カール・バルト（その生涯と神学の総体像）

４の２『教会教義学　神論�T／１　�~の認識』「五章　�~の認識　二十五節　�~認識の実現」「二　人間の前での�~」（５４−８６頁）
再推敲・再整理版です。

「二　人間の前での�~」
　神の「秘義性」とは、「われわれは�~を、�~がご自身をわれわれに対して認識すべく与え給う仕方に従って認識するということである」。したがって、それは、ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」（何故ならば、この神の自己還帰する対自的であって対他的な、すなわち完全に自由な＜起源・根源＞としての父は、「子として自分を自分から区別するし自己啓示する神として自分自身が根源」であり、その区別された子は「父が根源」であり、愛に基づく父と子の交わりとしての聖霊は「父と子が根源」であるから）の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（性質、働き、業、行為、行動、活動）、すなわち啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおける啓示自身が、「啓示に固有な証明能力」を、起源的な第一の形態の神の言葉自身の出来事の自己運動を、「復活され高挙されたイエス・キリストから降下し注がれる霊」である聖霊の証しの力を、全き自由の神のその都度の全き自由の恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいて終末論的限界の下で信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）を与えることができる授与能力を持っているということである。言い換えれば、信仰の認識としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）は、前述したその外在的な第二の存在の仕方（子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）における「神の業であって、われわれの業ではない」のである（「言葉を与える主は、同時に信仰を与える主である」）。「この出来事が実在となる可能性は、神的な力」なのである、「その中でこのことが起こる事実性は、�~の意志と決定の事実性である」、「その中でこのことが起こる秩序は、�~の知恵の自由な規定である」、「その中でわれわれが（≪キリストにあっての≫）�~を認識するところの明るさと確かさは、神ご自身に由来する明るさと確かさであって、われわれに（≪人間自身に、第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会に≫）由来する明るさと確かさではない」のである、「その中でわれわれが（≪キリストにあっての≫）�~を認識するところの」神認識は、ただ「単なる知識」ではなく、信仰としての神認識（啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）である。もしもそうでないとしたら、その神認識(・神信仰)は、人間の生来的な自然的な「想像能力・思惟能力・表象能力の本質が、現実化され対象化された……絶対的な本質（存在者）」(人間的理性や人間的欲求やが対象化し客体化した神、偶像)への信仰でしかなくなってしまう（フォイエルバッハ全集第12巻』「宗教の本質にかんする講演　下」）、「人間の霊魂的な、また歴史的な構成要素」とされた「神ならぬもの、偶像」への信仰でしかなくなってしまう(E・トゥルナイゼン『ドストエフスキー』)。したがって、もしもそうでないとしたら、人間論的な自然的人間であれ、教会論的なキリスト教的人間であれ、誰であれ、われわれは、ハイデッガーと共に、次のように言わなければならなくなるのである――「それよりは『むしろ無神論という安っぽい非難を受け入れた方がよい』、(≪何故ならば≫)『いわゆる存在者レベルでの神（≪人間的理性や人間的欲求やが恣意的独断的に対象化し客体化した、キリストにあっての神ではない神、その人間の意味的世界・物語世界に過ぎない神、偶像≫）への信仰は、結局のところ神を見失うことではなかろうか』」、と。

　われわれが、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身(「啓示ないし和解の実在」そのもの)を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書(預言者および使徒たちの最初の直接的な第一のイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」、「啓示ないし和解」の「概念の実在」)を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とする「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において「�~の言葉に拘束されているならば、われわれはわれわれの神認識に関しては確かに神ご自身に……だけ、栄誉を帰さなければならない」のである。したがって、「われわれはわれわれがその中で�~の言葉に依り頼んでいる」(起源的な第一の形態の神言葉自身の出来事の自己運動に依り頼んでいる)、換言すれば神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」(客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事)に基づいて初めて終末論的限界の下で与えられる、またその「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者した「信仰の神認識(≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫)以外のいかなる神認識も自分の神認識の仕方であるとみなしはしない……」のである。何故ならば、「秘義とは、……�~は、神がご自身を認識すべく与えることによってだけわれわれが認識するところの方であり、またそうあり続け給うということ、�~は、ただ�~ご自身の光の中でだけ見られることが可能であり、見られるところの光であり、またそのような光であり続け給うということ」を意味しているからである。したがって、キリストにあっての神の秘義性は、人間の感覚と知識を内容とする経験的普遍に依拠した、あるいは人間学的な哲学原理・認識論・世界観を第一次化した、あるいは恣意的独断的な人間的理性や人間的欲求やに由来した「神認識の何らかの可能性や事実性や秩序について、われわれが夢想することを、徹頭徹尾、不可能とする」のである。このような訳で、「�~を愛する者は、�~がわれわれに対してご自身を認識すべく与え給う秘義の中で（≪あの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において≫）�~を愛するのである」。「�~を恐れること」は、「�~を愛さない可能性の前で恐れおののくということである」（何故ならば、その現にあるがままの現実的な人間存在の「われわれ」人間は、瞬間瞬間、キリストにあっての神から遠ざかり・遠ざかり続け、キリストにあっての神に背き・背き続け、また罪を新たな罪を犯し続けているから≫）。

