２の２『教会教義学 神論Ⅰ／１ 神の認識』「五章 神の認識 二十五節 神認識の実現」「一 神の前での人間」
２の２『教会教義学 神論Ⅰ／１ 神の認識』「五章 神の認識 二十五節 神認識の実現」「一 神の前での人間」（８－２６頁）
再推敲・再整理版です。
イエス・キリストにおいて自己啓示・自己顕現されたキリストにあっての神は、「自己自身である神の自由」（ご自身の中での神の自由、「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の自由）としての「自存性の概念」（神の自由の概念の積極的側面）とわれわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方、すなわちイエス・キリストの父――啓示者・言葉の語り手・創造主、子としてのイエス・キリスト自身――啓示・語り手の言葉・和解主、「父なる神と子なる神の愛の霊」である聖霊――啓示されてあること・「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）・救済主なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体においてわれわれと出会い給う「神とは異なるものによって為されるすべての条件づけからの神の自由」としての「独立性の概念」（神の自由の概念の消極的側面）」との全体性・総体性において、完全に自由であり給う。このような訳で、キリストにあっての「神は、まず第一に、……ご自身を認識し給うことが確かである限り」、「まず第一に、……自分自身に対して対象的であり給う」、「自分にとって直接的に対象的であり給う」、換言すれば「神ご自身においてのみ実在であり真理である」完全な自由・主権を持ち給う神は、すなわち完全な自己還帰する対自的であって対他的な、自在であって他在な神は、「自分自身に対して対象的であり給う」、「自分にとって直接的に対象的であり給う」。すなわち聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質とする起源的な第一の存在の仕方である父は、「子として自分を自分から区別するし自己啓示する神として自分自身が根源」であり、その区別された第二の存在の仕方である子は「父が根源」であり、愛に基づく父と子の交わりとしての第三存在の仕方である聖霊は「父と子が根源」である「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な「一神」・「一人の同一なる神」・「三位一体の神」として自己認識・自己理解・自己規定し給うことが確かである限り、「まず第一に、……自分自身に対して対象的であり給う」、「自分にとって直接的に対象的であり給う」。
この「神の三位一体的な生そのものの中」で、その「対象性（≪「神の主要な対象性」≫）と共にその認識（≪神の自己認識・自己理解・自己規定≫）」は、「われわれにとって」「間接的に対象的」であり、間接的な対象的「認識」である。すなわち、それは、第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な教会の「われわれにとって」は、具体的には三位一体の唯一の啓示の類比としての神の言葉の実在の出来事である、それ自身が聖霊の業であり啓示の主観的可能性として客観的に存在している「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）における第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身（「啓示ないし和解の実在」そのもの）を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書（預言者および使徒たちの最初の直接的な第一のイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」、「啓示ないし和解」の「概念の実在」）を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、思惟し語ることができるという意味において、「間接的に対象的」であり、間接的な対象的「認識」である。もしもそうでないならば、その最初から、「（中略）神の啓示の内容は、神としての神から発生したのではなくて、人間的理性や人間的欲求やによって規定された神から発生した」それであり（フォイエルバッハ『キリスト教の本質』）、換言すれば「存在者レベルでの神」から発生したそれであり（木田元『ハイデッガーの思想』）、それ故にその「対象に即してもまた、『神学の秘密は人間学以外の何物でもない！』……」（『キリスト教の本質』）ということになる。
前述したように、先ず以て「神とは区別された」「われわれ、被造物に適した形式」としての「被造物的な対象性と認識」は、換言すれば後続する「神の副次的な対象性」と「認識」は、それが「存在する以前に」存在する、先行する「神的な実在」であり・「神的な実在」であり続ける「神の主要な対象性の中にその対応と根拠を持っている」、「神の三位一体的な生そのものの中」におけるその「対象性（≪「神の主要な対象性」≫）と共にその認識（≪神の自己認識・自己理解・自己規定≫）」に後続する「神の副次的な対象性」と副次的な対象的「認識」が存在する。