」。したがって、イエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」（「イエス・キリストの名」、外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉）において、その「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における三位一体の神の認識（啓示認識）と信仰（啓示信仰）を要求する啓示なのである。神は、「ご自身の栄光」を、その「隠れの中で見る信仰……に対して啓示し給う」、それ故に「この隠れにもかかわらず、この隠れの中で、信仰に対して認識可能とすることによって啓示し給う」。すなわち、このイエス・キリストにおける神の自己啓示は、その啓示に固有な証明能力を、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である聖霊の証しの力を、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えることができる授与能力を、三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事であるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）を持っている。何故ならば、人間論的な自然的人間であれ、教会論的なキリスト教的人間であれ、誰であれ、生来的な自然的な「『自分の理性や力(≪知力、感情力、悟性力、意志力、自然を内面とした禅的修行等≫)によっては』全く信じることができない」（『福音主義神学入門』）からである、「神に敵対し神に服従しないわれわれ人間は、肉であって、それゆえ神ではなく、そのままでは神に接するための器官や能力を持っていない」（『教会教義学 神の言葉』）からである。神は、「ご自身の栄光」を、その「隠れの中で見る信仰……に対して啓示し給う」、それ故に「この隠れにもかかわらず、この隠れの中で、信仰に対して認識可能とすることによって啓示し給う」――このことは、「この神の啓示を証しするために、その限り神ご自身を認識する手段として任命され用いられる聖礼典的（サクラメンタル）な実在全体について妥当する」。啓示の弁証法において、「全線にわたって、覆いをとって顕わにすることが起こることによって、また覆い隠すことが起こる」、「神が自分の支配をうち立て給うことによって、また神のあの自己卑下と自己疎遠化が起こる」。したがって、この啓示の弁証法の認識と自覚を持たない時、われわれ人間においては、教会の宣教においては、「神を礼拝するようにとの呼び出しが、偶像礼拝への誘惑を意味すること」になる。言い換えれば、その時には、「神とはまさに、人間の想像能力・思惟能力・表象能力の本質が、現実化され対象化された……絶対的な本質（存在者）、……と考えられ表象されたもの以外の何物でもない」(『フォイエルバッハ全集第12巻』「宗教の本質にかんする講演 下」)ということが起こる、それ故に「神の意識は人間の自己意識であり、神の認識は人間の自己認識である」ということが起こる、それ故にまた「神の啓示の内容は、神としての神から発生したのではなくて、人間的理性や人間的欲求やによって規定された神から発生した」ということが起こる、それ故にまたその「対象に即してもまた、『神学の秘密は人間学以外の何物でもない！』」ということが起こるのである。
信仰の認識としての神認識(啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事)は、キリストにあっての神が、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間という「特定の被造物的な主体――客体関係」を、すなわちご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神と、それからまたわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方(言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉)という「主体――客体関係」を、「創造主なる神ご自身とその被造物としての人間の間の契約の道具へと高め、抜擢し給うという仕方で起こる」が故に、「この聖礼典的（サクラメンタル）な実在の枠の中で神認識は遂行される」のであるが、人間イエスにおける「そのようにぬきんでさせられた主体――客体関係それ自体」は、外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方における「啓示と同一ではない」。何故ならば、ご自身の中での神としての自己還帰する対自的であって対他的な完全に自由な聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の＜起源＞・＜根源＞としての父は「子として自分を自分から区別するし自己啓示する神として自分自身が根源」であり、その区別された子は「父が根源」であるのだが、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方（業・働き・行為）であるイエス・キリストの父――啓示者・言葉の語り手・創造主（父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）と、第二の存在の仕方（業・働き・行為）である子としてのイエス・キリスト自身――啓示・語り手の言葉・和解主（子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）との間には差異性があるからである。