　第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会のすべての成員のわれわれが、�~を愛することが「『ゆるされている』ということを用いる」時、われわれは、その「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書を、自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、純粋な教えとしてのキリストにあっての神・キリストの福音を尋ね求める「神への愛」と、そのような「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」（キリストの福音を内容とする福音の形式としての律法、神の命令・要求・要請）という連関においてイエス・キリストをのみ主・頭とするイエス・キリストの「ヒトツノ、聖ナル、公同ノ教会」（終末論的限界の下での途上の教会）を目指さなければならないのである。そのような仕方で、「われわれ」は、「�~に栄誉を帰す」のである。「われわれは�~を愛することがゆるされているが故に�~を恐れなければならないという第一のことと同様に」、「第二のこと、すなわち�~がご自身をわれわれに対してあれほど明らかにまた確かなものと為し給うが故に�~はわれわれにとって秘義であり続け給うということも明らかなのである」。したがって、「われわれは�~を認識しつつ神の恵みを讃美するというのでないとしたら、その時にはおそらく神の恵みはわれわれに与えられていないであろう」。このような訳で、「神の恵みが事実われわれに与えられているが故に、われわれは�~の恵を讃美しなければならない、しかも恵みとして讃美しなければならない」、それ故に「われわれは、われわれの神認識の可能性、事実性、秩序における秘義」性について、「一点一画といえども譲ることはできないのである」。

　ここで、「われわれが……念頭に置かなければならない聖書の脈絡」は、次のようにしてある――イエス・キリストは、「世に来たり給うた、すべての人を照らすまことの光（ヨハネ一・九）」である。このことが「出来事となって起こったという……そのような仕方」の中で、「�~はご自身を議論の余地のないほど明らかにまた確かなものとし給うた」。「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」、すなわち「イエス・キリストの名」――「『この命は人の光であった』（一・四）。すなわち、和解は啓示であった」(『教会教義学　�~の言葉』によれば、「啓示」は、子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事、「子あるいは言葉の業」、すなわち「神の現臨とご自分を知らせること」が「人間の闇の中で、人間の闇にも拘わらず、……出来事として起こるという事実」のことである――この「啓示」は、「和解」という言葉、概念と一致する。それは、「われわれによって破壊された……神と人間の交わりの回復」を意味する。たがって、「啓示の事実の中で神の敵はすでに神の友」として、「啓示そのものが和解」である)。「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、闇のうちを歩くことがなく、命の光を持つであろう（八・一二。なお九・五参照）」・「また『わたしは光としてこの世に来た。それは、わたしを信じる者が、闇のうちにとどまらないようになるためである』（一二・四六）」。神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて「イエスを信じるということ、そのようにして命を持つということは、ヨハネ福音書によれば、終始、その光を受け取るということ」、換言すればその出来事を「認識する」（啓示認識・啓示信仰する）ということ、「イエス・キリストを、彼が現にあり給うところの方（≪「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方（子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事）、すなわち啓示者である父なる神の子として「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉自身≫）として認識する（啓示認識・啓示信仰する）ということ、イエスが�~のみ子である」ということを「信じ、認識する（≪啓示認識・啓示信仰する≫）ということ（六・六九）」である。すなわち、「イエスの中で父を、父をイエスの中で、そのようにして�~を認識するということである」。「永遠の命とは、唯一の、まことの�~でいますあなたと、またあなたが遣わされたイエス・キリストを知ることであります（一七・三）」。「彼が真理であり、そのようにして命であることによって、彼は道である（一四・六）」。何故ならば、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、『わたしたちに父を示して欲しい』、と言うのか。わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたは信じないのか（一四・九以下）」。「神ご自身が、（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて≫）イエス・キリストの中で、信仰に対して、ご自身を認識すべく与え給う方であることが確かである限り、人は、信仰の中で（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事の中で≫）、あきらかに�~を認識しないわけにはいかない」のである。