言い換えれば、先ず以て第一に、第三の形態の神の言葉である全く人間的な教会（すべての成員）の宣教、その一つの機能としての神学、その思惟と語りにおける「先ず第一義的に優位に立つ原理」・規準・法廷・審判者・支配者としての起源的な第一の形態の神の言葉――すなわちご自身の中での神としての「父なる名の内三位一体的特殊性」・「神の内三位一体的父の名」・「三位相互内在性」における内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち起源的な第一の存在の仕方であり啓示者である父なる神の子としての「啓示ないし和解の実在」そのもの、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間（「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」、「イエス・キリストの名」）「きょうも、きのうも、いつまでも変わることがない」イエス・キリストが＜客観的＞に存在する、次に第二に、「先ず第一義的に優位に立つ原理」としてのイエス・キリスト共に教会（すべての成員）の宣教、その一つの機能としての神学、その思惟と語りにおける「原理」・規準・法廷・審判者・支配者としての、また教会に宣教を義務づけている常に先行する第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする後続する第二の形態の神の言葉である聖書――すなわちイエス・キリスト自身に直接的に唯一回的特別に召され任命されたその人間性と共に神性を賦与され装備された預言者および使徒たちの最初の直接的な第一のイエス・キリストについての「言葉、証言、宣教、説教」、「啓示ないし和解」の「概念の実在」（第二の形態の神の言葉におけるキリスト教に固有な類）が＜客観的＞に存在する、それから第三に、常に先行する具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書を自らの思惟と語りにける「原理」・規準・法廷・審判者・支配者とした、後続するそれぞれの世代あるいはそれぞれの世紀における第三の形態の神の言葉である全く人間的な教会の＜客観的＞な信仰告白および教義（第三の形態の神の言葉におけるキリスト教に固有な類）が＜客観的＞に存在する、それ故にこの＜客観的＞なキリスト教に固有な類は、＜客観的＞なキリスト教に固有な類の時間性、すなわち＜客観的＞なキリスト教に固有な歴史性を持っている。したがって、われわれは、この＜客観的＞なキリスト教に固有な類の歴史性に連帯していく（時間累積していく）という仕方で、純粋なキリストにあっての神・キリストの福音の認識（信仰としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事）の深化と豊富化を目指さなければならないのである。
このような訳で、「ご自分にとって直接的に対象的であり給う」神は、第三の形態に属する全く人間的な教会（そのすべての成員）、われわれにとっては、「対象そのもの」の「しるし、証言」――すなわち第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を、自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、「間接的に対象的であり給う」、それ故に「『非対象的な』神認識はそれとして神認識ではない」のである。したがって、信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事は、神のその都度の自由な恵みの決断による客観的なイエス・キリストにおける啓示の出来事（具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言におけるそれ）とその啓示の出来事の主観的側面としての「聖霊の注ぎ」による信仰の出来事に基づいてのみ初めて、終末論的限界の下で与えられるのである。「（≪その根源である≫）父は（≪父を根源とする≫）子にとって、（≪父を根源とする≫）子は（≪その根源である≫）父にとって、何らの媒介物なしに、（≪直接的に≫）対象であり給う」、しかし、この「神は、その啓示の中で、神がわれわれに対してそのほかの諸対象のしるしと外皮のもとで出会われる」のであるから、「われわれにとっては間接的に対象的である」。したがって、「われわれは神を、その衣で覆われた対象性の中で、（≪間接的に、認識し・≫）信じるのであって、決してその衣で覆われない対象性の中で、（≪直接的に、認識し・≫）信じるのではない」。このような訳で、「われわれが神を信仰の中で認識するということ」は、第一に、起源的な第一の形態の神の言葉である「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」（「イエス・キリストの名」）――この客観的な「神の対象性の中でまことに認識する」ということ、それ故に第二に、具体的には、第三の形態に属する全く人間的な教会のすべての成員にとっては、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である客観的に存在している聖書的啓示証言――この「衣でもって覆われた対象性の中でだけまことに認識するということ」、この「二重性における認識」であるということを意味している」。このように、人は、神のその都度の自由な恵みの決断による「啓示と信仰の出来事」に基づいて終末論的限界の下で与えられる「信仰の認識（≪信仰の認識としての神認識、啓示認識・啓示信仰、人間的主観に実現された神の恵みの出来事≫）の中で神の前に立っている」、すなわち「人間は、間接的に神の前にたっている」。
「神の三位一体的な生そのものの中における対象性」、「神の主要な対象性」は、それと共に「認識」（三位一体の神としての神の自己認識・自己理解・自己規定）は、全き自由の神ご自身の内在的な「対象性」と「認識」である。したがって、この「対象性」と「認識」は、内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉、「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」まことの神にしてまことの人間イエス・キリストにおいて「われわれに対して与え給う」「対象性」と「認識」とは区別されるのである。言い換えれば、ご自身の中での神としての「神ご自身の内在的な三位一体の生そのもの」における対象性および認識と、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言におけるそれは、またその聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした教会の宣教におけるそれは区別される。