「主体――客体関係」は、「神がご自身を啓示し、自ら認識され給うことによって」、「啓示に対して奉仕する」ところのそれである。聖性・秘義性・隠蔽性において存在する内在的な三位一体の神の不把握性、終末論的限界、「必然的な条件づけ」の下で、それ故に「われわれの認識の限界づけ」の下で、「ただ神の恵みを通し、信仰の中でだけ」、すなわち神のその都度の自由な恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事(「啓示と信仰の出来事」)に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての神認識(啓示認識・啓示信仰)の中でだけ、「神が主であり給うことの故に、また神の業としるしの中で、神の業としるしを越えて、覆いがとられ顕されるということは本質的なこと」なのである。したがって、生来的な自然的な人間の自己意識・理性・思惟によって「人間イエスの存在を確かめるならば、それと同時に神の対象性を確かめることができるといった具合ではない」のである。すなわち、「ルターの有名な言葉によれば」、われわれが人間イエスにおいて、「『父なる神のみ心の鏡』とかかわらなければならないということ」は、「神ご自身なしには」、「本当ではない」、神のその都度の自由な恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事(「啓示と信仰の出来事」)に基づいて終末論的限界の下で与えられる啓示認識・啓示信仰なしには本当ではないのである。
われわれの信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰）は、終末論的限界の下での「鏡に映してみる認識」、部分的認識である（Ⅰコリント１３章）。「人間イエスもそれとして常にまた謎である」。したがって、人間イエスが「単に謎である」だけでなく、その謎が「謎として照明、開示、伝達の出来事」を起こさせるとしたらならば、「その時それは、人間イエスが神とひとつであるが故であり」、すなわちご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方(言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉)であるが故であり、「神の子の啓示と神の聖霊を通して生み出されたみ子を信じる信仰の行為の中でのことである」、神のその都度の自由な恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事(「啓示と信仰の出来事」)に基づいて終末論的限界の下で与えられる信仰の認識としての神認識(啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事)の中でのことである。
「キリストの十字架は、滅び行く者には愚かである（Ⅰコリント一・十八）。まさにキリストについての宣教の愚かさによって、（≪すなわち、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で与えられる啓示認識・啓示信仰において≫）信じる者を救うことが神のみ心にかなったのである（Ⅰコリント一・二一）。肉によって知られたキリストのこの愚かさ（Ⅱコリント五・十六）とキリストを通して実現された信じる者たちの救い」――すなわち「キリストの顔に輝く神の栄光の知識（Ⅱコリント四・六）の間に」、「客観的にはキリストの甦えり（≪客観的なイエス・キリストにおける復活に包括された死と復活の出来事≫）が、主観的には聖霊の注ぎ（≪「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事≫）が立っている」。このようにして「信者が神を知る認識が人間イエス、十字架につけられた神の子（Ⅰコリント二・二）の認識と一致する時」、「換言すれば……彼ら自身愚かな者たちとして選ばれ、召されて（Ⅰコリント一・二六以下）、ギリシャ人には愚かな者、ユダヤ人には躓きとなる者（≪人間イエス、十字架につけられたキリスト≫）を通して、神の力と神の知恵を認識するようになる（Ⅰコリント一・二三）時、……彼らにとっても、まさに彼らにとってこそ、その啓示の中で神の隠れが続いているということが言われている」。「聖書的および昔の教会が用いた信仰概念」がそうであるように、「われわれの信仰もそれとして、啓示の覆い隠しと条件づけに属している」。神のその都度の自由な恵みの決断によるところの、ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち言葉の語り手であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのものである客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての信仰の出来事（「啓示と信仰の出来事」）に基づいて終末論的限界の下で与えられる「われわれの信仰認識(≪啓示認識・啓示信仰≫)は、その隠れの中での神認識であり、間接的な認識であって、決して（≪「人間が神とひとつとなるかのような」≫）直接的な認識ではない」。したがって、「それ自体」では、「それとしてまた不信仰、邪信、迷信の認識であり、……神を認識しないことであり得るであろう認識」であり、「そのような非認識であり続け、あるいは非認識となることから決して守られていないところの認識である」。