　このような訳で、「パウロは自分の使徒職を（�Uコリント四・二）、(≪啓示の≫)真理を明らかにすることとして記述した」。このパウロは、「闇の中からひかりが照り出でよ、と仰せになった�~は、キリストの顔に輝ク�~の栄光の知識を明らかにするためにわたしたちの心を照らして下さった」が故に、「この務めに就いた」と説明している。「しかし、人は、まさにこのところで」、「わたしたちは自分自身を宣べ伝えるのではなく、主なるキリスト・イエスを宣べ伝える。わたしたち自身は、ただイエスのために働くあなた方の僕に過ぎない」という「確認が（≪パウロにおいては≫）先行していることに注意を向ける」必要がある。このように、パウロが、第一次的に常に先行させているのは常に先行する主なるキリスト・イエスであって――すなわち「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの、「律法の成就」・完了そのもの、「神の義、神の子の義、神自身の義」(三位一体の神の一つの義)そのもの、成就・完了された個体的自己としての全人間・全世界・全人類の究極的包括的総体的永遠的な救済(平和の概念は、この救済概念に包括されたそれである)そのものであって、「自分自身」の「わがまま勝手」な恣意性独断性ではないのである。

　�~は「暗闇から驚くべきみ光に招きいれてくださった（�Tペテロ二・九）」。しかし、その現にあるがままの人間の現実存在から見た場合、「闇は光をさとらなかった（ヨハネ一・五）」と言わなければならない。「ヘブル一一・二七では、モーセについて……『彼は見えない方を（ルター訳、彼が見なかった方を）、見ているようにして忍び通した』」。「コロサイ二・二−三において、……キリストの中で�~の秘義が認識される、しかもなお『知恵と知識の一切の宝』が彼のうちに隠されている」。まことの神にしてまことの人間イエス・キリストは、「まさに顕サレタ�~こそが、隠サレタ�~である」。「われわれはエペソ三・十九によれば、『人知をはるかに越えたキリストの愛』を知る」。「われわれの心を守る�~の平安は、ピリピ四・七によれば、人知ではとうてい測り知ることができないものである」。パウロは、「何箇所かで……一方において神認識の明らかさと確実さを、他方ではそれの秘義」について語っている。このパウロは、「知識と愛」を「�Tコリント八・一以下で、……対置」させて、知識は「人を『誇らせ』」、愛は「人の徳を高める」、と述べている。あの「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関における「愛の中に基礎づけられた知識」が重要である。パウロは、「もしも人が、自分が何か知っていると思うなら、その人は、知らなければならないほどの事すら、まだ知っていない。しかし、(≪前述したような仕方で≫)人が�~を愛するなら、その人は�~に知られているのである」。何故ならば、その時その人の知識は、「人を『誇らせ』る知識ではない」からである。すなわち、それは、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で「認識する者が(≪あの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において≫)�~を愛することによって」、「明らかに�~が彼を知り給うということ、換言すれば彼は�~によって選ばれ召された者であるということの確認以外の何ものでもない」からである。したがって、「そのことを誰も誇ることはできない。そのことについては、われわれ自身の認識」は、あの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において、「ただ証言する(≪告白し・証しし・宣べ伝える≫)ことができるだけである」。パウロにとっては、「今や、�~を知っているのに、否、むしろ�~に知られている（≪�~が「ご自身に属する者」としている≫）ので、彼らがあの『無力で貧弱な、もろもろの霊力』に（≪「ユダヤ主義化する律法主義の中で再発見している」「偶像崇拝」に≫）、逆戻りすることは全く不可能に違いない」のである。「�Tコリント十三・十二によれば」、「わたしはわたしの神認識の真理性を、今、ここでは」、「�~がわたしを認識し給うということ、そしてそれに基づいて、わたしは�~を認識することがゆるされているということ」を想起することの中でだけ、「確信することができる」。このことによって、「わたしの神認識は（（≪「驕慢の危険」と「偶像崇拝の危険」という≫））誤謬から守られている」。