さて、全き自由の「神の三位一体的な生そのものの中」において、「対象性（≪「神の主要な対象性」≫）」と共にその「認識」（≪三位一体の神としての神の自己認識・自己理解・自己規定≫）」は、前段で述べたように第三の形態に属する全く人間的な「われわれにとっては間接的に対象的」であるから、「われわれ」は、第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で、聖書的啓示証言における神の対象性と共にその認識を、「知覚し、直観と概念を用いて把握する」ことができるのである――われわれは、こういう仕方で、間接的媒介的反復的にキリストにあっての神に出会うことができるのである。したがって、この時、信仰の認識としての「神認識」は、「被造物的な実在が、神的な対象性を証しするものに定められ、用いられることの中で為される神認識である」。したがって、第三の形態に属する全く人間的な教会（そのすべての成員）は、この信仰の認識としての「神認識」に「感謝する」し、ただこの「神の業」に奉仕し得るだけである、それ故にその信仰の認識としての神認識としての「信仰は、……自分自身の人間的な好みに基づいて神認識を考え出してゆくために」、「恣意的に諸対象を……選びはしない」のである、それ故にまたその「信仰は、神を、神ご自身によって選ばれた諸対象の手段を通して認識する」のである、すなわちその信仰は、キリストにあっての神を、あの「神の言葉の三形態」（換言すれば、キリスト教に固有な類と歴史性）の関係と構造（秩序性）に時間累積させて行くという仕方で「認識する」のである、それ故にその信仰は、キリストにあっての神を、内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方（「神の業」、性質、働き、行為、行動）、すなわちイエス・キリストの父――啓示者・言葉の語り手・創造主、子としてのイエス・キリスト自身――啓示・語り手の言葉・和解主、「父なる神と子なる神の愛の霊」としての聖霊――啓示されてあること・「神の言葉の三形態」の関係と構造（秩序性）・救済主なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事全体を「証しする証しに……だけ」用いるのである、あの「神への愛」と「神への愛」を根拠とした「神の讃美」としての「隣人愛」（キリストの福音を内容とする福音の形式としての律法、神の命令・要求・要請）という連関の中で「証しする証しに……だけ」用いるのである。このように「礼拝が神ご自身によって可能とされ、必然的とされるところ、そこではどのような偶像礼拝も行われない」のである。
このような訳で、「ルターにとって」も、「われわれは、神について語り、聞くときに、神の裸ノ本質あるいは本性と関わるのではなく、神の業の衣服、殻、特定ノ外形、仮面と関わらなければならないということ」は、「すべての神認識の原則であった……」。このルターの「原則」に対して、「われわれは感謝」すべきなのである。したがって、「われわれは……直接的な、非対象的な神認識の方を選びとろうとしてはならない」のである。何故ならば、「そのようなことをするならば」、すなわち総括的に言えば、自然神学の段階あるいは自然的な信仰・神学・教会の宣教の段階で停滞と循環を繰り返すならば、「われわれはただ単に神を失うだけでなく、また神を敵として持つという危険を冒すことになる」からである。ルターの「原則」やこれらの事柄についての「主張が、聖書そのものの中で、聖書が信仰として言い表し、宣べ伝えていることに関して、同じように強く強調されているということは、何の疑いの余地もないことである」。
このような訳で、「人が預言者的、……繰り返し出てくる単純な『神はかく言い給う』」ということを、「直接的な、非対象的な神認識」が「存在するということ」の「証明として引き合いに出そうとするとき、そのことはひとつの錯覚」でしかないのである。そのような「錯誤」に対して、「出エジプト三三・一一－二三」、ルター的な「原則」が、すなわち第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした「それ以前に語られた神ご自身の言葉……と自分を関わらせている…… 時、正しい内容を持っている」（『教会教義学 神の言葉Ⅰ／１・２』）ということが「対立している」のである。常に先行する「神は、『すべての神の栄光』をモーセの前に通り行かせ給う」が故に、モーセは、その「神の業としるし」という「外皮」の中で、「まさに神が通り過ぎ給う中で、……（≪常に後続して≫）神の名を聞くようになる」のである。何故ならば、内在的な三位一体の神は、聖性・秘義性・隠蔽性において存在する「失われない単一性」・神性・永遠性を本質としている神であるから、「あなたはわたしの顔を見ることはできない。わたしを見て、なお生きている人はないからである」。復活されたキリストの再臨、終末、「完成」の時までは、「神がモーセと民に、事実、（≪常に先行して≫）先立ち行き給う時に、神はモーセを岩の裂け目に入れ、モーセが神をただ後ろから……見ることができるように配置し給う」（神は、モーセが神に常に後続して行くことができるように配置し給う）。このような仕方で、「神はモーセと『人がその友と語るように、顔を合わせて』語り給う。このような仕方で、「モーセは神の名を聞くようになり、彼は事実神ご自身によって慰められ、指示を与えられる」。