したがって、バルトは、次のように述べている――「『もちろん福音をわたしは聞く、だがわたくしには信仰（≪認識≫）が欠けている』その通り――一体信仰（≪認識≫）が欠けていない人があるであろうか。一体誰が信じる（≪認識する≫）ことができるであろうか。自分は信仰（≪認識≫）を「持っている」、自分には信仰（≪認識≫）は欠けていない。自分は信じる（≪認識する≫）ことが『できる』と主張しようとするなら、 その人が信じていない（≪認識していない≫）ことは確かであろう。（中略）信じる者（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて認識する者≫）は、自分が――つまり（≪生来的な自然的な≫）『自分の理性や力（≪知力、感情力、悟性力、意志力、自然を内面の原理とした禅的修行等≫）によっては』――全く信じること（≪認識すること≫）ができないことを知っており、それを告白する。聖霊によって召され、光を受け、それゆえ自分で自分を理解せず（中略）頭をもたげて来る不信仰（≪不認識≫）に直面しつつ（中略）『わたくしは信じる』（≪認識する≫）とかれが言うのは、『主よ、わたくしの不信仰をお助け下さい』という願いの中でのみ〔マルコ九・二四〕、その願いと共にのみであろう」（『福音主義神学入門』）、「『私がいま肉にあって生きているのは、私を愛し、私のために御自身をささげられた神の御子の 信じる信仰によって、生きているのである。（これを言葉通り理解すれば、＜私は決して神の子に対する私の信仰に由って生きるのではなく、神の子が信じ給うことに由って生きるのだ＞ということである）』（ガラテヤ二・一九以下）。（中略）自分が聖徒の交わりの中に居る……罪の赦しを受けた（中略）肉の甦りと永久の生命を目指しているということ――そのことを彼は信じてはいる。しかしそのことは、現実ではない。……部分的にも現実ではない。そのことが現実であるのは、ただ、われわれのために人として生まれ・われわれのために死に・われわれのために甦り給う主イエス・キリストが、彼にとってもその主であり、その避け所でありその城であり、その神であるということにおいてのみである」（『福音と律法』）。
このような訳で、「信仰そのものと現実の神認識の遂行の間には」、神のその都度の自由な恵みの決断による「客観的にはキリストの甦えり（≪客観的なイエス・キリストにおける復活に包括された死と復活の出来事≫）が、主観的には聖霊の賜物（≪「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事≫）が立って」おり、その出来事に基づいて「人間は神の自己認識」（≪・自己理解・自己規定≫）に「間接的」・媒介的に「あずかるのである」。この信仰は、「ただ……神の業としるしの中で信仰に与えられた……（≪「召されていること、和解されていること、義とされ、聖とされ、救われていること」、この≫）約束をつかむのであり、その限りあくまで目で見ることのできない」「その中で人間は、地上では旅人であり寄留者である（ヘブル一一・一三）盲目の信仰……であり続ける」。この「愚かさから知恵への、肉から霊への、方向転換」は、その「愚かさを生かし用い給う方の業である」。イエス・キリストにおける神の自己啓示は、その啓示に固有な証明能力を、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である聖霊の証しの力を、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で啓示認識・啓示信仰を与えることができる授与能力を、三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事であるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）を持っている。「あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのである」。「キリストは神に立てられて、わたしたちの知恵となり、義と聖と贖いとなられたのである（Ⅰコリント一・三〇）」。したがって、「彼らがそのみ子にあっての神の自己認識（≪・自己理解・自己規定≫）にあずかる参与は、人間イエス、十字架につけられた神の子によって仲介されるが故に、仲介される限り、与えられるところの参与である」（何故ならば、聖書的啓示証言の本来的テーマは、「失われない単一性」を本質とする内在的な三位一体の神の、外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方である「子なる神、キリストの神性」を問う問いの中に、「父を問う問い」と「父ト子ヨリ出ズル御霊」・聖霊を問う問いとが包括されているからである）。
なお、われわれは、キリストにあっての「神は、（ドイツ語はここで、ほかの国語が持っていない表現能力を持っているのであるが）ただ単に主であり給うだけでなく、そのような方として栄光に満ちてい給い、他方すべての栄光は主なる神の栄光であるという認識（≪「栄光」と「主」との総体性・全体性においてイエス・キリストは栄光の主であるという認識≫）を遂行しなければならない」。「われわれは、ここで、まさにこの概念でもってはじめなければならない……」。聖書的啓示証言「Ⅰコリント二・八、ヤコブ二・一によれば、イエス・キリスト」は、「栄光（≪聖、全能、永遠、力、善、あわれみ、義、遍在、知恵等≫）の主であり給う」――「そのような方として、認識され承認され」ている、すなわち聖書的啓示証言からすれば、主と栄光とを切り離して認識する「切り離し」は存在しない。