　「われわれは要約する」――キリストにあっての神が、神のその都度の自由な恵みの決断により、ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の�~」が、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方(子なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事)、すなわち啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのものとしての客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいて終末論的限界の下で人間が人間的に所有する「人間の信仰（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）を呼び覚まし、造り出し、保持し給う方として、人間の前に立ち給うところでは」、換言すれば�~が、人間に人間の信仰の認識の対象および内容として」、三位一体の唯一の啓示の類比としての�~の言葉の実在の出来事であるそれ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「�~の言葉の三形態」の関係と構造(秩序性)における起源的な第一の形態の�~の言葉であるイエス・キリスト自身を通して、それ故に具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書を通して、それ故にまたその第二の形態の神の言葉である聖書を教会の宣教における原理・規準・法廷・審判者・支配者とした第三の形態の神の言葉である教会の＜客観的＞な信仰告白および教義を通して、「ご自身を提供し給うところでは」、「�~はそのことをこの存在と行為の中でなし給う」。キリストにあっての神は、「�~がわれわれに対しご自身をあれほどまでに明らかにまた確かなものとし給うたが故に、われわれにとって秘義であり続ける方として」、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な三位一体の�~の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉そのもの、まことの神にしてまことの人間イエス・キリスト――「まさに顕サレタ�~こそが隠サレタ�~である」方として、「�~はそのことを為し給う」。このような仕方で、キリストにあっての�~は、「ご自身についてのわれわれの認識」を、われわれの信仰の認識としての神認識を、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とする「他律的服従」と「自律的服従」との全体性における「服従の業として、呼び覚まし、造り出し、保持し給うのである」。したがって、「もしもわれわれが、(≪あの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性における≫)服従の中で�~から由来しているならば、その時、われわれはその同じ服従の中で、�~に向かっているし、あくまで�~に向かい続けるであろう」、すなわちあの「�~への愛」と「�~への愛」を根拠とした「�~の讃美」としての「隣人愛」という連関においてイエス・キリストをのみ主・頭とするイエス・キリストの「ヒトツノ、聖ナル、公同ノ教会」(終末論的限界の下での途上の教会)を目指し「続けるであろう」。このような仕方で、「�~を愛することがゆるされ、また恐れなければならない」。これらすべてのことの中で、「�~の意志と知恵が……実行される」、神の「業が……出来事となって起こる」。したがって、「決してわれわれ自身の像に従って神の像を造り出すことはできない」。何故ならば、「われわれは既に人間を人間自身からではなく」、「神ご自身によって�~の前に置かれた人間として理解したからであり、また……�~と人間を何らかの自分勝手な前提からではなく、�~の言葉の指示するところに従って理解したからである」。したがって、われわれは、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方における「神の業（≪働き、行為≫）を念頭に置きつつ、……神認識の遂行を……はっきりと言葉に出して、またひたすらただ、（≪ご自身の中での神としての「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在」における内在的な三位一体の≫）神ご自身の存在および行為（≪父、子、聖霊なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事≫）として理解し、記述していくということを今や、最後に、企てることができるし、企てなければならない」のである。