このような仕方で、「神の顔を見ることができず」にモーセは、ただ「神が通り過ぎ、先立ち行かれる中で、神の業と行為（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方≫）の中で」、その外皮に覆われた「最高の対象性の中で」、「そのみ業（≪その存在の仕方、父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事≫）のしるしを通して彼と語り給う」「神を認識する」のである、換言すればモーセも、間接的に神を認識するのである。「聖書の著者たちにとって、人間にその副次的な対象性の中で、そのみ業の中で、現臨され、啓示される神がいつも言おうとされていたことは、暗黙のうちに自明的なことであったということを、前提としなければならない……」。したがって、「預言者的な『神はこのように語り給う』」ということは、「旧約聖書の預言全体」――すなわち「その総内容としてのエジプトからの脱出と共にはじまる神のみ業（≪われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における起源的な第一の存在の仕方である父なる神の存在としての神の自由な愛の行為の出来事≫）、イスラエルの歴史の中での神の行動を引き続いて説明するという形での神の宣教以外の何ものもないということ」、すなわち預言者たちにとっても、その神の業と「行動そのもの」の「ただ『後ろから』」、その「副次的な対象性の中で知っているところの神」が「語りかけ給う」ということなのである。言い換えれば、その「方の言葉を預言者たちはおうむ返しに語るのであり」、その「方の名を預言者たちは宣べ伝えるのである」。神語り給う故に神語り給うことを聞くという出来事は、「直接的な向かい合いの中でではなく、ただ間接的な向かい合いの中でだけ起こるのである」。彼らは、「神によって遣わされた」「神の特別な証人、神的な業の担い手である」。
「新約聖書の使信は、ここでもまた（恵みによって起こる）神が通り過ぎ給うということに基づいて、……神の名を宣べ伝えること以外の何ものでもない。メシア、約束されたアブラハムの子、ダビデの子、ヤハウェの僕、預言者、祭司、王が現れた。ただ単に神によって遣わされて現れたというだけでなく、ご自身神の子（≪内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方、すなわち「啓示ないし和解の実在」そのもの、起源的な第一の形態の神の言葉≫）でありつつ現れた」。この「言葉は、ただ神の……その永遠性の対象性の中で現れる」のではなく、「言葉は肉となった」（≪その存在の仕方としての言葉の受肉であって、その存在の本質としての「神性」の受肉ではない≫）のである。新約聖書の証人である使徒たちが、イエス・キリストにおける第二の存在の仕方（業、働き、行為）を、「甦えりの光の中で」、その生誕・その十字架の死・その「僕の姿」・「受難」・「卑下」を、その「神の栄光」を、「神ご自身の現臨と行動」を、「副次的な対象性」として「見た」ということは、「神の外皮、しるし、業」を媒介して、キリストにあっての神と「間接的に向かい合った」ということである。すなわち、新約聖書の証人である使徒たちは、内在的な三位一体の神と、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における第二の存在の仕方を通して、間接的媒介的に出会い向かい合ったのである。「まさに顕ワサレタ神こそが隠サレタ神である」「仲保者イエス・キリストの神人性こそ新約聖書の中で宣べ伝えられている啓示と和解の遂行であるということは、新約聖書の信仰の認識は間接的な（まさにそのようにしてこそ現実の）神認識であるということ」である。このよに、神の業と行為（内在的な三位一体の神の、われわれのための神としての「外に向かって」の外在的なその「失われない差異性」における三つの存在の仕方）から「神を認識する」ということ――この「旧約聖書および新約聖書の中で証しされている信仰認識こそが、今や」、第三の形態の神の言葉に属する全く人間的な「イエス・キリストの教会の使信の認識内容である」。したがって、このイエス・キリストにおける神の自己啓示・自己顕現は、「ナザレのイエスという人間の歴史的形態」――すなわち「イエス・キリストの名」（第二の存在の仕方、性質、働き、業、行為、行動）において、その存在の本質である「失われない単一性」・神性・永遠性の認識（信仰）を要求する啓示なのである。第三の形態に属する全く人間的な「教会の使信」が、「教会の主」「イエス・キリストの使信」、すなわち「まことの神でありまことの人であり給う仲保者についての使信である」ことによって、その使信は、直接的な「衣をつけていない純粋な対象性であるようなすべての使信に対してはっきりと対立している」のである、はっきりと区別されているのである。すなわち、その「教会の使信」は、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者とした「間接性の中で、そのみ業のしるしの中で、その衣をつけた対象性の中で、宣べ伝えるということ」である、換言すればそれは、具体的には第一の形態の神の言葉であるイエス・キリスト自身を起源とする第二の形態の神の言葉である聖書的啓示証言を自らの思惟と語りにおける原理・規準・法廷・審判者・支配者として、終末論的限界の下で絶えず繰り返し、それに聞き教えられることを通して教えるという仕方で為される「間接的な神認識の領域」において「宣べ伝えるということ」である。したがって、そのような仕方で、キリストにあっての「神ご自身が……尋ね求められ、見出されなければなら」ないのである、「神をそのみ業のしるしの中で、その衣をつけた（≪間接的な≫）対象性の中で、宣べ伝え」なければならないのである。そのようにして、それは、「信仰の使信であり、信仰への招き、呼び出しである」。