　さて、「�~はただ�~によってだけ認識されるという命題」は、「不可知論的な認識理論」に基づいているのではない。「その命題」は、その対象を認識する人間的「主体」からではなく、その対象自身――すなわち「客体から基礎づけられている命題」なのである。したがって、「その命題は、そのみ言葉の中で啓示された�~の中に基礎づけられている」(まことの神にしてまことの人間イエス・キリストは、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」)。ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の�~」は、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉自身、イエス・キリスト自身において「現にあるところのものであり給い、また現に為すことを為し給う�~であるが故に、われわれはあの前提を為すのであり、また……これまでの道のりの行程全体にわたってこの前提を考慮に入れ、またこの前提をもって作業して来たのである」。したがって、このイエス・キリストにおける神の自己啓示は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」――すなわち「イエス・キリストの名」(その外在的な「失われない差異性」における第二の存在の仕方)において、「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」の認識と信仰(啓示認識・啓示信仰)を要求する啓示なのである。このような仕方で、この「�~は、そのみ言葉の中で」、「契約の主として」「ご自身について」、「�~から身を背けた」「人間に向かって語り給う」。「そのことでもって�~は、ご自身を人間に（≪神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて、そしてあの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性における「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関において≫）認識するよう与え給うのであり、そのことの中で、�~は人間によって認識される」のである。�~は、このような「仕方で、人間に向かって語り給う方として」、「人間の前に立ち給う」。このような訳で、その「契約が結ばれ、継続されるということ、そのことは�~の意志であり、神の業である」から、その「契約の中で�~は主であり、主であり続け給うのであって」、それ故に「人間が主であるのではない」のである。この場所で、人間は「神の前に立ち、人間の側で――イエス・キリストの教会で起こっているように――」、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を教会の宣教における原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、「他律的服従」と「自律的服従」との全体性において、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、「�~について語り、聞くことができるということにまで至るのである」。このような訳で、「人間はもはやひとりでいるのでも、�~なしでいるのでもなく」、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉自身、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリスト自身――この「�~の言葉（≪「言葉を与える主は、同時に信仰を与える主である」≫）を通して、（≪聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」としての≫）�~との契約の中にいる……そのことの中で生き、そのことの中でまことであり、実在であり、また明らかであり、力強いのである」。

　聖書的啓示証言によれば、キリストにあっての「�~は……人間の主であり給う方として」、それ故にその「契約の中で主であり、また主であり続ける権利と力を持ち給う方としてご自身を告げ知らせ、行動し給うという仕方で、主であり、またあくまで主であり続け給う」。この神は、人間に対して、第一に、「父なる�~」、「創造主としての�~」、「永遠なる父」として、「ご自分を告げ知らせ、また行動し給う」、第二に、「子なる�~」、「和解主としての�~」、「永遠なる子」として、「ご自分を告げ知らせ、また行動し給う」、第三に、「聖霊なる�~」、「救済主なる�~」、「永遠なる霊」として、「ご自分を告げ知らせ、また行動し給う」。したがって、「人は、単純に」、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおける神の自己啓示において、ご自身の中での神としての聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」の、それからまたわれわれの神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわちイエス・キリストの父――啓示者・言葉の語り手・創造主、子としてのイエス・キリスト自身――啓示・語り手の言葉・和解主、「父なる神と子なる神の愛の霊」である聖霊――啓示されてあること・「神の言葉の三形態」(換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性)の関係と構造(秩序性)・救済主なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体における神の「自己証明そのものを問い、……�~がそのみ言葉の中で為し給うことを問わなければならない……」。したがって、「人は、ここで語っている方」が、「われわれがすべてにおいてお陰を受け、すべてを負うており、すべてを負い続けている方であり、まさにそのようにして、そのような方として、その方の恵によってわれわれが生き、その方の恵によって生きつつ永遠の生命の約束を持つ方であるということがまことであるかどうかということを、問わなければならない……」。したがって、「もしその自己証明が有無を言わさず人を心服させるものであるとするならば」、「われわれは互いにただ、その自己証明を為す方がそれを事実有無を言わさぬ仕方で為し給うということを、指し示すことができるだけである」。「積極的に言うならば、その自己証明の真理はその時、まさにその証明をなさる方の最高の、ひとつの、本来的な支配の真理である」。この時、「その方は自分自身の中で主であり、しかも……そのように自分を告げ知らせ、そのように行動する主である」。したがって、この方は、「ただ単に（≪われわれの時間である≫）時間の中だけでなく、また（≪「時間の主の時間」、神の時間である≫）永遠から永遠にわたって、……主であり給う」、それ故にその方を「避けて逃げること」、その方の「傍らを通り過ぎて行くことは、……それ自身不可能であるという仕方で主であり給う」。このような「主としてその方」は、「われわれの前に立ち給う」、「われわれ」に神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下であの「他律的服従」と「自律的服従」との全体性における「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」という連関において「自分自身を認識すべく与え、また認識され給う」。